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ボーナス屋、勇者になる  作者: 爪牙
港町ヴァール編
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第19話 ボーナス屋、保証人になる?

 さて、心の中で一通り叫び終わった俺は、放心状態のロビンくんを休憩所の椅子に座らせて正気が戻るのを待つついでにこいつら4人に話を訊くことにした。


 今、俺の目の前には4人の少年、そのうち3人はファリアス帝国現皇帝の落胤、つまり隠し子でロビン

くんやバカ皇子の弟になる。


 そういえば誰かに似ていると思ったら、ヒューゴとケビンはバカ皇子に少し似ていた。髪はバカ皇子と同じ赤毛だし、目の色もロビンくんやアンナちゃんと同じ琥珀色だ。ジャンも髪の色は茶色だったが、目の色は同じ琥珀色だった。



 どうやら、王族は目の色が優性遺伝で琥珀色になるみたいだな。



「――――――で、とりあえず保証人にはなるけど、何でお前らは金が要るんだ?親が病気にでもなったのか?」


「それは・・・・・・・」


「母さんと妹達を買い戻すためだ!!」


「お兄ちゃん!」


「・・・・どういう事だ?」


「・・・・俺とケビンが兄弟なのは見れば分かるだろうが、ジャンも俺の腹違いの弟なんだ。」



 うん、それは分かっている。


 ジャンだけ髪の色が違っていたからもしかしてとは思ってたからな。



「俺の母さんとジャンの母さんはこの町で娼婦をしていたんだ。それで同じ金持ちの男に買われて俺達や、ここにはいない妹達が生まれたんだ。」


「ちなみに妹は何人なんだ?」


「ジャンの双子の妹と他の腹違いの妹と合わせて8人だ。」



 皇帝、あの野郎・・・・・・・・・!


 マジでどんだけヤリまくれば気が済むんだよ!?


 今の話をロビンくんが聞いたらまたどっかに行っちゃうな。気を付けないと!



「けど、母さん達も娼婦の仕事ができない歳になって、町で雑用をしながら俺達を育ててたんだ。だけど、それでも金が足りなくなって借金をしたんだが・・・・・・・」



 ああ、この先は何となくテンプレ的に想像できるな。


 金を借りた先がドゥンケル商会か、それ関係の金貸しだったとかで、とんでもない利息で借金が膨れ上がったってとこか。


 そして利息も払えなくなって母親と妹は奴隷にされ、こいつらは筋肉ダルマ達の手下にされてたってとこか?



「・・・・ドゥンケルの連中!借金を理由に母さん達を奴隷商人に売りやがったんだ!だから何が何でも金を集めて取り返さなきゃいけないんだ!」


「そうだ!!」


「俺もおばさん達には世話になったんだ!絶対に奴隷になんかさせるか!!」



 俺の予想は大体当たってたようだ。


 さらに詳しく聞くと、ロルフは小さい頃に親を亡くして各地を放浪した末にこの町に流れてきてヒューゴ達と出会って仲良くなって一緒に暮らし始めたらしい。


 けど、ドゥンケルにはロルフも家族に見えたらしく、一緒に捕まって筋肉ダルマ行きになったらしい。


 奴隷商人に関しては、最初は殴り込んだけど手続きが合法だったので金で取り返すしかなくなったらしい。



「奴隷商人の話だと、あと10日で他の町に移されるから買うならそれまでに金を揃えて来いって言いやがったんだ!」


「なるほどな、それで冒険者になろうとした訳か。けど、10日で全員を買う金が稼げると思ってるのか?」


「・・・・・・・それは!!」


「やるしかないだろ!!」


「そうだ、竜種でも倒せば一気に金が揃えられる!!」



 いや、それは多分無理だから!


 竜種って、ドラゴンってことだよな?


 確か、人間に変身したりできる龍族とは違って、知性も低い魔獣版の龍って聞いた事があるけど・・・・・。


 こいつらのステータスを見る限り、10日でドラゴン倒せるとは思えないな。


 かと言って、このまま見捨てるのは俺も嫌だしな~。



「―――――――――なら、私達全員で何とかしましょう。」


「あ、ロビンくん!何時の間に正気に戻ってたんだ?」



 ロビンくん復活!心配してたんだぜ?



「家族が奴隷商人に売られた辺りからです。どうやら、僕にとっても他人事ではない話のようですね。その妹さん達は僕の妹でもありますから力を貸します!」


「ちょ、ロビンくん!?」


「は?何言ってるんだ・・・・・?」


「お兄さんにとっても妹?」



 おいおいロビンくん、いきなり何言ってるの!?


 確かにそうだけど、会ったばかりのこいつらにいきなり話しても理解して貰えないだろ!


