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ボーナス屋、勇者になる  作者: 爪牙
聖国編Ⅱ-エオカイド遺跡の章-
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第179話 ボーナス屋、聖国に行く

――ジェダイト公爵邸 医療棟――


 ロルフのお祖母さんは色々とカミングアウトしていった。



「私、実は異世界人なんですよ。」


「「「ええええええええええ!!??」」」



 俺とロルフのお祖母さん以外は声を上げて驚愕した。


 まあ、ブラスの奥さんの時点で予想はしていたけどな。


 けど、そうなると当然だけどロルフのお母さんも異世界人で、ロルフは互いに違う世界の人間の両親の間に生まれた一種の混血児(ハーフ)ということになるのか?


 そしてどうやってこの世界に来たのかという謎も浮上するが、これはおそらく俺と同じく《奇跡の書》だろうな。


 双子執事さんの回想話によれば、何かの事故的に召喚されたっぽいし、何かの意図があって召喚された訳ではなさそうだ。


 一応、確認してみるか。



▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

『検索:奇跡の書、異世界人召喚、ミストラル王国』


 ミストラル王国で《奇跡の書》による異世界人召喚は過去に2度行われている。

 1度目は26年前、ゴリアス国王家の王立図書館より流出した《奇跡の書》をミストラル王国内へ運んだ商隊のメンバーの1人が悪ふざけで《奇跡の書》に触れ、意味も解らずに異世界人召喚を行い暴発した。

 2度目は9日前、当時のミストラル国王の命により、1度目と同じ《奇跡の書》により勇者の召喚が行われ、終わった。

 ミストラル王国の《奇跡の書》は現在、旧・クラン帝国をいじっている『魔王』が所有している。


▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲



 やっぱり予想通りか。


 後半の部分は、とりあえず今は直接関係ないので忘れよう。


 すると、ロルフのお祖母さんは次のカミングアウトをした。



「私、実は一度死んでるんです。」


「「「えええええええええ!!??」」」



 今度は俺も声を上げて驚いた。



「不思議ですよね♪」



 「ね♪」じゃないだろ!


 これってアレか?


 異世界召喚ネタでよくある、死んだと思ったら異世界にいた、っていうアレか!?

 マジでそんなのもアリなのか!?



「夫に逆恨みをした人に娘が殺されそうになったのを庇って死んだ筈なのに、気付いたら娘と一緒にこの世界に来ていたのですよ。しかも、娘が言うには、この世界に来た日は私が死んでから何日も経った後だそうなんですよ。」


「・・・お祖母ちゃん、一体何言ってんだよ!?」



 ロルフは混乱している。


 この世界の生まれ育ったロルフには、こういう話題には頭が付いていけないようだ。



「・・・それにしても、私とアリシアがこっちにいる間に、あの人は随分と落ちぶれたそうですね?これは、後でたあ~~~~~~~っぷりとお灸をすえないといけませんね♡」


「「「ヒィィィ!!」」」



 俺達は思わず引いてしまった。


 俺には見える!


 ロルフのお祖母さんのバックに、般若や恐怖の女神のシルエットが・・・・!!


 ・・・(ブラス)、死亡フラグ成立だな。



「……本当にバカな人よね。」


「お祖母ちゃん?」


「皆さん、詳しい事情は分かりませんが、あの人の所へ行くのですよね?でしたら、ロルフも一緒に連れていってくれませんか?」


「え!?」


「ロルフ、ちょっと貴方のお祖父さんを半殺しにしてきなさい。あ、原型は留めておきなさいね?私もヤル(・・)から。」



 このお婆さん、旦那(ブラス)より怖いな。


 それに度胸がありすぎる気がする。


 自分の旦那が悪の道に落ちているのに、あんまり動揺する様子もない。


 そんな訳で、聖国へはロルフも同行することになった。


 あ!コッコくんを起こしに行かないと!







(――――母なる神(・・・・)よ、長き“封”を解き、どうか(ロルフ)と孫の友人達をお守りください・・・!)






