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ボーナス屋、勇者になる  作者: 爪牙
番外編Ⅴ
214/465

第207話 ボーナス屋、“男”になる! 前編

 本日2話目


 ユニークアクセス100万突破しました!


――ファリアス帝国 ファル村集会所――


「まったく!貴方達は何やってるの!?」


「「「ごめんなさい」」」



 俺達はアンナちゃんママに叱られていた。


 全員正座、反論は許さない、という状況だ。


 どうしてこうなったのか?


 それは聖都での修羅場から緊急避難した時に遡る。




「勇者様~!待ってくださ~い!」


『ゴケゴケ~!(コッコく~ん!)』


「えええええ!!??」


『ゴケ!?』



 聖都からコッコくんに乗って緊急避難していた俺の後を、テリヤキちゃんに乗ったアンナちゃんが追いかけてきた。


 進化したテリヤキちゃんはゴールデンに燃えていたが、アンナちゃんも燃えていた。



〈アンナとテリヤキは愛の力で全能力がぐ~んと上がった!〉



「待てアンナ!!抜け駆けはさせん!!」


『ピュォォォォォォォォォ!!』


「ステラちゃんまで!?」



〈ステラはキング・ガイアコンドルに乗って追いかけてきた!〉



 ゲ!!


 ステラちゃんも怪鳥(?)に乗って追いかけてきた。


 ムム!?


 さらにその後から別の気配が…!?



「ゆ、勇者様~!!」


「貴様ァァァァァァァァ!!陛下を誑かすとはイイ度胸だアアアアアアアアア!!!!」



〈ミリアムが大精霊に乗って追いかけてきた!〉


〈ミハエルは殺気を放っている!〉



 ミリアムちゃんまで……。


 騎士団長は本気で俺を殺しそうな殺気を向けてきているし。



「士郎!!話は聞いたわよ!!助けて(・・・)あげるから止まりなさい!!」


「♪」


『うわ~、士郎が大変だ~♪』



〈唯花と七海が龍王(バカ)に乗って追いかけてきた!〉



 遥々日本からやってきた――正確には銀洸(バカ)が連れてきた――唯花達がバカの頭に乗って追いかけてきた。


 七海は単に状況を楽しんでいるようだけど、唯花は明らかに必死の形相で俺の方を睨んでいる。


 それにしてもあのバカ、余計なことを………


 というか、これだけ複数の女性が俺と俺の持つ『龍の卵』を狙ってるこの状況って何!?



〈少女達は勇者の子供を欲しがっている!〉



 おい、コラ!!


 このアナウンス、まさか世界中の人に聞こえてないよな!?


 そうだったら俺、もうこの世界の外を歩けない!!



「そこの神!好き勝手なことを言わないで!!大魔王呼ぶわよ!?」



〈ゴメンなさい!!!!〉



 謝った!?


 唯花の奴、最強の呪文でヘルメスを黙らせやがった!?


 そしてその後、夜遅くになるまで修羅場な鬼ごっこが続き、気付いたらファル村上空まで来ていたというわけだ。


 そして女達の仁義無き戦いはクライマックスを迎えた。



「銀洸!今度ケーキ奢るから、私を士郎の所に送って!!」


『毎度~♡』


「ゲッ…!!」


「士郎、もう逃がさないわよ?」



 唯花は龍王パワーで無理矢理コッコくんの上に移動してきた。


 転移移動防止の為に張っておいた俺の結界が!!



〈愛の力は偉大だった!〉



「勇者様!私を受け止めてください!お願い、テリヤキちゃん!」


『ゴケ!!』


「ちょ……!アンナちゃん……!?」



 アンナちゃんが飛んだ!


 背中から光の翼を広げて!


 え、天使……じゃなくて、テリヤキちゃんと高速合体したようだ。


 そしてアンナちゃんは瞬間的にコッコくんの飛行速度を超える速度で俺のところに突っ込んできた。


 唖然としていた俺はそれを回避することができずに弾丸アンナちゃんの直撃を受けてしまった。



「ガハッ……!!」


「癒します♡」


「ちょっと、貴方何よ!!??」



 若干のダメージを受けた俺を、アンナちゃんはすぐさま癒し、唯花はアンナちゃんに敵意を燃やす。



「わ、私も飛び………」


「陛下!これ以上は駄目です!!」


「でも…!」


「駄目です!!諦めて帰りましょう!そしてお風呂に入ってベッドの中で寝てください!!」



〈ミリアムはリタイアした!〉



 お子様の夜更かしは不健康の元だからと、騎士団長は魔法で緊急離脱した。


 おやすみ、ミリアムちゃん。



「――――ところで勇者様、あの卵は何処にあるのですか?」


「ちょっと!勝手に士郎に近付かないでよ!!というか誰!?」


「貴方こそ誰ですか!?私は勇者様を一生支えると誓っているのです!貴方こそ近付かないでください!!」


「え?そんな誓い、何時やったの?」


「駄目よ!!私がいないとすぐバカやっちゃう残念な男なのよ!!余所の女には支えられないわよ!!」


「そんなことありません!!勇者様は私の運命の殿方なのです!私以外の女性で勇者様に相応しい方などいません!!」


「あ、あの………」


「運命?私達の故郷じゃね、そういう“運命の相手”とか言い訳にする人は大抵運命間違えてるのよ!!さっきから五月蠅い(ヘルメス)に確認とってから言いなさいよね!!」


「分かりました!神様、私と勇者様の出会いは運命ですよね?」



〈…別に運命でも何でもなかった!〉



「ほら!!」


「うぅ………」



 あ~あ、アンナちゃんが泣き顔になってきたよ。


 そして唯花よ、まさかと思うがお前は俺のことをそこまで…?



