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ボーナス屋、勇者になる  作者: 爪牙
港町ヴァール編
19/465

第17話 ボーナス屋、自慢話を聞かされる

今日から平日も10時更新になりました。


「フウ、待たせてすまなかった。」



 十分後、領主のオッサンはスッキリした笑顔で戻ってきた。


 気のせいか、顔が少し若返って見えるのは気のせいか?


 ちなみに、待ってる間は暇だったので執事さんのボーナス取得を済ませておいた。



【名前】ヘンリク=カップ

【年齢】65  【種族】人間

【職業】執事 領主補佐  【クラス】伝説の執事長

【属性】メイン:木 サブ:土 水 火 風 光

【魔力】10,500/10,500

【状態】正常(完全健康体)

【能力】攻撃魔法(Lv2) 防御魔法(Lv3) 補助魔法(Lv2) 特殊魔法(Lv2) 属性術(Lv2) 剣術(Lv1) 体術(Lv3) 鑑定

【加護・補正】物理耐性(Lv2) 魔法耐性(Lv2) 精神耐性(Lv3) 木属性耐性(Lv4) 豊穣神フォドラの加護 完全健康体 忠実なる者

【BP】60pt



 執事さんは180ptを消費して〈完全健康体〉、〈属性術適正〉、〈鑑定〉、〈ステータス〉、〈魔力上昇〉、後は各種魔法や趣味の園芸や料理の知識・道具などを取得した。


 本当はもっと凄いボーナスも交換可能だったが、執事さんはあまり欲がないようだ。


 それにしても、『伝説の執事長』って一体・・・・・・・?



「ハハハハ、こんなに爽快な気分になったのは久しぶりだな♪」



 出すもん出し切ったんだから当然だな。


 それに、痔の方も痛みが和らいでいるみたいだな。


 あ、そういえば“あれ”を渡すのを忘れてたぜ!



「爽快な気分のところ申し訳ないけど、これを見てくれますか領主様?」


「――――――――これは!?」



 俺が渡したのはここに来る前に筋肉ダルマから失敬したドゥンケル商会の裏帳簿や手紙の数々だ。


 危うく渡すのを忘れるところだったぜ♪


 と、ここで再びロビンくんの説明タイムだ!



「ドゥンケル商会が裏で雇っている者達が持っていた物です。その者達は既に捕まっています。これは取引ではなく、あくまで領民からの告発(・・・・・・・)として受け取ってください。」


「凄いぞこれは!これさえあればドゥンケル商会の悪事を今度こそ白日に曝す事ができるぞ!!ヘンリク、すぐにこれを各所に渡してドゥンケル商会を押さえるんだ!!」


「―――――――畏まりました。」



 どうやら領主も以前からあの商会を調べていたみたいだな。


 けど、決定的な証拠がなくて今まで動けなかったってことか。


 証拠を持った執事さんは早足で部屋から出ていった。



------------------


 その後、お昼近くになったので領主のオッサンの好意でランチを御馳走になりながら執事さんの報せを待った。


 ちなみに、ランチにはオッサンの家族も同席している。



「ハハハハ、私のクリスティーナは食事をしている時も可愛いな~~~~~~♡」


「お父様ちょっと邪魔~~~~~~!」


「あなた、お客様達が見ているのよ?」


「ハハハハ、むくれたお前も可愛いな~~~~~~~~♡」



 うわあ・・・・・・・・。


 さっきまでの領主らしい印象が一気に崩れてるよ。


 領主のオッサンはさっきから愛娘クリスティーナの自慢話ばかりをしている。


 私の娘は絶世の美女になるとか、一歩間違えたら傾国になるとか、嫁には絶対に出さないとか、とにかく耳にタコができるほど自慢してきている。


 ん?絶世の美女と傾国って同じ意味じゃなかったっけ?



「(・・・・・・ロビンくん、これまだ聞かなきゃ駄目?)」


「(・・・・・ヘンリクさんが来るまでの辛抱です。我慢しましょう。)」



 我慢て言ってもな~~~~~~。


 自慢話が五月蠅くて食事もなかなか喉を通らないって!


