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ボーナス屋、勇者になる  作者: 爪牙
港町ヴァール編
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第18話 ボーナス屋、冒険者になる

――港町ヴァール 冒険者ギルド――


 とうとう来たぜ、冒険者ギルド!!


 海沿いの道を歩いていたらあっさり見つけられてラッキー♪


 見た目は木造の、ゲームとかに出てくるようないかにもギルドっぽい建物だった。



「――――――ここで間違いないようですね。早速中に入りましょう。」


「おう!」



 俺とロビンくんは押し扉からギルドの中に入った。


 すると、中では何か言い争いのような声が聞こえてきた。



「だから、何で登録できないんだよ!?」


「ですから何度も言いますが、未成年の方は保証人なしでは登録できない規則になっているんです。ランクは問いませんので、成人の冒険者の方に保証人になってもらって来てください。」


「そこを何とかしろよ!」



 受付らしい場所で受付嬢と子供達(・・・)が何か言い争っているな。


 ん?何か見覚えのある声と背中だな?



「お~~い、どうかしたのか?」


「――――――!お前ら!!」


「あ、筋肉ダルマの元子分!」



 そこにいたのは、数時間前に俺から金を巻き上げようとしていたチンピラくん達4人だった。


 どうやら熊のオッサン衛兵の言うとおり、無事に解放されたみたいだな。


 けど、何でここにいるんだ?



「――――どうかなされたんですか?」



 ロビンくんが受付嬢に尋ねると、受付嬢のお姉さんは困ったような顔で話し始めた。



「実は、この子達が冒険者になりたいと言ってきたんですが、ギルドの規則では15歳未満の未成年の方は同じ冒険者の保証人がいないと登録できないことになっているんです。それをこの子達にも説明したのですが、どうにも納得してくれないようで・・・・・・。」


「なるほど。」


「だから、そこを何とかしろって言ってるだろ!!」



 4人の中でも一番年上の少年がまたお姉さんに文句を言ってくる。


 そうか、この世界での成人年齢は15歳からなのか。俺は大丈夫だな。


 つーか、やっぱこいつら俺より年下だったんだな。



「―――――ですから、規則で駄目だと何度も・・・・・・」


「なあ、俺達は2人とも成人だから登録可能だよな?」


「あ、はい!大丈夫です!では、登録を始めますね。」


「おい!無視するな!!」



 後ろで少年は騒ぎ続けていたが、一番年少の子が説得して少し大人しくなった。


 顔とか似てるけど、兄弟か?それに、今更だけど誰かに似ているような気もするが・・・・・。


 ま、それより今は登録登録♪



「―――――では、こちらの書類に名前と年齢、出身地をお書きください。」



 お姉さんに渡された羊皮紙にはいくつかの記入欄があった。


 俺は《異世界言語翻訳》のお蔭で、この1週間で基本的な読み書きはマスターしたから代筆の必要はない。


 チート万歳だな。



「書けたぜ。」


「書けました。」


「――――はい、確認しました。では、ギルドカードを発行しますのでこちらの魔法具の魔石に手をのせてください。」



 お姉さんは無駄に装飾の多い、中央に水晶玉みたいなものが付いた箱を手前に置いて来た。


 何か横にATMとかにあるカード挿入口みたいなものがあるけど何だこれ?


 すると、俺が疑問に思っているのを察してくれたロビンくんが説明してくれた。



「これは身分証となるカードを発行する為の魔法具です。中央の魔石に手をのせるとその人の魔力などの情報を読み込んでカードを作る事ができるんです。」


「へえ、そんな物があるんだな?」


「はい、開発当初は凄く高価でしたが、今では全てのギルドでも導入されるようになっています。」



 魔法具って、こんなのもあるんだな。


 ファル村にあった魔法具は麦の製粉用の大きな石臼みたいなのしかなかったからな。


 今度どんなのがあるか店を覗いてみるかな?



「ここにのせればいいんだな?」


「はい、では発行しますね。」



 俺がカード発行機(仮称)に手をのせると、魔石がボンヤリと光りだして発光器の中でガタガタと音が聞こえてきた。


 そして、十秒ほどで光が消えて横の挿入口みたいなとこから銀色のカードが出てきた。



「――――発行完了です。」


「へえ、これがギルドカードか?名前しか書いてないな?」


「はい、カードに魔力を流すと情報が表示されるようになります。」


「・・・・こうか?」



 試しにカードを魔力を流すとカードの表面に文字が表示されてきた。


--------------------

【冒険者ギルドカード】

名前:シロウ=オオバ

種族:人間

年齢:16

出身地:ファリアス帝国ファル村

パーティ名:ソロ

ランク:G

--------------------


 お~~!出てる出てる!


