第188話 ボーナス屋、エオカイド遺跡を進む4
『グオオオオオオオオオオ!!』
頑丈で、壊しても自己再生する遺跡の床を突き破って出てきたのはドラゴンだった。
全身を蒼い鱗で覆った、巨大化したコッコくんよりもさらに一回り大きなドラゴンだ。
その眼はあからさまに正気を失っていて、俺を見つけると真っ先に襲い掛かってきた。
『グオオオオオオオオオオオオ!!』
「勇者パンチ!!」
『グオッ!!』
重力や闘気を込めたパンチをお見舞いしてやった。
並大抵の相手ならこれで潰れたトマトだけど、流石ドラゴン、ちょっと後ろに吹っ飛んだだけだった。
『ゴケゴケ!ゴケゴケェ!(コッコ団!攻撃開始!)』
『『『ゴケェ~~~!!(おおお~~~!!)』』』
巨大コッコくんの合図で超コッコ団(仮称)が攻撃を開始する。
トサカビームやカンフーモドキ、嘴ブレードでドラゴンをフルボッコしていく超コッコ団。
凄い光景だな。
「コッコくん達、張り切ってますね。勇者様?」
「そうだな、アンナちゃん。」
「というか、今更だけどコッコ団に変なの混じってるよな?」
「本当に今更だよ。兄さん。」
「おい、クリスピーがどさくさに紛れて寝てないか?」
『(-ω- `)zzZ』
「起きろ!!」
新しい敵が現れたのにみんなマイペースだ。
そしてクリスピー、まさかお前、フクロウに動きを封じられたフリして寝てるんじゃないよな?
『グオオオオオオオ!!』
『『『ゴケェ~!?(うわあ~!?)』』』
あ、蒼いドラゴンがスーパーサ○ヤ人みたいになった。
超コッコ団(仮称)が吹っ飛ばされた。
『グオオオオオオオ!!』
なんか全身に鎧や大砲みたいなのが装備されていってないか?
多分、魔力や闘気を具現化させてるんだろうけど。
あの様子だと、あのドラゴンも守護獣だな。
【蒼く轟き響く破壊】
【分類】神の眷属
【属性】火 雷
【魔力】2,500,000/2,500,000
【ランク】SS++
【状態】洗脳(強)
【用途】――
【詳細】エオカイド遺跡を守護する5体の守護獣の内の1体であり、最高神ダグザの眷属。
破壊の力を持ち、この世に存在するもの全てを破壊する事ができるとされている。
口から放たれる蒼いブレスは物質だけでなく魔法さえも焼き尽くし、その爪と牙は物質を分子レベルで破壊し粉砕する力を持っている。
平時は他のドラゴンと大差の無い姿をしているが、戦闘時は自身の魔力を具現化させた武装を身に纏い、平時とは比較にならない火力で敵を一掃する。
防御力は物理・魔法の両方に対しても高く、並大抵の攻撃ではかすり傷1つ付けることが出来ない。
なお、全身を覆う鱗の1枚1枚には高密度の魔力が貯め込まれており、不用意に触れると偶に魔力が破裂して感電死・爆死する恐れがあるので要注意。
弱点は氷属性による攻撃で、体温が急激に下がるとそれに比例して戦闘能力も低下する。
ただし、魔力を具現化させた武装には耐寒の効果もあるのでそれを無効にしてからでないと攻略は難しい。
あと、無駄にしぶとい。
ランクだけならフクロウと同格だな。
けど、こっちの方が戦闘に特化しているようだ。
外見なんか、最初に見たのとは明らかに違う感じに変わっているよ。
ゾ○ドっぽいな。
あ、砲撃を開始した!
『グオオオオオオオ!!』
「コッコくん、みんなを下がらせるんだ!」
『ゴケ!(はい!)』
いくら超コッコ団(仮称)がとんでもなく強くてもあのドラゴンの相手は難しそうだ。
今のところは破裂してないけど、あのドラゴンの鱗は危険だから接近戦は避けて、距離を取って魔法で
フルボッコが良さそうだ。
あとは俺のクラウ・ソラスとブリューナクでサクッと止めだな。
「みんな、あのドゴンの弱点は氷属性だから、ヤツを丸裸にしたら魔法で氷漬けにするぞ!!」
『ゴケ!(はい!)』
「はい!勇者様!」
「わかりました!」
「あ、俺は氷属性無いや…。」
「俺もだ。」
『キュア!(あるよ!)』
なんかシャインちゃんもヤル気満々だな。
それはそうと、ドラゴンがこっちに集中砲火してきたぞ!
『グオオオオオオオオオオオ!!』
『ゴケゴケぇ!!(コッコバリア!!)』
武装化ドラゴンのフルバーストをコッコくんがバリアで防ぐ。
今思ったけど、あのドラゴンをコッコくんが食べたら、コッコくんの火力が上がりそうな気がする。
けど鶏って、肉食えたっけ?
『グオオオオオオオオオオオ!!』
武装化ドラゴンは荷電粒子砲っぽいブレスを放ってきた。
あ、コッコバリアに亀裂が…!
