第200話 ボーナス屋、魔神(体)と戦う
――聖国 聖都――
緊急脱出!!
本気でヤバくなったから、俺は急いで地上へ転移した。
勿論、みんなも一緒だ!
「ふう!あの部屋が魔法無効とかじゃなくて良かった!みんな、大丈夫か?」
「は、はい…!」
『ゴケ!』
「う、うん!」
「俺らも大丈夫だ!」
『ギュア゛!(モグモグ)』
『ダズゲデ~……』
「「「…………」」」
約1羽を除いて全員無事のようだ。
フクロウ、すっかり忘れていたけどさっきのドサクサでシャインちゃんの口の中に落ちてたらしい。
シャインちゃんの口の中から頭を出してる姿が、何というか…
「…緊張感に欠けるな。お前達は。」
「あ、ブラス!」
一緒に転移させたブラスは、俺達のゆるやかな会話をため息交じりに眺めていた。
あ、ちなみに今のブラスは魔王や魔神とかの加護が消滅している。
どうやら俺のクラウ・ソラスとブリューナクには、呪いだけじゃなく加護も斬り捨てる力が追加されていたようだ。
次からはサクサク斬ってやるぜ!
「味方だけでなく、つい先程まで敵対していた相手も助けるとは、甘いな。いずれ、それが足元をすくう事になるぞ。」
「まあ、それは半分ノリでやったことだし、お前をあそこに残してきたらロルフがまた泣くし。」
「泣かねえよ!!」
父親と祖母に泣きついたのはどこの誰だよ?
そういえばロルフの父さん、今頃どうしてるんだろうな?
奴隷のように扱き使われてたりして?
『ぐおおおおおおおおおおおおおお!!』
なんて考えていると、何故かここにいる黒いクロウ・クルワッハが俺に襲いかかってきた。
おい!
何でお前まで来てるんだ!?
『ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』
「うるさい!」
『ぐぼ!?』
俺は重力で潰した。
かなりのGを与えたから地面も一緒に陥没、黒いクロウ・クルワッハの全身の骨が粉砕する音が聞こえた。
「浄化!」
『ぎゃああああああああああああああああああ!!!』
その後にクラウ・ソラスから聖なるシャワーを浴びせると、黒いクロウ・クルワッハはみるみる体が縮んでいった。
消毒完了!
「コッコ団、喰え!」
『『『ゴケェ~!!』』』
黒いクロウ・クルワッハはご飯になった。
雑魚化したせいか、良い栄養にはならなかったみたいだけど。
〈やった!『暗黒龍』クロウ・クルワッハを倒した!〉
これでよし!
と思った直後、空から邪悪な気配が降ってきた。
〈あ!野生のチーム魔王モドキが現れた!〉
またか!
そういえば、ダニール達をどうとかって速報に出てたな。
つまり、あれはダニール達が魔王化した姿ってわけか。
ヤギ頭に蠅、鳥とかもいるな?
「勇者様、何だか地面が揺れてませんか?」
「ん?そういえば……」
アンナちゃんに言われ、俺はさっきからずっと地面が揺れていることに気付いた。
今は亡き暗黒龍を潰した時の揺れにしては大きすぎる。
そして地面の下から何かが地上に向かって来る気配……あ!
〈あ!野生の『魔神』バロール(体)が教皇庁を破壊しながら現れた!〉
俺達の目の前で、教皇庁の建物は崩壊していった。
直後に地面からどす黒いビームが空に向かって飛び出し、地面の下から巨人が出てきた。
クロウ・クルワッハよりも一回り以上は大きい巨人サイズの悪魔、外見はテンプレな魔王って感じだ。
魔王っぽいマントを始めとした装備品を見に纏っている姿からはラスボス感が滲み出ている。
しかも眼球がある場所に眼球が見当たらず、真っ黒で怖い。
『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!』
バロール(体)が空に向かって咆哮を上げた。
なんか空に変な波紋が広がってる!?
〈世界の壁に歪みが発生した!〉
大変な事が起きたみたいだ!
〈次元の彼方から邪悪な者達が動き出した!〉
〈『魔神』バロール(魂&力)が体を求めてルーヴェルトに向かって来ている!〉
ラスボスキター!
一気にクライマックス!?
あ、メール!
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From:神一同
Sub:ガンバレ!
この際だから、バロールの体倒せ!
ファイト!オー!