 すると、ロビンくんは俺の方を向きながら真剣な表情である事を頼みだした。



「――――――シロウ殿、シロウ殿の能力で彼らにステータスを見せてあげてください。」


「――――――――あ、そうか!」



 なるほど、《ステータス》で出た情報は同じ魔法を使える者同士にしか見えないけど、俺の《エフォートエクスチェンジャー》のステータス画面ならこいつらにも見えるからな。


 けど、いきなり見せて大丈夫か?


 ま、とにかくやってみるか!



「はい、お前ら注目!」


「はあ!?」


「何これ!?」


「・・・俺、字読めないんだけど。」



 あ、しまった!


 そう言えば、この世界の識字率って低いんだったな。


 ファル村の人達は訳ありの人が多いせいか、大人の識字率はほぼ100%だったからつい忘れてしまうんだよな。


 それはともかく、どうやらヒューゴとケビンは読めるみたいなので俺やロビンくんもいろいろ説明しながらロルフにも読んでやった。


 そしてロビンくんのステータスを見せた頃になると、予想通り、4人の表情は驚愕一色に染まった。



「俺達の親父が皇帝!?」


「異常な女好きの貴族じゃなかったのか!?」



 うん、貴族以外は間違ってないぜ?


 まあ、母親も子供に父親が絶倫皇帝だなんて言えなかったんだろうな。いろんな意味でショックが大きすぎるだろうしな。


 あ、ついでにロルフも自分が貴族の息子だって知って驚いていたけど、皇帝と比べると衝撃がすぎないのか意外に落ち着いている。



「じゃあ、お兄さんも僕のお兄ちゃんなんだ?」


「そうなるね。」



 ロビンくんはケビンの頭を優しく撫でながら答えた。


 何だか微笑ましい兄弟に見えるな。


 あ、ヒューゴとジャンが嫉妬の目を向けてる。



「・・・・・正直、いきなり兄弟だなんて言われてもすぐに納得できねえよ。」



 まあ、そう思うのも無理もないよな。


 父親が皇帝ってだけでも信じられないのに、さらにまた新しい兄さんが現れてすぐに受け入れろって言われても無茶な話だよな。



「けどまあ、腹違いの兄弟ならもうたくさんいるから、また1人や2人増えてもおかしくないから信じてやるよ。けど、あんまり馴れ馴れしくするなよな!」


「ゴメンなさい、お兄ちゃんは素直じゃないからああ言ってるけど、本当は優しそうなお兄ちゃんができて嬉しいんです。」



 ああ、そういうキャラか!


 馴れ馴れしくするなとツンツン、内心ではお兄ちゃんができて超嬉しいってわけだな。


 意外と可愛い奴だな?



「ケビン、変なこと言うな!」


「でも本当のことじゃん?」


「べ、別に嬉しくねえよ!」


「嬉しそうだな?」


「スッゲェ嬉しそうに見えるな?」



 うん、デレてるデレてる!


 こいつはからかい甲斐がありそうだ。



「まあ、とにかくお前らの冒険者登録を済ませようぜ?」


「そうですね。保証人は私がやります。では行きましょうか?」


「はい!」



 ケビンは元気がいいししっかりしてるな。


 てな訳で、(ツンデレ)ヒューゴ達の登録はロビンくんが保証人になって難なく終わり、ついでにパーティ登録も済ませた。



「これで登録は完了です。念の為もう一度説明しますが、そちらの4名様が問題を起こした場合、保証人の方が責任を負う形になりますのでお忘れなく。」


「はい、わかりました。」



 お姉さんからの忠告も聞き終え、俺達は依頼書の張ってある掲示板の前に来ていた。


 色々あるが、さすがにGランクの俺達が受けられるのは雑用や採取がほとんどだな。



「とりあえず期限は10日ですので、最初の数日はランク上げと修行に専念しましょう。」


「それが賢明だな。」


「何でだよ!?さっさと竜とか倒して金を稼ごうぜ!」


「そうだ!たったの10日しかないんだぞ!」


「では聞きますが、竜種以前に魔獣と戦って勝ったことがありますか?」


「そ、それは・・・・・!」



 まあ、普通はないよな。


 ちなみに俺はファルの森でのイノシシ以降、何度か小型の魔獣との戦闘を経験済みである。


 イノシシほどじゃなかったが、小型でも魔獣はかなり厄介だ。



「お兄ちゃん、ここはロビンお兄ちゃんの言うとおりにしようよ。僕達、剣も持ったこともないんだよ?それなのにいきなり魔獣と戦ったら絶対死んじゃうよ。」


「「うっ・・・・・・!」」



 ケビンて一番年下なのに本当にしっかりしてるな。


 俺がケビンと同じ年の頃はここまでしっかり考えられてなかったよな。



「ケビンの言うとおりです。とりあえず、この常時依頼中のFランクの採取依頼を受けましょう。」



 ロビンくんが選んだのはゲームでもよく見る薬草の採取依頼だった。



【依頼名】ヴェルデ草の採取

【ランク】F

【期限】なし(常時依頼中)

【内容】森などに生えている『ヴェルデ草』を5枚1組で採取してほしい。

【報酬】1000D(小銀貨1枚)



 あ!これってファルの森にも生えていた草だったな!確か解熱薬や胃腸薬とかの材料になるんだったっけ?


