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ボーナス屋、勇者になる  作者: 爪牙
聖国編Ⅱ-エオカイド遺跡の章-
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第189話 ボーナス屋、エオカイド遺跡を進む5

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『エオカイド遺跡、下層部解放』


 聖都教皇庁地下にあるエオカイド遺跡の下層部が、先程ブラス=アレハンドロにより解放された。

 これにより、下層部を守護する2体の守護獣が活動を開始した。

 また、守護獣全5体中最強を誇る2体が動き始めたことによりエオカイド遺跡中の全ての魔獣(守護獣を除く)が強制的に下層部へ転移された。


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 ちょっとドラゴンの相手に時間を使い過ぎた。


 俺達も急がないと!



「先を急ぐぞ!!」


「「「はい!!(おう!!)」」」


『『『ゴケ!』』


『我が近道を案内しよう!』


「おう!頼む!」



 俺達はフクロウ(・・・・)の道案内で先を急いだ。


 ………ん?



『――――ここに守護獣だけが開けられる隠し通路がある。ここを通れば一気に下層部へ行けるぞ?』


「―――って、何でお前がここにいる!?」


「あ!さっきの鳥の守護獣さん!!」


「コッコくんに殺されたんじゃ…!?」


「何で生きてる!?」


『キュア!』


「コッコくん、食べてください!!」


『ゴケェ!!(成敗!!)』


『え、ちょっと待っ……キャァァァァァ!!』



 コッコくんのゴハンタイム!


 何故か普通に俺達の中に混じっていたフクロウを美味しく戴きました。



『(´Д`。)。グス』


「「「小さくなった!?」」」



 そしてフクロウは手乗りサイズのマスコットになりましたとさ。


 …何、これ?






--------------------------


――エオカイド遺跡 隠し通路――


『うう……ここが隠し通路の入口だ。グス。』


「よし!進もう!」


『ううぅ……もう、主の前に立てん……。』



 俺達は手乗りフクロウの開けた遺跡の隠し通路に入っていった。


 守護獣が通る通路だけあって、人間の俺達は勿論、超コッコ団(仮称)の新人達(・・・)も余裕で通れる広さだった。



「なあ、隠し通路って他の遺跡にもあったのか?」


『……グスン。いや、隠し通路があるのは守護獣が守っているこの遺跡のみ。他の『至宝』の聖域はここよりも重要度が幾分低い為守護獣は存在せず、隠し通路もまた存在はせぬ。』



 重要度って、何処も同じ『四至宝』が眠る遺跡だろ?


 なのに、ここだけ特別?



「…何でこの遺跡は特別重要なんだ?」


『我も守護獣の中では新参者であるが故、下層を守護する古参の2体ほど詳しくはないが、ここに封印されている『魔釜』には重要な“何か”が封じられておるそうだ。』


「…何か?」


「何かって、何だよ?」


「宝か?」


「強い魔獣か?」


『分からぬ。我が主も、それだけは我にも話してはくださらなかった。』



 “何か”か……。


 ん?


 なんか、似たような話を何処かで聞いた気がするな?


 何処だったっけ?



「勇者様!こういう時こそ、勇者様の力の出番です!」


「シロウさん!シロウさんの能力で調べてみてください!」


「―――!そうだな!」



 思い出せないなら調べるだけだ。


 さあ、《摩訶不思議な情報屋(エクセレント・リポーター)》よ、“何か”が何なのか教えてくれ!



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『検索:『魔釜』の中身』


 『四至宝』の1つ、『ダグザの魔釜』には複数の能力があり、その中の1つは「中に入れたものを半永久的に封印する」である。

 そして現在、『魔釜』には2組の神格が封印されている。


 『太陽と月の龍神』クロウ・クルワッハ


 『魔神』バロール(体)


 バロールは肉体のみが封印され、核である精神は別の世界に存在している。

 クロウ・クルワッハは神格の一部を失っている為、現在は龍神ではなく龍王の位にある。


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「『龍神』と『魔神』が封印されているみたいだな。」


『おお!異世界人の勇者よ、それは一体……』


「『龍神』って、あのバカの親戚か何かか?バカすぎて封印されたとか?」


「ありえるな。」


「ありそうだな。」


「……兄さん。」



 ヒューゴ達にとって龍王も龍神もひとくくりみたいだな。


 そういえば、アイツの祖父も『龍神』だったな?


 あ、フクロウ!


 俺の能力が珍しいからってそんなに寄るな!



「勇者様、私思うんですけど、村の遺跡にあった壁画に描かれていたのはもしかして……」


「あ!思い出した!」



 そうだ!


 ファル村の遺跡の隠し部屋にあった壁画に、「魔の神」とか「龍王」ってワードが刻まれてたし、描いてあった。


 確か内容は……



『――――はエリンを地下の神ビレの血を引くミレーの民に奪われた。』


『ミレーの末裔達からは神の血が薄れ、時は人の世に――――――――し、エリンは人同士の争いが何度も続いた。』


『ある日、闇が太陽の光を飲み込んで大地から光を奪った。闇の日は何十日も続き、人々の心から生気が少しずつ失われ始めた。そして40日後、突然大地が怒り狂ったかのように揺れ出した。人々は恐れ狂い方々に逃げ始める。すると、人里を囲む山の向こうから1つの禍々しい眼が現れた。』