 この時、ロルフのお祖母さんが心の奥で誰かに祈りを捧げていたことを、俺は最後まで気付くことはなかった。







--------------------------


――聖国 聖都郊外――



〈――――という訳で、聖都の前に来た!〉


〈……出発する前に連絡してください。〉



 俺達は聖都の手前に来ていた。


 そして帝都にいるロビンくんに《念話》で連絡したんだけど、もっと早く連絡してほしいと説教されてしまった。


 それは兎も角、聖都は凄い結界で囲まれていた。


 まるでオーロラのカーテンのような結界が聖都の周りを囲み、その効果は地面の下や空の上にまで及んでいる。



〈この結界、多分ロビンくんの魔法でも無視して超えるのは難しいだろうな。俺なら余裕だけど♪〉


〈そうですか。どの道、聖国は宗教国家で尚且つ中立国ですから、ファリアス帝国単独で介入するのは難しいです。堂々と介入する為には、聖都にいる司祭以上の立場の者、できれば枢機卿の1人の救援要請が必要です。〉


〈了解!それっぽい人を見つけたら、手当たり次第そっちに送る!〉


〈私も父上を捕まえてきた(・・・・・・)ので、これから連合の各国にも協力を呼び掛けます。シロウ殿、弟達を頼みます!〉



 ロビンくんとの連絡はここで終わり、俺は再度、聖都を囲む結界に視線を移した。


 うん、何度見ても凄い魔力を感じるな!



無限極光堅牢壁(セイクリッド・オーロラプリズン)

【分類】神術結界

【属性】無(全属性)

【品質】極上

【保有魔力】∞

【術者】ブラス=アレハンドロ

【詳細】ブラス=アレハンドロが『無限神』ウロボロスの力から授かった力を利用して創った《結界魔法》。

 無尽蔵の魔力により、術者が解除しない限り永続的に対象を閉じ込め続ける。

 結界内部は外界から完全に隔絶され、転移系魔法及び能力による侵入はほぼ不可能であり、内部からの通信系魔法及び能力も遮断される。

 物理攻撃は完全に無効化し、魔法による攻撃も魔力500万以下の攻撃は全て無効化される。

【弱点】無属性の魔力500万以上による一点集中攻撃、または一部の『神器』による攻撃でのみ一時的に穴を開けることが出来る。



 《鑑定》が《勇者之大鑑定》に進化したお蔭で、得られる情報も一気に増えたな。


 弱点まで一目で丸解りだ♪


 俺のクラウ・ソラスやブリューナクがあれば、この結界も突破可能だな!



「シロウさん、大変です!」


「どうした!?」



 そこにケビンが慌てた様子でやってきた。


 何かあったのか!?



「結界が・・・!」


「結界に何かあったのか!?」



 もしかして、俺達の存在を察知してトラップとかが作動したのか!?


 トラップがあるなんて、鑑定情報には無かったのに!



「コッコくんとシャインちゃんに食べられてます!!」


「…………え?」



 俺は呆けながら、結界のある場所に視線を向けた。


 すると、そこではオーロラのような結界をバリバリボリボリと食べまくっているコッコくんとシャインちゃんの姿があった。


 ちなみにクリスピーくんは寝ていた。


 まだ寝たりないのかよ!



「―――というか、シャインいたのか?」



 飼い主(ヒューゴ)がいるんだから、シャインが一緒にいても変じゃないけど、今の今まで姿すら見なかったな。


 今まで何所に居たんだ?



「それより、あれって大丈夫なんですか!?お腹壊したりしないんですか!?」


「いや、お腹を壊す以前の問題じゃないか?あれ?」



 コッコくんは今更だとして、シャインは食べて大丈夫なのか?


 そもそも、結界って食えるものなのか?


 物理攻撃は無効とかって載ってなかったか?



『ゴケェェェェェェ!!』


『キュァァァァァァ!!』



 あ、コッコくんとシャインの体が輝き始めた!


 これって、進化か?







 ようやく聖国に来ました。

 なお、シャインちゃんはヒューゴの服の中に隠れていました。


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