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神様、完全に人任せだな!
〈神達はチップ〇ター(お供え)を食べながら応援している!〉
お前もだろ!
〈ヘルメスはえび〇んを食べながら見守っている!〉
「なあ、さっきからこの声、ウザくないか?」
「ああ、ウザいな。」
「俺、神なんか信仰してなくて良かった。」
「「だな!」」
ヒューゴ達は神に対する印象が悪くなったようだ。
俺も混ざって共感したいけど、取り敢えず今はあのバロール(体)を倒すしかないか。
ついでに魔王モドキも!
〈『魔神』バロール(体)の《破滅の咆哮》でチーム魔王モドキは攻撃力がぐ~んと上がった!〉
うわあ…。
魔王モドキ達が元気になっちゃったよ。
「勇者様、アレ…なんだか怖いです…!」
アンナちゃんが怯えながら俺にしがみ付いてきた。
あそこが当たってちょっとラッキー!
だけど、アンナちゃんが怯えるのも無理はない。
さっきから邪悪な魔力がこっちにも流れてきて、俺達の中で一番魔力の低いアンナちゃんはかなり圧倒されている。
『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!』
「あ!ヤバい!!」
バロール(体)の攻撃が始まった。
全身から黒い稲妻を放ったり、両手からビームを発射して聖都の街を破壊していく。
「攻撃範囲広すぎるだろ!!」
しかも聖都全域を同時にだ!
不完全でもやっぱり神ってことか!
〈聖都を覆っていた結界が強制的に消滅した!〉
「くっ…!《盟主》から与えられた力が無くなったせいで結界が維持できなくなったか!うっ…!!」
「お祖父ちゃん!!」
「アンナちゃん、ブラスの介抱を!」
「は、はい!」
度重なるダメージでブラスはダウンし、ロルフとアンナちゃんが介抱をする。
「ちょっとヤバいけど、俺達がここでアレを倒さないと世界が滅んでしまうから戦うしかないな!みんなも俺と戦ってくれるか?」
『ゴケ!!(ハイ!!)』
「返事速いな?流石コッコくん!」
「俺も戦う!というか、放っておいたら勝手に戦う奴がいるしな。」
『キュア♪』
「俺もだ!」
「僕も!」
どうやら全員参加のようだ。
頼もしい限りだな!
俺の魔力も回復したから何時でもOKだ!
「じゃあ、行くぞ!」
そして俺達は巨大化した超コッコ団(カッコイイ!)に乗って決戦の舞台へと向かった。
するとまたタイミングを見計らったように神メールが届いた。
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From:自称鶏神
Sub:ザ・合体!
勇者パーティよ、
コッコ団と合体の時間だ!!
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「は?」
合体……?
〈邪悪な軍勢がルーヴェルトの手前に到着した!〉
〈あ!邪悪な軍勢が通りすがりの龍王兄弟(銀)と遭遇した!〉
あのバカか……。
絶対通りすがりじゃないな。
〈あ!邪悪な軍勢が通りすがりの悪神と遭遇した!〉
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――聖都郊外――
ちなみに、その頃の避難した聖都の住民達はというと…
「ヒィィィィ!!この世の終わりじゃ~!!」
「あれは聖典に書いてあった邪神…!?」
「聖地が壊されていく…!!」
住民達の多くは、バロール(体)と魔王モドキにパニックを起こしていた。
その時、空に輝く聖なる光が彼らの視界に映った。
「聖騎士様!あそこに沢山の光が!?」
「おお!!神は我らを見捨てはしな……………え、ニワトリ?」
光り輝くコッコ団!
その光は、絶望した人々に希望を与えた!
「お~!神の使いじゃ~!」
「いや、神がニワトリになっておるのじゃ!ありがたや~!」
「ママ~!あれ欲しい~!」
「コラ!指さしちゃいけません!」
後に、聖国では鶏は神聖視され、魔除けとして一家に2羽以上飼われるようになるのだった。
そして士郎がファル村から広めた卵たっぷりのプリンは「神の菓子」、「聖なる甘味」と呼ばれ、聖国の代表料理に発展していくのだった。
〈コッコ団は信者をたくさんゲットした!〉
〈コッコくんは神への進化条件をまた1つクリアした!〉
『暗黒龍』クロウ・クルワッハは死にました。
士郎のペットになることなく………。
聖都は全壊は免れそうにないですね。(誰の手で?知りません)