表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボーナス屋、勇者になる  作者: 爪牙
日本編
152/465

第146話 ボーナス屋、日本に帰る

――ファリアス帝国 ファル村――


 ゴリアス国での騒動から数日が経った。


 その間、バカ皇帝の被害者(?)軍団に捕まったり、各国の王様に仕事を依頼されて大陸中を移動したり送迎したりと大忙しだった。


 そうそう、ムリアス公国にも行ってきた。


 ムリアス公国の君主である大公さんは偽者と入れ替わっていたらしく、本物が発見された事で偽者はすぐに捕まった。


 どっかの遺跡で発見された魔法具で変身したようだが、俺のチートで調べてみるとやっぱりアイアスが用意した物だった。


 大公発見の速報をロビンくんやステラちゃんに話したら直接会いに行く話になってムリアスに行った訳だ。


 その後、情報交換や今後の事を話し合うため、四大国や大陸西部の小国群による国際会議が開催された。


 その為に俺に仕事が舞い込んできたのは言うまでもない。


 俺はタクシーか!


 尚、大陸北部の国や聖国は最近怪しいとかで誘わなかった。


 特に聖国はアイアスの件やミリアムちゃんの家族を軟禁した枢機卿とか、黒いトコが多いしな。


 会議には俺も何故か参加させられた。



「勇者殿はどんな情報も瞬時に集められるとか?」


「神王様に選ばれたとか。」


「願いを叶えてくれるとか。」



 勝手に噂が広がっていた。


 ちなみに、バカ皇帝の見張り役とかで同席した村長のアドバイスで無闇にチートを使わない方がいいということで、有料ということにした。


 会議中は俺の《摩訶不思議な情報屋》大活躍した訳だが、さすがに最初から信用するのは難しいということで、俺のチートの信用性を披露した。


 といっても、国家機密の暴露ひせず、各国の王様達のプライバシーをちょっとバラしただけだけど♪



「「「信じますからそれ以上はヤメテ!!」」」



 余談だが、何人かの王様は会議終了後に奥さんに痛めつけられたらしい。


 会議自体は順調に進み、その中で『創世の蛇』による各国で発生していた事件などの真相が明らかになっていった。


 尚、エーレ王国がやらかした事については『創世の蛇』は全くといっていいほど関係なく、むしろクズ王達の方から勝手に奴らに都合のいい事をしていたことが判明した。


 困った連中だな。


 そういう訳で、エーレ王国は各国に対して多額の賠償をする事になり、尚且つ最低でも2,3年間は各国から厳重に監視される事になっている。


 ムリアス公国もまた、大公の息子のアレクシスがやらかした大虐殺――実行犯は主に捨駒勇者達だけど――についてファリアスとフィンジアスの両国の犠牲者達に補償を行い、同時に両国の復興に無償で協力することとなった。


 そんな感じで特に喧嘩とかも起きる事無く会議が進み、最終的には聖国と大陸北部の4ヶ国を除く国々で連合を組む話になった。


 地球で言う国連みたいなものだろう。


 転移装置のお蔭で各国間の距離が縮まった事も影響が大きいのかもしれない。


 尚、細かい調整もある事から、正式な調印とかはまた後日になるらしい。


 そんな訳で、政治ド素人の俺にようやく時間ができた訳だ。



『それじゃ~出発するよ~!』


「おう!頼んだぜ銀洸!」


「勇者の兄ちゃん!お土産買って来てね!」


「コラ!勇者様は遊びに行くんじゃないのよ!!」


「まあまあ。」



 俺はファル村の住民達に見送られて元の世界の日本に帰ろうとしていた。


 太陽神ルーのお蔭でこの世界から出られないロックが無くなったから、日本に帰れるようになったわけだ。


 最初はクラウ・ソラスの能力で帰ろうと思ったけど、どうやら異世界間の移動にはコツがいるようで、まだすぐにはできそうになかった。


 という訳で、またもやタイミングよく現れた銀洸に頼んで送ってもらうことになった。



「(グスッ!)勇者様、私は勇者様の事を一生忘れません!」


「いや、だからまたすぐに来るから泣かないでよアンナちゃん!」


『あ~!士郎が女の子泣かせた~!責任取れ~!』


「デカい声で叫ぶな!!」


「「「ヒュ~ヒュ~♪」」」



 うわ!


 銀洸のノリに村の皆さんも乗ってきたよ!


