第153話 ボーナス屋、神に依頼される
――某公立高校 1年D組――
さて、突然ですが第2のクイズです。
音楽の次の現国の授業で、クラス担任でもある現国教師のステータスを確認したら以下のようになりました。
これが意味する者は何でしょう?
【名前】『知恵神』八意思兼神
【年齢】不詳 【種族】神
【職業】神 教師 【クラス】受験の神様
【属性】闇 土 風
【魔力】8,850,000/8,850,000
【状態】正常
【能力】――詳細不明――
【加護・補正】――詳細不明――
【BP】9999
音楽教師だけじゃなく担任教師も神様ってどういうこと!?
『受験の神様』って、比喩でも冗談でもないよ!
「そこ!授業に集中しろ!」
「痛い!」
チョークで狙撃されてしまった!
本当に痛い!!
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――某公立高校 保健室――
そして俺は保健室に呼び出されてしまった。
「あれ?何で他の先生達も?」
そこには例の担任と音楽教師以外にも、家庭科教師もいた。
まさかとは思うが・・・
【名前】『漬物女神』鹿屋野比売神
【年齢】―絶対秘密― 【種族】神
【職業】神 教師 【クラス】家庭科の女神
【属性】木 水 土
*以下略
この学校、何人神様いるんだよ・・・。
「――――先生達の正体を知った以上、お前を野放しにはしておけない・・・」
おい担任、脅迫するのかよ!?
ならば、こっちも脅迫でお返しだ!
「大魔王、呼んでいい?」
ちなみに冗談だ。
大魔王との連絡方法なんか知らないからな。
「「ダメエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!」」
「大羽、冗談だ!!先生を信じろ!!」
神様先生達は必死の形相で叫びだした。
真っ先に脅しておいて何言ってるんだ、この担任。
けど、ちょっと面白そうだからもっと脅かしてみよう。
「じゃあ、バカ龍王を・・・・」
「それもヤメテ!!」
「大羽くん、2学期の成績上げてあげるからそれはヤメテ!!」
「加護もあげるからヤメテくれ!!喰われてしまう!!」
大魔王だけじゃなく、銀洸も神様達に恐れられているようだ。
というか、内申点をとかって教師が言っちゃダメだろ!
かくして、俺は更に3柱の神様の加護をゲットしちゃったのでした♪
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「・・・出稼ぎ?」
「先生、マイナーな(自称)中小の神様だから・・・。」→オモイカネ(担任)
「私も・・・・・・」→カヤノヒメ(家庭科教師)
「私は一応は大手だけど、近年は若い参拝者が減少傾向だし、年末年始以外は厳しいから・・・。っそれに七福神の中でも大黒や恵比寿と比べたら・・・。」→弁財天(音楽教師)
神様の世界も不景気だそうだ。
全国的に有名な弁財天先生も厳しいそうだ。
確かに、俺も七福神と言えば大黒様や恵比寿様を先に思い浮かぶからな。
「というか、教員免許とかどうしたんだ?」
「「「そこは神の力で!」」」
言い切りやがった。
案外、この神様達のせいで教員採用受けられない人が大勢いたりして・・・?
日本の就職氷河期の原因は神!?
「そういう訳で、この事は内密に頼む!高天原にも内緒にしているから!」
「よくバレないよな?」
「フフフ、先生は高天原の知恵袋とも呼ばれているからな!知恵を振り絞ればこれ位朝飯前なのだよ♪」
「ならもっと稼ぎ方とか考えろよ!」
「いや、それは・・・・。」
「この神、昔はエリートキャリアで要職に就いていたけど、今は学問神としての座も菅原道真殿に奪われて年々マイナー化してて、知恵だけじゃどうにもならなくなってきているのよ。」
「・・・・・・。」
確かに、今じゃ学問の神様と言えば天神様こと菅原道真がメジャーだからな。
「それに、この神の息子達も同じ学問の神だから・・・」
「先生、既婚者だったんだ。」
「この2人もだがな。」
「「離婚しました!!」」
「この神は気象庁にも祭られているし、社もそこそこあるからまだ少しマシだけど、息子の方は・・・。妹はアマテラス様の息子に嫁いでニニギを産んだことで今も安定しているのにね。」
「血筋が良いだけじゃ厳しいのよ。この業界は。」
後で知ったことだけど、先生の妹は日本の皇族の祖先で息子と一緒に祭られたりしていて、兄である先生よりも安定した暮らしをしているらしい。
というか、先生は自分ではマイナーとは言っているが、実際には主祭神として祭られている社が結構あり、厳しいのは息子達の方だった。
多分、息子のために働いているんだろう。
弁財天先生達には一方的に言われ続けているけど。
ちなみに、先生の親はもう千年単位で引き籠っていて伝承もほとんどないけど皇室で祀られているから超安定引き籠りニート生活を謳歌してるとか・・・。
「それはそうと大羽、お前はこの前までルーヴェルトに行ってたようだな?ハニヤスが心配してたぞ?」
「あ、やっぱり知ってたんだ?」
「神だからな。学校の方は影武者を立てていたようだが、さすがに授業に少し追いつけていないようだな?」
「ギクッ!」
「事情が事情だから出席日数については何も言わないが、勉強の方は別だ。課題を出すから木曜までにやってくるように!」
「えええ!?」
「そうそう、音楽の方もレポート提出しなさいね♪」
「家庭科からも課題を出します。」
「えええええ!?」
よく見れば、先生達の顔は微妙にニヤけている。
しまった!さっきの脅しの仕返しのされた!?
「まあ、それは置いといて、ちょっと仕事を依頼したいんだが、いいか?」
「課題をやる時間は!?」
「それはそれ、これはこれ。」
その後、何度か反論するが弁財天先生に一蹴されてしまい、俺は日本で初めてのクエストを受けることになったのだった。
出された課題が全科目じゃなかったのがせめてもの救いだったな。
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『街に巣くう不幸の原因を突き止めろ!』
最近、とある街で原因不明且つ不自然な不幸が多発している。
天命がまだ先の者が重体になったり、幸せな家庭に不幸な事故が起きたり、成績優秀者だけがそろって成績が落ちたり等、内容は様々である。
神によるものではないが、日に日に街の運気の流れに淀みが生まれ始めているので早期に解決したい。
原因を突き止め、可能なら解決してほしい。
報酬:知恵の指輪、発酵樽セット、聖なる太鼓
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報酬は微妙なものが入っていて良いのか悪いのかよく分からん。
それにしても謎の不幸か、まさか・・・
「ああ、佐原達のは違うからな。あれは自業自得。」
よかった。
俺の能力が原因かと思ったぞ。
なにせあのペナルティ、周りも巻き込むらしいからな。
「そういえば、佐原達は随分と未提出の課題が溜まっていたな?今までは親が校長に便宜を計らってごまかしてたがそれももうできないな。よし!半年分を一気にやらせよう!」
「どうせだから、全科目やらせましょうか?」
うわあ、ペナルティが今もしっかり作用してる~!
「ついでに抜き打ちテストもやるか!大羽、今の話はみんなには内緒だぞ?」
とばっちり来た!
俺だけじゃなく、1年生全員に!
「それと――――」
「まだあるの!?」
俺は今、高校生活最大の危機に瀕しているのかもしれない!
提出課題に神様クエスト、抜き打ちテストの次は何だ!?
「これはあくまでついでだが――――」
オモイカネ先生の親は大物です。