『ゴ…ゴケ…!(つ…強い…!)』
あの巨大コッコくんが押されてる…!?
さっきのフクロウとは桁違いのパワーのようだ。
俺達も加勢しよう!
「ありがとうコッコくん!少し休んでいてくれ!」
『ゴ、ゴケ!(は、はい!)』
コッコくんは俺達の後ろに下がった。
同時に、コッコくんの巨大化タイムは終了した。
「いくぞみんな!」
ここからは俺達のターンだ!
俺達は各々の武器の力を解放させていく。
おいおい、ヒューゴのペンドラゴンは兎も角、なんか他のも凄い力を放ってるぞ?
「くらえ!」
ロルフは剣からカッコいいビームを発射した。
さっきから気になってたけど、ロルフの持っている剣、なんか凄くないか?
思いっきり「聖剣!!」ってオーラを放ってる…。
とか思っている内に、ロルフの放ったビームが武装化ドラゴンに直撃した。
『グオッ!?』
「よし!効いてる!!」
スゴ!
武装化ドラゴンが吹っ飛んだだけじゃなく、武装にヒビが!
さっき手に入れた守護獣の指輪の効果もあるのか、一撃だけで凄い威力になってる!
『グオオオオオオオオオ!!』
武装化ドラゴンはすぐに立ち上がって、口からさっきの荷電粒子砲っぽいブレスを、全身の砲台から蒼い炎弾を撃ってきた。
伝わりにくいかもしれないが、小さな街なら軽く消してしまうほどの威力はありそうだ。
「曲がれ!」
ケビンは魔法で目の前の空間を捻じ曲げた。
武装化ドラゴンの攻撃は俺達の手前でUターンしていった。
『グボアァァァッ!!!』
武装化ドラゴンは自分の放った攻撃を受けて大爆発した。
おお!
武装化ドラゴンの武装が瓦礫のように崩れ始めている。
どうやら“破壊の力”とやらは、奴自身にも効果があるみたいだな。
「うおおおお!!《暴嵐の斧撃》!!」
ジャンは凄そうな斧から衝撃波を放った。
「《竜殺の十文字》!!」
そしてヒューゴは愛剣のペンドラゴンから十文字の斬撃を放った。
『グオオオオッッッッ!!!』
2人の攻撃が直撃し、武装化ドラゴンは大爆発した。
うわあ、もしかして俺の出番ってナシ?
『グオオオオオオオオオオオオオオオ!!』
でもないみたいだ。
武装化ドラゴンから魔力が爆発して、また姿が変り始めた。
全身が大きく膨れ上がり、崩壊し始めていた
最初の武装化前の姿が第一形態なら、次は第三形態ってところか。
させないけど。
「いけ!クラウ・ソラス!ブリューナク!」
俺はクラウ・ソラスとブリューナクを武装化ドラゴン(変身中)に向かって振るった。
ブリューナクの5本の光が武装化ドラゴン(変身中)の5か所を貫き、その直後にクラウ・ソラスから放たれた光の奔流が武装化ドラゴン(変身失敗)を飲み込んで武装を消し去った。
『グオオオオオオオ!!』
「ブレスきた!」
あのドラゴン、痛覚が麻痺してるのか?
ブリューナクに貫かれた傷口から大量の血が流れているのにすぐに反撃してきた。
余裕でバリアで防御したけど、ブレスの当たっている床や壁がボロボロと崩れ始めている。
あ、よく見たらドラゴンの爪に触れている床の一部が割れ始めている。
……なんか、嫌な予感がしてきたな。
『グオオオオオオオオオオ!!』
それにしても長いブレスだな。
息切れしないのか?
じゃなくて、もうさっさと止めを刺すぞ!
「ケビン、コッコくん、一気に氷漬けにするぞ!」
「はい!!」
『ゴケ!(はい!)』
俺はバリアをドラゴンの目の前まで押し、ドラゴンがバリアから跳ね返ったブレスを全身に浴びるようにした。
さすがに自滅はしないように洗脳されているようだ。
ドラゴンはブレスを止め、バリアを横に避けて接近しようとしてきた。
今だ!
「《氷結地獄の閃光砲》!!」
「《白き終焉の神風》!!」
『ゴケッゴゲッゴォ!!(《絶対零度の神鶏息吹》!!)』
俺達の2人と1羽の攻撃がドラゴンに直撃する。
ドラゴンどころか、この階層全体を余裕で飲み込む冷気の爆発から自分たちの身を護りながら俺達は爆発の余波がおさまるのを待った。
『――――――』
ドラゴンは真っ白な像になって死んでいた。
ふう、やっと終わった。
――――ピロロ~ン!
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
『エオカイド遺跡、下層部解放』
聖都教皇庁地下にあるエオカイド遺跡の下層部が、先程ブラス=アレハンドロにより解放された。
・
・
・
▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲
マズイ、守護獣の相手に時間を取られ過ぎた!
作者:しまった!進行ペースが無駄に遅くなってしまった!守護獣は全員即死してもらうべきだったか・・・!?主人公のチートさが上手く使えていない・・・。