 どうにか気を紛らわせたい気分だ。



「(そうだ、奥さんのお嬢ちゃんのステータス見てみないか?)」


「(・・・・領主様にも見えるんじゃないですか?)」



 ロビンくんは反対のようだけど、俺はとにかく見て見たくなった。


 理由?オッサンの娘自慢から気を紛らわせたい、それだけさ!


【名前】クリスティーナ=N=アンデクス

【年齢】8  【種族】人間

【職業】見習い魔法使い  【クラス】伯爵の愛娘

【属性】メイン:水 土 サブ:風 氷 木

【魔力】4,200/4,200

【状態】不愉快

【能力】攻撃魔法(Lv3) 防御魔法(Lv2) 補助魔法(Lv2) 特殊魔法(Lv3) 剣術(Lv1) 弓術(Lv2)

【加護・補正】魔法耐性(Lv2) 水属性耐性(Lv2) 土属性耐性(Lv2) 魔女神ケリドウェンの加護



 うわあ、思いっきり機嫌が悪くなってるな。


 奥さんの方はどうだ?



【名前】コルネリア=F=アンデクス

【年齢】31  【種族】人間

【職業】魔法使い  【クラス】伯爵夫人

【属性】メイン:風 サブ:水 氷 雷

【魔力】7,500/7,500

【状態】妊娠中(3週間目)

【能力】攻撃魔法(Lv2) 防御魔法(Lv3) 補助魔法(Lv3) 特殊魔法(Lv2) 弓術(Lv1)

【加護・補正】魔法耐性(Lv2) 精神耐性(Lv1) 風属性耐性(Lv3) 麻痺耐性(Lv2) 魔女神ケリドウェンの加護



「「―――――――――!」」



 あれ?もしかしなくてもオメデタ!?


 隣のロビンくんもビックリしてるよ。


 一応、領主のオッサンにも教えておくか?



「領主様、これを見てください!」


「!?」



 ステータス画面を見せた途端、オッサンの顔は目を丸くした状態で固まった。


 ちなみに、奥さんやお嬢ちゃんにはステータス画面が見えていないから何が起きているのか分からない。


 その後の事の展開を簡単にまとめると以下のようになる。


1、オッサンが奥さんを抱きしめる。


2、混乱する奥さんにロビンくんが説明する。


3、とりあえず、奥さんとお嬢ちゃんにもボーナスで《ステータス》を取得させる。


4、今度は全員で確認してみんな大喜び。


5、そして今に至る。



 もの凄くハッピーになった領主一家はどんどん俺達に料理を勧めてきた。



「ハッハッハ!ついにクリスティーナもお姉さんか!」


「お母様、生まれるのは何時頃ですか?」


「そうね、次の春頃かしら?」



 何だか少し気の早い話になってきたな。


 って、次から次に料理が運ばれてくる!?


 もうお腹一杯だって!



「旦那様!!」



 と、ここで執事さんがカムバック!



「おお、戻ったかヘンリク!実は私の――――――」


「それよりも、ドゥンケル商会が大変な事に!!」


「――――――何があった!?」



 執事さんの言葉に、領主のオッサンは一瞬で仕事モードになった。


 切り換え早っ!



「兵と共にドゥンケル商会に行ったのですが・・・・・」


「逃げたのか!?」



 領主のオッサンは立ち上がって執事さんに問い返した。


 え!?せっかく証拠が揃ったのに逃げられたのか?



「いえ、それが・・・・・」


「どうした、早く話せ!」


「・・・・・・それが、腹を下して転げ落ちて馬に蹴られて海に落ちて船に跳ねられて病院送りになりました!」


「「「は・・・・・?」」」



 俺達は揃って同じ顔をした。


 執事さん、何言ってるの?