 1回分が5枚1組ということは、5回分の25枚採取すれば昇格できることになるな!



「今日から採取をこなしつつ、私達があなた達を鍛えます!死ぬ気で覚悟してください!」


「はい!」


「わ、わかった!」



 ロビンくん、何時になく迫力が出てるな~!


 やっぱ妹の事が関わっているからだろうな。


 その後、俺達はお姉さんに依頼書を渡して受理してもらった。


 あ、採取依頼は先に採取してから依頼を受けられるのもあったから幾つかチェックしておいた。


「では、今度は武器屋と道具屋で必要最低限の物を揃えましょうか。」




---------------------


――港町ヴァール 武器屋『燃えるムスケル』――


 ギルドを出た俺達は、同じ通りにある武器屋にやってきた。


 おお!これがリアル武器屋か!?やっぱ本物の武器はスゲエな!



「いらっしゃい!何を買いに来たんだい?」


「採取用のナイフと、剣と斧などを見せてください。武器は初心者用で構いません。」


「お客さん達は冒険者か?ちょっと待っててくれ!」



 武器屋のオッチャンはガサゴソと奥から商品を取り出し始めた。


 そう言えば俺も武器が無かったんだよな。まあ、今のところは魔法で何とかなってるけど、持っていて損はないよな。


 俺は商品棚とかに置かれている剣を《鑑定》を使いながら品定めしていった。


 俺はこの世界に来る前、日本にいる仲間、俺の剣と魔法の先生役の奴の容赦無い修行の中で俺は片手剣向きだと言われていた。


 なので、選ぶ武器も予算内に収まる程度の片手剣を中心にしていった。



【アイアンソード】

【分類】片手剣

【品質】普通

【詳細】鉄でできた量産型の片手剣。

 錆や血糊に強い加工が施されている。

【値段】20000D



 普通の鉄の剣だな。


 他に良いのが無かったらこれにするか。



【シャークファングソード】

【分類】片手剣

【品質】やや良

【詳細】鮫型魔獣の牙を材料にした片手剣。

 水属性の敵に対し、ダメージ増大効果(小)

【値段】58000D



 魔獣の牙から作った剣か~。ファンタジーだな。


 水属性の敵には有効みたいだけど、俺としては微妙だな。



【アースシルバーソード】

【分類】片手剣

【品質】普通

【詳細】ファリアス銀を材料にし、土属性を付与した片手剣。

 土属性の者が使うと身体能力向上(微)

 土属性の魔法の威力増大(小)

【値段】140000D



 俺向きの武器だけど高い!


 せっかく無一文から脱出できたのに、これ買ったら無一文の手前になってしまう。


 ちなみにこの剣、属性違いのが他にもあった。


 はあ、他に手ごろなのはないの・・・・・ん?



【無銘の謎の剣】

【分類】片手剣(魔法剣)

【品質】普通

【詳細】製作者も素材も不明の片手剣。

 未知なる力を秘めている。

 魔力が10万以上ないと持ち歩くことも難しい。

【値段】20000D



 これはテンプレ的に考えたら買いたくなる一品!


 未知なる力を秘めているって、それフラグだろ!?きっと覚醒とかするんじゃないのか?


 試しに持ってみると余裕で持てた。


 よし!俺はこれに決めたぜ!


 ん?隣にも変わった剣があるな?何だこれ?



【シルバーヒャッハーソード】

【分類】片手剣(呪)

【品質】高品質

【詳細】無駄にハイテンションな老人の魂が宿った呪いの剣。

 持つと別人のようにヒャッハーと叫びながら戦いまくる。

 体力、持久力が無駄に増大してしまう。

【値段】30000D



 シルバーって、老人の方のシルバーかよ!?


 何だよヒャッハーって!?どんな爺さんの魂が宿ってるんだ?モヒカンか!?


 これは間違っても触りたくないな・・・・・・。


 さて、さっさと会計するか・・・・。






―――――――――ヒャッハー!!






 聞こえない、何も聞こえない。


 剣から声なんか聞こえないぞ~~~~~~!!







 ロビンくんは弟をゲットしました!

 ちなみに、この店には『シルバーヒーハーランス』という呪われた槍があります。


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