 出身地もちゃんとファル村(大嘘)になってるな~。



「確認できましたね。では、次の方もどうぞ。」


「はい。」



 俺に続いてロビンくんも無事にカードを発行して登録は完了した。



「これで登録は完了です。カードを紛失した場合は再発行に5万D、銀貨5枚が必要になりますのでご注意ください。」



 げ、再発行に5万円って高いな・・・・。


 絶対なくさないようにしなければ!



「では、次にギルドの簡単な規則について説明しますが、大丈夫ですか?」


「はい、お願いします。」



 そしてここからはお姉さんの説明タイム!


 冒険者ギルドの利用における規則だが、簡単にまとめると次の通りだ。



1、依頼を受ける時は、基本的には受付で受理してからでないと受けられない。ただし、採取系の場合は事後に受理する事も可能らしい。


2、他の冒険者と無用なトラブルは避けること。問題を起こした場合、非のある方に罰金や降格などの処分が下る。


3、仕事で余分に入手した素材、または依頼以外で採取した素材はギルドの買取所で買い取ってもらえる。


4、依頼は一度に複数受けることはできない。


5、受けられる依頼は、自分のランクの上下1ランク差のものまでである。ただし、パーティで受ける場合は仲間の中の最高ランクを基準にする。


6、2階の資料室にある本などは原則持ち出し禁止。



 大体こんな感じだ。


 なお、冒険者のランクは一番上がSSSで、その下にSS、S、A、B、C、D、E、F、Gと並んでいる。


 ランクを上げるには、Aランクまでは同じランクの依頼を10件、または1つ上のランクを5件達成すればいいらしい。Sランク以上は色々と手続きや試験やらがあって面倒そうだ。



「――――――私からは以上ですが、何か質問はありますか?」


「パーティを組む時は登録が必要なのか?」


「必ずと言う訳ではないのですが、後のトラブルを避けるためにも事前に登録してくださると助かります。」



 なるほどな、知らない奴が勝手に仲間を騙って他人の報酬を貰おうとかする奴がいるんだろうな。


 しかしパーティか、とりあえずロビンくんと組んでみるか?



「どうする?」


「そうですね、どうせなので組んでみますか?」


「だな!じゃあ、俺とロビンくんでパーティ登録してくれ!」


「はい、畏まりました。」



 そして俺とロビンくんはGランクのパーティを結成した。


 ちなみに、パーティ名は俺の名前から取って『ビッグウイング』にした。


 俺センスねえ~~~~!



「パーティ登録完了しました。なお、個人(ソロ)で依頼を受けることも可能です。」


「わかりました。」


「とりあえず、今日はもう爺さんのトコに戻るか?」


「そうですね。じゃあ、失礼します。」


「ギルドは年中無休ですのでいつでもどうぞ。」



 お姉さんに挨拶をして俺達はギルドを出ようとした。


 すると、そこにさっきの少年達4人が俺達の前に割り込んできた。


 ・・・お前らまだいたのかよ?



「お願いします!僕達の保証人になってください!」


「――――――は?」



 4人で一番年下っぽい子が俺に頭を下げながら頼み込んできた。


 保証人・・・ああ、さっきの登録に必要なってやつか!



「僕達、どうしても冒険者になってお金を稼ぎたいんです!けど、登録するにはどうしても保証人が必要なんです。」


「・・・・・ついさっき身包み剥がそうとかしてた相手に頼むか、普通?」


「それは・・・・あの時は本当にすみませんでした!言うこと聞かないとお母さんを殺すって脅されて・・・・・」



 あ~~そうだったな。


 そういえば、借金がどうとかで脅されてたんだっけ?


 けどすぐに信用するのも何だから、ポイントを念の為に確認しておくか。


 俺は少年達の相手をロビンくんに任せると、ロビンくんの背後に隠れて4人に見えない様にポイントを確認してみた。


 すると、4人全員が50ポイント越え、バカ皇子より上だった。


 うん、どうやら根っから悪い奴らじゃないようだな。


 しかし、この方法で善悪を区別するのもなんだから問題あるような気がしてきたな。今度からは気を付けようっと!