「・・・・・意味がわからん。順を追って話せ。」


「はい。旦那様の命を受けてすぐ、私は兵を率いてドゥンケル商会に行きました。」


「うむ、それで?」


「中に入ると、会長のヨドーク=ドゥンケルを含む職員全員が嘔吐した上に腹を下していました。おそらく、魚介類による食中毒かと。」


「この時期は多いからな。」



 集団食中毒か。


 そういえばこの世界も今は夏だし、衛生管理は日本より悪いみたいだしな。魚や貝で当たってしまったってことか。



「それでどうにかヨドーク氏を見つけて拘束しようとしたのですが、抵抗して逃げ出し、階段で躓いて下まで転がってしまったのです。」


「―――――――やはり逃げ出そうとしたか。」



 まあ、予想できる反応だな。


 しかし、食中毒で階段から転げ落ちるって運の悪い奴だ。同情はしないけどな。



「片腕を折ったらしく、痛みに悲鳴をあげながらも外に出たところで馬に蹴り跳ばされて海に落ちました。」


「逃げなければ良かったものを・・・・バカな男だ。」



 下手すりゃ死んでたな。


 というより、馬の足ってマジで力が凄いから普通は死んでるかもな。



「ケガで泳げないところにたまたま漁船が帰ってきて、運悪く跳ねてしまいました。」


「・・・・・呪われてでもいるのか?」



 むしろ呪ってた側なんだけどな。


 けど、確かに呪われてるかの不運の連続だな?


 もしかして、俺がフライハイトさんの呪いを解いたから何かしらの影響があったのか?


 漫画とかでも、呪いが破られたら呪った人間が死んだり不幸になる話は結構あるからな。可能性はゼロじゃないか。



「その後、どうにか引き上げて医者に見せようとしたのですが、途中で鳥や犬に襲われたりして時間がかかりました。」


「・・・・・・そうか、それで商会の方はどうなっている?」


「それが・・・・・・ヨドーク氏を医者の元に送り届けた後に戻ってみると、商会の建物が全壊していました。どうやら柱が何本もネズミや小型の魔獣に食べられていたようです。」


「・・・・・・・・・・。」



 あらら、領主のオッサンあんぐりしてるよ。


 これはもう呪いの反動か悪魔の八つ当たりかなんかだな。


 しかし、商会そのものが呪われるって・・・・・・やっぱリスク高いんだな呪いって。



「現在、兵達が職員を拘束しながら残骸などの中から他の悪事の証拠などを探しています。」


「そうか、ならドゥンケルの件はもう大丈夫か。後は今までの被害者達への保障や、ドゥンケル商会がやっていた事業の―――――――」



 はい、ここからはいろいろ難しい話になってきたからカット!


 簡潔に言えば、ドゥンケル商会は解散、ドゥンケルがやっていた事業の一部を別の商会に引き継がせなければいけないという話だ。


 そこで俺とロビンくんはフライハイトさんを紹介してみた、ついでにドゥンケル商会に呪われたり毒盛られたりしていた事も説明した。


 呪いの事を話したらどうやらすごく納得していた。執事さんの話だと、やはり呪い関係には高いリスクがあるらしく、ドゥンケルの不幸の連続はその代償で間違いないようだ。


 やっぱりな、俺は呪いには絶対手を出さないぞ!



-----------------


 その後、俺とロビンくんは用が済んだので城を後にすることになった。



「では、後の事はまた後日話すと言うことで。」


「もう帰るのか?これから妻の懐妊祝いの宴をやるのだが・・・・・」



 もう十分だって!


 というか、まだあれだけじゃまだ足りないのか?貴族の考えはやっぱわからん。



「―――――またのお越しをお待ちしております。」



 執事さんは丁寧に頭を下げて挨拶してくれた。


 まあとりあえず、俺達は領主の館を後にした。



「――――――シロウ殿、この後はどうしますか?このままフライハイト商会の方に戻りますか?」


「そうだな、けど、この町にって冒険者のギルドとかってあるのか?」



 熊のオッサンの話を聞いた時からになっていたけど、やっぱ異世界といったら冒険者ライフだよな?



「冒険者ギルドですね。それならこの町にもあるはずですよ?」


「よしっ!じゃあ早速行ってみるぜ!」



 善は急げだ!


 何か燃えて来たぜ!



「そうですね、私もこれからは別の肩書があった方が動きやすいですし、一緒に登録しに行きましょう。」


「よし!なら、早速出発だ!」


「はい!」



 と言う訳で、俺達は冒険者ギルドに向かって歩き始めた。


 そこで俺達を待っていたのは・・・・・・・・・・!?






とりあえず領主様とは今日はここでお別れです。

これから長い付き合いになります。


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