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ボーナス屋、勇者になる  作者: 爪牙
聖国編Ⅱ-エオカイド遺跡の章-
189/465

第183話 ボーナス屋、遺跡に突入する

――ファリアス帝国 帝都タラ ファリアス宮殿――


 バカ皇帝については無視し、とりあえず枢機卿団の爺さん達をファリアス宮殿に避難させた。


 そしてロビンくんに聖都の状況を素早く説明、聖都の住民の救助と聖都で暴れる魔獣の対策を相談した。



「住民達はシロウ殿に任せます!ゴリアスの時みたいに、住民全員を安全な場所に転送してください!」



 簡単に言ってくれるね?


 多分、できるけど。



「じゃ、ちょっと聖都の街に行ってくる♪」






--------------------------


――聖国 聖都――


 俺はクラウ・ソラスで開けた穴を越えて教皇庁に戻り、そこから聖都の街に転移した。


 そして見晴らしの良い場所に登り、街全体を見渡しながらクラウ・ソラスを勢いよく振るった。



「―――対象は敵以外の人間(ついでにペットや家畜も)!《強制転移閃光斬(トランスファースラッシュ)・円》!」



 俺を中心に、聖都全体がクラウ・ソラスの光が包み込んでいった。


 そして聖都にいる一般人や、魔獣と戦っている騎士団や冒険者達の姿は一瞬で聖都から消えた。


 転移先は聖都の郊外、俺達が聖国で最初に来た場所だ。


 あそこなら取り敢えずは安全だろう。



『ゴケェ~!(勇者様~!)』


「お?コッコくん、無事だったみたいだな?」



 教皇庁地下に戻ろうとした時、コッコくんが仲間を引き連れて俺の下に集まってきた。


 当然の如く全員無事だが、気のせいか、数が増えている(・・・・・・・)ような…?



『ゴケェ!ゴケゴケェ~!(新人共!しっかりついて来い!)』→レバーくん


『『『ゴケゴケェ!(ハイ先輩!)』』』→聖都の愉快な鶏達


『ゴケゴケェ!(ヘイ兄貴!)』→轢き逃げされてた某鶏魔獣


『ビエビェ~!(一生ついていきやす!)』→鶏ですらない魔獣



 思いっきり増えてる!!


 なんか、敵だった魔獣も普通に混じってないか!?



〈シロウさん、大変です!!〉


「どうしたケビン!?」


〈お、お姉ちゃんが聖都(こっち)に来ちゃいました!!シロウさんと一緒に遺跡に潜ると張り切っています!〉


「…え?」



 お姉ちゃん……って、アンナちゃん!?


 何でアンナちゃんがこっちに来てるんだ!?



〈シロウさんが開けた穴の前にいたら、偶々帝都に来ていたお姉ちゃんに見つかったんです。すみません。押し切られてしまいました。〉


「そ、そうか…。」


〈勇者様!!私、頑張ります!!〉


「………が、頑張ってね。(^_^;)」



 なんだか、俺の知らない所で色々と動いてる気がする。




――――ピロロ~ン♪




 今度は何!?



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『エオカイド遺跡、中層部解放』


 聖都教皇庁地下にあるエオカイド遺跡の中層部が、先程ブラス=アレハンドロにより解放された。

 ブラス=アレハンドロは4人の部下達と合流し、『至宝』の“鍵”となる者達を自身専用の収納空間に監禁して遺跡の中層部に侵入した。

 尚、ブラス=アレハンドロは聖都に残している部下達の敗北を逐一察知している。


▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲



 マズイ、俺達も急いで遺跡に向かわないと!


 些細な事を気にしている場合じゃない!




――――ピロロ~ン♪




▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

『各国首都に上位魔獣の軍勢襲来』


 今から5秒前、ミストラル王国、クラン帝国、アルバン帝国の3ヶ国以外のダーナ大陸諸国の全ての首都上空に召喚系大型魔法陣が出現し、中から上位種の魔獣が次々に出てきた各国首都に降下している。

 出現した魔獣の総数は既に1万を超えており、魔法陣が保有する魔力から、最終的には10万に達する恐れがある。

 各国首都では、聖都への救援活動及び敵対勢力制圧の為に集まっていた軍や騎士団が急遽首都の防衛に回り戦闘を開始している。

 尚、召喚されている魔獣達は、ブラス=アレハンドロの部下の1人、ポーレット=H=ブーヴェによりすべて支配されている。


▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲



 な、何だと…!?