『山より現れたのは、嘗て光の神に討たれた筈の邪眼の巨人、魔の神だった。魔の神の邪眼は一瞬にして千の命を奪い、一夜にして100の村が滅んだ。魔の神は巨人や異形の兵を従えエリンの地だけでなく世界を闇で飲み込もうとした。』


『生き残った人々は必死に出逃げ回るが巨人はそれを見逃さなかった。幼子が倒れ、巨人に喰われそうになる。その時、天さえも震わせるほどの咆哮が聞こえた。そして、遠方の空より白き神と赤き神が飛んできた。2柱の神は巨人と異形の兵を駆逐し、魔の神と対峙する。魔の神の闇を白き神が光で打消し、赤き神が魔の神の体を炎で焼いていく。』


『だが、魔の神の力は凄まじかった。2柱の神の攻めに耐え抜き、邪眼を持って反撃していく。さらに、魔の神には恐るべき仲間がおり、それらは不気味な鳴き声を上げながら現れた。』


『魔の神の仲間は6柱の神々だった。天を飲み込む蛇、闇を吐く黒き蛇、12の羽を持つ赤き堕天使、深淵より来る蛇に化けし神、遥か東方の果てより来る異邦の神、そして地の底の国を統べし神の王。強大すぎる神々の前に、白き神も赤き神も為す術もなく破れようとした。』


『恐ろしき7柱の神、白き神と赤き神を苦しめ地に縛る。魔の神はエリンの地に残り、6柱の神々は眷属を引き連れ異邦へと散っていった。魔の神、邪眼の力で白き神と赤き神の命を奪おうとする。民達は恐怖と混乱に陥り、狂う者、自ら命を絶つ者も現れた。』


『人々が狂い始める中、1人の青年が剣と楯を持って魔の神に走り出した。青年は戦おうとするが魔の神の兵達によって行く手を阻まれる。そこへ、何所からともなく1羽の大鴉が飛んできて青年の前に降りてきた。大鴉は青―――――――――は魔の神の兵を倒していき、魔の神の元へと辿り着いた。』


『青年の周りに光の衣を纏った妖精が集まり青年に他の人々には聞こえない声で話しかけた。そこへ魔の神が邪眼を開いて青年を―――――――――五条の光が魔の神を貫き白き神と赤き神は解放された。』


『魔の神は不死身だった。大地より魔を吸うことで力を得ている魔の神は胸を貫かれようとも頭を潰されようとも死ぬことはなかった。戦っていた青年は疲れ果て倒れそうになった。それを見ていた大鴉は羽を広げて天を貫くような鳴き声を上げた。』


『―――――――3柱の女神の加護を得た青年はさらに雷を放つ剣を手にして魔の神に挑む。その時、さらに別の神々も現れ、青年と共に力を合わせて魔の神を倒す為に戦った。そして槍が邪眼を貫き、光が五体を切刻んで雷が心の臓を貫いた。』


『魔の神は“魂”と“力”と“体”の3に分けられて封印された。神々は何重にも封印をかけ、その鍵は――――と流浪する純潔の鍵に分けられた。闇の龍は白き神と赤き神により鎮められ、幾日と続いた戦いは終結した。』


『神々の戦いが終わり、魔の神と戦った神は女―――と結ばれ、翌年には2人の間に赤子が生まれた。赤子は父と同じ瞳と母と同じ髪を持って生まれ、後に―――の王となった。』



 って感じだった。


 この「魔の神」ってのが『魔神』バロールのことだ。


 そして多分、「闇の龍」が『太陽と月の龍神』クロウ・クルワッハだろうな。


 思いっきりラスボス臭がする……。


 村の遺跡の壁画は所々欠損していたけど………あ、ここに手乗りサイズの歴史の生き証人発見!



『ほうほう、この世の最も深き場所に直接接続し………ん?』


「……尋問開始!」


『キャァァァァァ!!』



 さあ、知っていることを吐け!吐くんだ!






--------------------------


――エオカイド遺跡 地下85階――


 一方その頃、遺跡の下層部にいたブラス達は、その進行速度をわずかに遅らせていた。


 理由は1つ、遺跡内の魔獣が下層部に集結し、遺跡のシステムに従い侵入者であるブラスを襲い始めたからだ。


 だが、遺跡内の魔獣が集まったても、僅かに進行速度を落とす事しかできなかった。



『ギャオオオオオオオオオオ!!』


「――――雑魚!」



 階層内に銃声が幾つも響く。


 ブラスの部下の1人は次々と襲ってくる敵を愛用の武器で瞬殺していき、尊敬する上司の進路を開けていった。


 他のブラスの部下達も同じように進路を妨げる敵を各々の武器や能力で屠って行き、階層内には次々と魔獣の屍が散らばっていった。



「――――これも、遺跡の罠でしょうね。」


「間違いないだろう。最下層に封印されているものの事を考えれば、これ位の罠は当然。この先の罠は、更に……」


「ブラス様?」


「……ネズミが遺跡内から消えた。」


「――――!」



 ブラスは士郎達が自分の感知網から消えた事を伝えた。


 支配下に置いた守護獣が倒されたところまではしっかり感知していたが、それから数分も経たない内に士郎達は遺跡の内部から消えた。



「消える直前、奴らと一緒に支配下に置いていない守護獣がいた。ならば、守護獣を味方に付けて隠し通路にでも入ったか……」


「つまり、こちらの距離的な優位性は失われている可能性があるということ……!!ブラス様!!」


「―――急ぐぞ。」



 ブラスは表情を険しくするとその歩みを早めていった。









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