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ボーナス屋、勇者になる  作者: 爪牙
聖国編Ⅱ-エオカイド遺跡の章-
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第190話 ボーナス屋、エオカイド遺跡を進む6

――ゴリアス国 首都ドーウィン――


 場所は変わり、ここはゴリアス国の首都ドーウィンにあるルーグ騎士団本部。


 ゴリアス国の君主に仕える国家最強騎士団の本部であるこの場所は、騎士団員の職場であると同時に、国内で起きた重大事件の捜査や犯人を一時的に拘留する場所でもある。


 士郎達がエオカイド遺跡にいる頃、ここでは緊急事態(・・・・)にも関わらず、先日解決したばかりの大事件の犯人一味の何度目かの取り調べが行われていた。



「――――エレイン=チャーチル(・・・・・・・・・・)、今起きているのこの状況について、お前は何も知らないんだな?」


「ええ、少なくとも私があなた達に捕まる時点では聞かされていない計画ね。各国首都を同時に襲撃するなんて初耳よ。」



 両手を拘束具を魔法で何重にも拘束されたエレインは、騎士の質問に淡々と答えていった。


 ドルドナ遺跡での一件以降、エレインは特に抵抗することなくルーグ騎士団に捕まり、これまでゴリアス国で起きた事件を始め、『創世の蛇』がこの世界の起こしてきた数々の事件に関する質問に対し、相手を混乱させたりすることもなく淡々と答えていた。


 そんな中、ドーウィン上空に突如として発生した魔法陣から現れた魔獣の軍勢の襲撃により首都内は大混乱に陥り、ルーグ騎士団も団員の多くが首都の防衛に回っていたが、一部の団員はこうしてエレイン達に緊急の取り調べを始めたのだ。


 こんな有り得ない事態を起こせるのは『創世の蛇』だと判断したからだ。



「お前の師だという、ブラス=アレハンドロの仕業ではないのか?」


「…ゼロじゃないわね。先生は空属性だったし、召喚系の魔法にも精通していたからこれくらいの事は普通にできそうだけど……。可能だけど、実行するとは考えにくいわね。」


「それは何故だ?」


「先生は性格上、無差別大量虐殺みたいな行為はまずしないわ。現に、先生が潜入していたフィンジアスはファリアスやムリアスと比べて犠牲者が少ないのは貴方達も知ってるでしょ?」


(確かに……。)



 エレインの言うとおり、フィンジアス王国では『創世の蛇』による犠牲者は他の国よりも遥かに少なかった。


 ファリアス帝国はダニールの過激な暗躍により暗殺がされ放題、ムリアス公国や聖国でもアイアスによ

り事故死に見せかけて暗殺されたり、嵌められたショックで自ら命を絶った者が少なくなかった。


 それに比べ、ブラスが潜入していた間のフィンジアス王国では逆に暗殺が急減していた。


 ブラスはある意味ではまともな手段を使い、実に巧妙にフィンジアス王国で暗躍していたのである。


 単に駒だった王弟がバカ過ぎてやり易かっただけかもしれないが。



「だから、少なくとも召喚したのは先生以外の誰かでしょうね。もしかしたら、基本的にハト派の先生をよく思ってない組織の誰かの仕業かもしれないわ。私から言えるのは、今は犯人探しに意味は無いわ。時間の無駄ね。」


「………。」



 騎士の男は沈黙する。


 エレインは取り調べに飽きたのか、視線を騎士の男からどこか遠くへ向けた。



「――――それに、魔獣退治をしている場合じゃなくなるかもしれないわね。」


「何!?」


「貴方達の話からすると、先生は最後の遺跡に潜っているわ。なら、もう数時間もかからない内に『四至宝』の最後の1つの封印が解けるわ。」


「それがどうしたというんだ?」


「……最悪、この大陸は闇に飲み込まれて一夜で滅びるわ。」


「!!!」



 その時のエレインの言葉の重さに、騎士の男は戦慄する。


 だが一方で、エレインは内心では意外と気楽だった。



(……彼なら私の時みたいに、相手が神でも魔王でもあっさり万事解決しちゃうかもね。封印されている《盟主》に同情したくなるくらいに。ペットの『龍神』も盗られそうね。)