〈おい!帝都に魔獣の群が降って来たぞ!?〉


〈ファイヤー・ドレイクが100体くらいいるぞ!!〉



 急いでブラス達を止めないと…!!






--------------------------


――聖都地下 エオカイド遺跡――


 急いで教皇庁地下に転移した俺は、ヒューゴ達や急きょ参加のアンナちゃん、そしてコッコくん率いる超コッコ団(仮称)と共に更に下まで降り、ようやく遺跡への入口に辿り着いた。


 遺跡の入口は開けっ放しに遭成っていて、意外にも見張りもトラップも無かった。


 逆にそれが怪しかったけど、考えている時間も惜しい俺達は遺跡内部へと突入した。



「なんだか、ファル村の遺跡よりも空気が重いですね。」



 アンナちゃんは遺跡に対する俺と同じ感想をこぼした。


 そうだ。


 この遺跡は、ファル村の遺跡やゴリアスのドルドナ遺跡とは漂っている空気が明らかに違う。


 まるで、巨大な“何か”の膝元にいるような、危険とも恐れ多いともいった感じの空気だ。


 まあ、重いと言っても、大魔王が名古屋地下に勝手に造った迷宮にはかなり劣るけどな。



『ゴケッ!(勇者様!)』


「ああ、分かってるよコッコくん!」


『キュア!キュアキュア!!』


「どうした、シャイン?」



 俺とコッコくんは接近してくる敵にいち早く気付いた。


 シャインちゃんも気付いたようだが、ヒューゴにはシャイン語は通じなかった。



『…イマスグニ、タチサレ…』


『タチサレ…』


『タチサレ…』



 そして遭遇したのは幽霊騎士団だった。


 あからさまに人魂を周囲に浮かばせたその集団は、自我があるのかないのか、何度も俺達に向かって「タチサレ」と言いながら剣を抜いて襲い掛かってきた。



遺跡の幽霊騎士(エオカイド・ファントムナイト)

【分類】地縛霊

【属性】土 火

【魔力】80,000/80,000

【ランク】B

【状態】強制支配下

【用途】なし

【詳細】生前未練を残したまま戦死したムリアス公国の騎士の魂の成れの果て。

 成仏できずに現世を漂った末、エオカイド遺跡の力に捕らわれてしまい、遺跡の防衛システムの一部に変質させられてしまった。

 生前の自我は僅かだけ残っており、ある程度は会話はできるが、基本的には遺跡のシステムに与えられた命令通りにしか動けない。

 霊体なので基本的に物理攻撃は通じず、仮に魔法などで倒したとしても一定の時間が経過すれば遺跡の力で復活する。

 確実に倒すには、一時的にでも彼らを縛る遺跡の力を上回る浄化系の力による浄霊のみ。

 ちなみに、エオカイド遺跡内には全部で10472体いる。



 全部で1万以上いるって・・・。


 囚われている騎士の魂、多過ぎだろ。



『カエレ…ソトニ…』


『コロシ…タク…ナイ…』



 幽霊騎士団の中には涙声で俺達を追い返そうとしている。


 自分の意志に反して戦うことに苦しんでいるようだ。



『…ヒャッハァ!!』


『チヲ…ミセロ…!』



 …そうでもないのもいるようだ。


 兎も角、今は時間も惜しいからさっさと片付ける!



「《邪を退ける神剣の浄化(ディバインピュリフィケーション)》!!」


『『オオ………!!』』



 ゴリアスでエレイン(堕天使モード)と戦った時に使った浄化の光が幽霊騎士団を飲み込んでいく。



『ああ……やっと……』


『温かい光…』


『心が…軽い…』


『もう、戦わなくていいんだ…』


『ありがとう…』



 幽霊騎士団は成仏していった。


 流石クラウ・ソラス、この遺跡の呪縛も一発で解放だ!



『ギャァァァァ!!魂が焼けるぅぅぅぅぅ!!』


『来世で覚えていろぉぉぉぉぉ!!』



 ……さあ、先を急ごう!







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