 マイカなんか「義兄ちゃんになって(・・・・・・・・)!」とか言い出してるし!


 意味解って言ってるのか?



『はい、出発しま~す!』


「おい待て!変な問題残し・・・」


『止まりませ~ん!』



 俺の意思を無視して、銀洸は次元移動を開始した。


 そして、俺は約一ヵ月半ぶりに日本へと帰ったのだった。





--------------------------


――日本 名古屋 某児童養護施設――


 気が付くと、俺は孤児になってから数年間住み慣れた施設の前に立っていた。



「ふう、到着で~す!」



 隣には人型になった銀洸がいた。


 疲れてもいないのに、ワザとらしく汗を拭う仕草をするな。



「で、今日は何日なんだ?」



 俺が異世界に居たのは大体1ヵ月半弱だった筈だ。


 召喚されたのが8月の上旬だったから、9月の中旬か下旬辺りか?



「10月1日だよ~♪」


「え!?」



 思ったよりも、ちょっと時間が経ってる!?



「そうそう、2つの世界じゃ時間の流れが違うんだよ~!僕達がさっきまでいた異世界(ルーヴェルト)の方が時間の流れがコッチよりも少し早いんだよ~。最近までは。」


「最近まで?」


「向こうの神様が時間の流れをコッチと同期したから、今はどっちの世界も時間の流れは同じ~!」



 それは良かった。


 次に向こうに戻ったら100年経ってたなんてオチにならずにすむな。


 その逆も然り。



「・・・あれ?まさか、シロ兄か?」



 そこに学校帰りの小学生が現れた。


 あ、まさか!



(ワタル)!!」


「シロ兄!!」



 そいつは同じ施設で育った加藤渉だった。


 俺は久しぶりに逢った渉に飛び付こうとしたが、あっさり避けられた。



「何で!?」


「気持ち悪いんだよ!!」



 小4なのにもう反抗期か!?



「人目を気にしないで抱きついて来るからだ!」


「あ、そう言えばそっか!」


「僕は気にしないよ~♪」



 銀洸の言葉は無視した。


 それにしても、少し見ない内に渉も大きくなった気がするな?


 俺は渉の頭を撫でると、今度は避けずに照れながら撫でられてくれた。


 顔は相変わらず生意気だけど。



「・・・とにかく!今までどうしてたのかちゃんと話せよ!!」


「分かってるって♪ちゃんと土産も持ってきてるからな!あ!そういえば、俺がいなくなって騒ぎにならなかったか?学校とかは?」


影武者(ミガワリ)を用意したから大丈夫だよ。」



 影武者?


 どうやって用意したんだ?



「とにかく!中で話を聞かせろよな!」


「分かってるって!」


「お邪魔しま~す!」


「「お前も来るのかよ!?」」



 そして俺達は住み慣れた施設に入っていった。


 おい、何で銀洸が園長先生達と仲良く挨拶してるんだ?


 俺がいない間に何があった!?



「・・・・・・。」



 目を逸らすなよ渉!




--------------------------


「――――って、事があったんだ。これが証拠のクラウ・ソラスとブリューナクだ!」


「そしてリア・ファル~!」


「何でココに!?」


「お土産~♪」



 施設の中の俺の部屋――といっても相部屋だが同室の奴は今はいない――に、『四至宝』が3つ揃った。


 勝手に持ってきて大丈夫なのか?


 それと、渉はさっきから呆然としてるけど、どうしたんだ?



「・・・・・・シロ兄が勇者。『蛇』の連中を無双して倒した?」


「いや、無双はしてないから!」



 無双したのは村長とか先代皇帝とかだから!



「しかも魔王を倒したって・・・こっちは邪神復活とか魔王襲来で大変なのに。」


「マジで?俺がいない間に地球滅亡のフラグ立っちゃった!?」



 こっちはとんでもない事になってるようだ。


 う~む、俺にも何か手伝える事はないかな?



「あ!」


「どうした、銀洸?」


「士郎、運賃払って~!」


無料(タダ)じゃないの!?」


「龍王は甘くな~い!」



 有料送迎・・・詐欺だ!



「だからボーナス頂戴♪」


「本音はそっちか!」



 視線をずらすと、渉も物欲しそうな目をしていた。


 そうだな、こっちも色々大変そうだし、進化した俺のチートを使ってみるか!


 フフフ、みんなの驚く顔が楽しみだ♪







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