 いろいろ(・・・・)あって、最悪の事態が起きるとは思わなくなったエレインは、暇つぶしに現状を楽しんでいた。



「そして、恐怖の大魔王がこの世に降臨するわ。」


「ば、バカな……!!」



 その後、エレインはほぼ予想通りに事件が終わるまでの間、ルーグ騎士団で暇潰しをしているのだった。






--------------------------


――エオカイド遺跡 地下99階――


『『『グオオオオオオオオオオオ!!!』』』


「ズゴ~ン!!」


『『『オ…………』』』



 ドラゴン約30体をブリューナクで瞬殺した。


 フクロウの案内で隠し通路の終点の99階に到着したらドラゴンだらけでびっくりしたな。


 ここは最下層(100階)手前だけあって、魔獣がうようよしているようだ。



『ケホ…。ここより先は徒歩になる……ケホ!』


「よし!前進!!」


「「「おお!!(はい!!)」」」


『『『ゴケ!!』』』


『キュア!』



 俺達は前進した。


 この99階には元々恐竜系の魔獣が徘徊していたようだけど、今はアンデットやら鳥やらゴーレムやらがごちゃ混ぜになっていた。



『ゴゴォォォォ!!』



 全身オリハルコンのゴーレムもいた。


 フクロウの話によれば、レアキャラらしい。



「吸収!」


『ゴッ――――』


「さすが勇者様です!」


『ゴケ!』



 レアキャラは瞬殺された。


 所詮はゴーレム、魔力を奪えばただの鉱物だった。



『ゴギャア!!』



 鶏とヘビが合体したような魔獣、コカトリスもいた。



『ゴケェ!!(かかれ!!)』


『『『ゴケェェェ!!(おおおお!!)』』』


『ゴギャガガガガガッ!!??』



 超コッコ団(仮称)にボッコにされて死んだ。


 なお、残ったお肉は美味しいらしいから回収した。



『アンギャァァァァァ!!』



 アン○ラスっぽい、羽の無いドラゴンもいた。


 俺がクラウ・ソラスで首を落として終わったから以下略。



『シュシュシュシュ―――!!』


「嫌あああ!!蜘蛛嫌あああああ!!」


「アンナちゃん、落ち着いて!!」


「お姉ちゃん、落ち着いて!!」



 巨大タランチュラな魔獣が現れたらアンナちゃんが暴れだした。


 キモイ虫系は苦手らしい。



「蜘蛛死ね!!蜘蛛嫌い!!蜘蛛殲滅!!……」


「「「…………。」」」


「はあ…はあ…はあ……。」



 巨大タランチュラは、アンナちゃんに原型を残さず倒された。


 その時のアンナちゃんは凄く怖かった。


 俺達は、絶対にアンナちゃんを怒らせないと心の中で誓った。


 弟トリオは特に誓ったようだ。



「勇者様、終わりました!」


「あ、ああ。先を急ごうか?」



 アンナちゃん、最近なんだか属……キャラが見えなくなってきてるな。



『『『グルルルルルルルル!!!』』』



 って、また新手が出てきたな。


 全身がミスリルの毛で覆われた狼の群だ。



「吹っ飛べ~!!」


『『『ギャインッ!!』』』



 その後数秒間、99階層には爆音が響いた。


 俺はこの数秒間の間で、この階にいる魔獣を433体倒しまくった。


 そして、俺達はついに最下層への階段を発見した。






--------------------------


――エオカイド遺跡 地下100階(最下層)――


「うわあ……!」


「ここが、最下層……!」


「スゲェ……!」


『キュア!(モグモグ!)』



 遺跡の最下層は、辺り一面金ぴかの神殿だった。


 触ってみると、石じゃなくて全部金属のようだった。



「シロウさん、この壁とか床、なんだかオリハルコンに似てる気がします。」


『正確には『黄昏の聖金銅(トワイライト・オリハルコン)』といい、我が主が生み出した伝説の金属でのう。この世界では、もうここにしか存在しな……』


「ジャン、それってお前が合成で作った物の中になかったか?」


「あるぜ?オリハルコンがあれば幾らでも作れたぞ?」


『………。』



 フクロウは固まってしまった。


 それにしてもジャン、伝説の金属すらお手軽に作れるようになったのか。


 ま、それは今はいいや!



「最深部に向かうぞ!!」


「「「おお!!(はい!!)」」」


『ギュア♪(ゴックン!)』


『『『ゴケ!!』』』



 俺達は最深部を目指して進み始めた。


 ん?


 シャインちゃん、さっきから何食べてるのの?




1、倒した魔獣の肉


2、超コッコ団(仮称)の誰か


3、フクロウ


4、飼い主


5、その他(想像してみよう!)







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