「――――――――お願いします!ほら、お兄ちゃん達も!」


「「「お・・・お願いします!」」」


「しかし・・・・・」


「―――――いいぜ?」


「シロウ殿!?」



 ロビンくんが困っている所に割り込んだ俺は簡潔に保証人になる事を了承した。


 すると、4人全員がパアと顔を明るくした。



「よっしゃ~~~~~!!」


「やったな!?」


「ケビンの言うとおりにして正解だったな?」


「ちょ、ちょっとお兄ちゃんも・・・・・!」



 あらら、俺が了承した途端に調子に乗ってきやがった。


 まあ、後で適当に説教しておくか。



「・・・いいんですか、シロウ殿?」


「とりあえずいんじゃね?バカ皇子よりずっと苦労しているみたいだし、そんなに心配なら、一応ステータス見て

こいつらの情報を確認すればいいしさ?」


「・・・・皇子を基準にするのもどうかと思いますが、確かにそうですね。早速確認してみます。」



 と言う訳で、俺とロビンくんは早速4人のステータスを確認してみた。


 ・・・・まさか、『腹黒』とかってでてないよな?



【名前】ケビン

【年齢】10  【種族】人間

【職業】なし  【クラス】皇帝の落胤

【属性】無(全属性)

【魔力】19,200/19,200

【状態】空腹(微)

【能力】攻撃魔法(Lv3) 防御魔法(Lv3) 補助魔法(Lv4) 特殊魔法(Lv3) 剣術(Lv2) 体術(Lv2) 賢者の指輪

【加護・補正】魔法耐性(Lv3) 精神耐性(Lv2) 全属性耐性(Lv2) 王の直感 知恵の器 魔法神マナウィダンの加護

【BP】53



「「――――――――!?」」



 あれ?何か最近よく見るワードが出てないか?


 というか、無属性って全属性使えるってことだよな!?マジか!?


 ・・・・・他の3人も見てみよう。



【名前】ヒューゴ

【年齢】13  【種族】人間

【職業】なし  【クラス】皇帝の落胤

【属性】メイン:火 光 空 サブ:風 土 水 雷

【魔力】7,300/7,300

【状態】空腹(中)

【能力】攻撃魔法(Lv2) 防御魔法(Lv2) 補助魔法(Lv2) 特殊魔法(Lv3) 剣術(Lv3) 体術(Lv3) 龍鱗剣ペンドラゴン

【加護・補正】物理耐性(Lv2) 魔法耐性(Lv1) 精神耐性(Lv2) 光属性耐性(Lv3) 火属性耐性(Lv3) 空属性耐性(Lv3) 軍神オグマの加護

【BP】71



 え、ちょっと待て!こいつもか!?


 メイン属性3つって、コイツもスゲエ!!

 


【名前】ジャン

【年齢】13  【種族】人間

【職業】なし  【クラス】皇帝の落胤

【属性】メイン:光 風 サブ:火 雷 水

【魔力】6,300/6,300

【状態】空腹(中)

【能力】攻撃魔法(Lv1) 防御魔法(Lv2) 補助魔法(Lv3) 特殊魔法(Lv2) 斧術(Lv2) 体術(Lv2) 彫金術(Lv4)

【加護・補正】物理耐性(Lv2) 精神耐性(Lv1) 光属性耐性(Lv2) 風属性耐性(Lv2) 全状態異常耐性(Lv1) 工芸神ベリサマの加護

【BP】67



 3人目も落胤かよ・・・・・!?



【名前】ロルフ

【年齢】12  【種族】人間

【職業】なし  【クラス】家なき子 貴族の落胤

【属性】メイン:土 サブ:水 風

【魔力】750/750

【状態】軽傷 空腹(中)

【能力】剣術(Lv1) 体術(Lv1) 鍛冶術(Lv3)

【加護・補正】物理耐性(Lv1) 土属性耐性(Lv2) 毒耐性(Lv2) 麻痺耐性(Lv1)

【BP】75



 あ、コイツはちょっと違うのか。


 って、『家なき子』って何だよ、安達裕〇実か!?



「(・・・・・・ロビンくん?)」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



 ロビンくん、石像のように固まってる。



「ん?そこの兄ちゃんどうしたんだ?」



 ジャンがロビンくんが固まっているのに気付いて話しかけてきた。


 おのれ皇帝!!一体、何人子供作ってるんだ!?


 一言文句言いたいから出てこ――――――――い!!


 そして現実に戻ってきてくれ!ロビンく~~~~~~~~~ん!!








 ロビンくんの魂はどこかへと旅立ちました。

 帰って来て、ロビンく~~ん!



 次回は23日更新です。


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