〈だが、愛に運命は関係なかった!〉


〈勇者とアンナの相性はかなり良かった!〉



「チッ!!」


「神様!!ありがとうございます!!」



 アンナちゃん復活!!


 逆に唯花はヘルメスに殺気を放った。



「大魔王に……」



〈唯花も勇者と相性が抜群に良かった!〉



「♪」


「唯花、お前………」



 神すら脅すか、お前は……。


 きっとステータスの【クラス】か【加護・補正】には『神を脅す者』が載っているに違いない。


 それはそうと、そんなに暴れるとコッコくんにダメージがいっちゃうぞ?



「それにね!士郎は私に結婚しようって何度も言ってるのよ!!貴方に入る余地は無いの!!」


「ちょ!!何言ってるんだ唯花!?」


「そ、そうです!!出鱈目を言わないでください!!」


「事実よ!神!」



 唯花はヘルメスに確認を強制した。



〈勇者は唯花に過去に3回告白していた!〉



 な、何だと………!?


 そんなの記憶には……………あ、あったかも……。


 確かに何時かのクリスマスとか…バレンタインとか……。



「そ、そんな……!!」



〈アンナは心に大ダメージを受けた!〉



 心のダメージなんて分かるのかよ?


 おい、何ワザとらしく俺にくっ付いて来るんだ?



「士郎、約束の卵を出して頂戴?」


「何の約束だよ!?」



 俺は何度も繰り返し唯花にツッコみを入れた。


 かくして、卵争奪戦はこうして幕を閉じ…



「うむ!私の勝利だな!」


「「え?」」


「ステラちゃん?」


「フッフッフ、最後に勝つのはこの私だったようだな?」



 何時から居たのか。


 気付けば、俺の目の前には真っ白な卵を持ったステラちゃんがいた。


 あれ?


 俺、何時の間に四次元倉庫から卵を出したんだ?



「フッフッフ、以前交換して手に入れた能力が進化してな、他人の所有物を手元に召喚する事が可能になったさ♪流石にシロウが相手では、ここまで接近しないと不可能だったが、無事に成功したようだ。」


「「泥棒じゃない!!(ですか!!)」」



 唯花とアンナちゃんは口を揃えてステラちゃんに怒鳴り声をあげた。


 ステラちゃん、何時の間にそんな能力を……『冒険王女』から『盗賊王女』にクラスチェンジか?



〈やった!ステラは『()の卵』を手に入れた!〉



 …………ん?



()、の卵……?」


「何!?」



 ステラちゃんは慌てて持っている卵を鑑定して確認した。


 ホントだ!


 『()の卵』じゃなくて、魔獣の方の『()の卵』って出てる!


 召喚失敗!?



「そ、そんなバカな……!?」


「そんな卵、持ってたっけ?」


「士郎!ちゃんと仕舞ったか確認したの!?落としたんじゃないでしょうね!?」


「いや、ちゃんと四次元倉庫の中に仕舞ったよ!!ほら、あった!!」



 俺は慌てて四次元倉庫を開いて、中から本物の『龍の卵』を取り出した。


 うん、ちゃんと仕舞ってた!


 あ………!



「――――タッチ♡」



 唯花は勝利の笑みを浮かべながら『龍の卵』に触れた。


 一瞬、卵が光ったように見えたのは俺の勘違いだったのだろうか?



〈唯花は勝利した!〉


〈唯花は既成事実を作った!〉



「しまった!!!」


「そんな!!!」



 アンナちゃんとステラちゃんは物凄い顔でショックを受けた。


 ちょ…!!


 ちょっと待ってくれ!!



「え、いや、そんな……」



 俺は慌てて卵を鑑定してみる。



【龍 の 卵】

【分類】卵(龍族)

【属性】無

【魔力】???

【ランク】SS++

【品質】最高品質

【詳細】『魔神』バロールによって創りだされた『暗黒龍』クロウ・クルワッハⅡがコッコくんの胃袋の中で一点の汚れも無く浄化され、新たな生命として生まれ変わった姿。

 『魔神』の影響は全く受ける事の無いこの卵は、最初に触れた男女1組の魔力と遺伝子を吸収する事で初めて新たな龍として生を受ける。

 生まれる龍は両親となる男女の遺伝子をしっかり受け継いでおり、生物学的にもその男女の実子となる。

 ・父:大羽士郎(確定済)

 ・母:平田唯花(確定済)



〈勇者は事実と直面した!〉



「マジか!!!???」


「士郎、責任とってよね♪」


「くそ!!最後にしくじってしまうとは……!!」


「ゆううひゃひゃまぁ~~~!!」



 幸せ絶頂になる唯花を他所に、アンナちゃんとステラちゃんはそれぞれ物凄く悔しがっていた。


 もしかしなくても俺、冗談抜きで物凄くモテてる?



――――ピロロ~ン♪



 そんな時、本日最後の速報が届いた。



▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

『緊急速報:下、危険!』


 地上から魔の手が迫っています!!

 回避してください!!


▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲



「え?」



 すっかり動揺していた俺は、その速報に対応するのが僅かに遅れてしまった。







―――――今、何時だと思っているの!!!






 その瞬間、俺達は『ファル村主婦の会』の現会長の巨大な《主婦の神手(ゴッデス・ハンド)》に捕まり、そのまま地上に強制連行されていったのだった。



『どうする~?』


「…帰る。」


『じゃあ、日本へ出発~!』



 ただ1組、銀洸と七海だけは難を逃れ、俺達を見捨てて日本へ帰っていった。


 銀洸と七海、小さなフラグが成立した瞬間でもあった。









 さあ、士郎はこの後どうなるのでしょうか?


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