第13話 ボーナス屋、悪魔と戦う
休日なので午前更新ですぞい!
どうやら《エフォートエクスチェンジャー》の新機能が自動で作動したらしい。
多分、〈ポイントサーチ機能〉って奴だな。
高ポイント保有者と接触したってことは、目の前のト〇ネコっぽいオッサンがBPをたくさん持ってるって事だな。
てかあの“矢印”はなんだ!?
グサッて“↓”がオッサンの頭に刺さってるよ!!
どうやら俺にしか見えないみたいだけど、もっとマシなサーチは無かったのか!?
「・・・・・爺さん、後ろの2人は誰だ?」
「村の新しい住人ですぞい。今日はこっちに用事があるから一緒に乗せてきたんですぞい。」
「・・・・そうか。」
暗い!
見た目はト〇ネコっぽいけど、鬱病になったトル〇コだよ!!
髭とか腹とかマジクリソツだけど、スッゴク暗いよ!!
ゲーマーが見たらドン引きするよ!!
まあ、とりあえず《ステータス》を使ってみるか!
【名前】『財腹』ウツ=フライハイト
【年齢】42 【種族】人間
【職業】商人 【クラス】呪われた商人
【属性】メイン:水 サブ:土 風
【魔力】2,800/2,800
【状態】不眠症 便秘 食欲不振 不幸の呪い(中)
【能力】攻撃魔法(Lv1) 防御魔法(Lv1) 補助魔法(Lv2) 剣術(Lv1)
【加護・補正】物理耐性(Lv3) 水属性耐性(Lv2) 高速暗算 貧乏補正
【BP】178pt
って、呪われてる!?
《貧乏補正》・・・・呪いで景気がドン底に下がるってわけか。
しかも不眠症に便秘に食欲不振!
それに呪いが加わればそりゃ暗くなる!!
「(・・・・ロビンくん、これ見て!)」
「(―――――!これは・・・・・・!)」
「(きっと、商売敵とかにやられたんだぜ?真っ当に稼いでいるオッサンを妬んだ奴とかにさ!)」
この世界には普通に魔法があるから呪いだってあるだろうな。
と言うか、このままだとウツさんが鬱病になってしまうな。
そうだ!確かこっちに召喚される時に持ってきた道具の中に・・・・・・・。
ゴソゴソ
「・・・爺さん、後ろの坊主は何やってるんだ?」
「ハテ?何をやってるんだぞい?」
「――――――あった!!」
フッフッフ!
こんな事もあろうかと持ってきて正解だったぜ!
異世界人の仲間からもしもの時の為に持たされていた解呪用のポーション!
え?どこに都合の良い物をしまってたかって?
それは召喚される時に持ってきた「四次元リュック(貰い物)」の中だぜ!
魔法の修業とかする時に、もしもの時の為に渡されていた魔法薬を全部持って来ておいたんだぜ!
全部と言っても解呪用や解毒用とかの状態異常ようだけどな?
病気用のは風邪とかのしかなかったから、アンナちゃんの家族には使えなかった。
まあとにかく、これからお世話になるかもしれないオッサンにプレゼントだ!!
「オッサン、お近付きの印に一本どうぞ!」
「・・・・?何だこれは?」
オッサンは怪しそうに薬瓶を見る。
まあ、いきなり呪いを解く薬ですって言っても信じないだろうな。
「村で採れた果物で作ったジュースです(嘘)!!」
「・・・・ほう、あの村じゃこんなものも作るようになったか?」
「ささ!試しに飲んでみてください!」
俺は蓋を開けた瓶を渡す。
オッサンは丁度喉が渇いていたとか言って一気に飲む!
何か、どっかのCMシーンを思い出すな。
「うっ・・・・・・!!」
「オッサン、どうした!?」
「大丈夫ですか!?」
「ウツさん、どうしたんですぞい!?」
薬を飲んだ瞬間、オッサンは全身を痙攣させた!
と思ったら、全身から黒い靄みたいなのが飛び出してきた!
何だあれ!?
『ギャァァァァァァァ!!』
靄は今度は悲鳴を上げてモンスターっぽい姿に変わった。
あ、何かドラ〇エに出てくるモンスターにそっくりだ!
「・・・な、何だあれは!?」
「シロウ殿、あれは!?」
「多分、呪いの使い魔とかじゃね?」
多分じゃなくて絶対そうだろ!
薬飲んだ瞬間に出てきたから間違いない!!
『オノレ~~~~~!!モウ少シデ、コノ男ヲ破滅サセラレタノニ・・・・・・!!』
「な・・・・俺を破滅だと!?」
『ソウダ・・・・契約デオ前ノ魂ヲ貰ウ事ヲ条件ニオ前ヲ不幸ニシタノダ!!』
「オッサン、心当たりとかねえの?」
「はっ・・・・・!まさか、あの強欲男か!!」
うん、オッサンにも心当たりがあるようだな。
さて、とりあえず奴の情報を調べるか。
《ステータス》と《鑑定》、どっちがいいかな?
《ステータス》は強さや状態、《鑑定》は図鑑みたいな情報を調べるんだよな。
イノシシの時は《鑑定》使ったけど、今回は《ステータス》を使ってみるか。
【名前】呪いのプーア
【年齢】191 【種族】悪魔
【職業】使い魔 【クラス】下級悪魔
【属性】メイン:闇 サブ:火 風
【魔力】280,000/280,000
【状態】聖水により弱化
【能力】攻撃魔法(Lv1) 防御魔法(Lv2) 補助魔法(Lv2) 特殊魔法(Lv3) 悪魔呪術(Lv1) 闇術(Lv1)
【加護・補正】貴族悪魔の従僕 闇属性耐性(Lv2) 財を蝕む者
【BP】-209pt
うん、悪い悪魔だ!
てか、悪魔にもBPとか表示されるんだな?
俺の能力って種族も問わないのか?
と言うか“-209”って、どれくらい人を不幸にしたんだ?
『ソコノ餓鬼!!マズハオ前カラ殺シテヤル!!!』
「・・・・できるならやってみな♪」
『貴様ァァァァァァァァァァ!!』
正直負ける気がしない。
薬のお蔭で弱体化してるみたいだし、魔力も俺の方が圧倒的に上だ。
「とりあえず、《加重》!」
『グッ・・・・・・体ガ・・・・・!!』
お、成功!
気体っぽい体をしてるけど重量はちゃんとあるようだな?
取り敢えずステラちゃんの時みたいに横綱級の重さにしてみたけど成功みたいだな?
元々身軽なのが売りだっただろうから、この重量だと身動きもできないようだ。
『貴様・・・・・何ヲ・・・・シタ!?』
「オッサン、とりあえず止めさすけど、コイツに訊きたい事とかってある?」
「あ・・・・いや、特にない。」
「じゃあ、さようなら!《聖水》!」
「ヤメ・・・・ギャァァァァァァァァァァァ!!」
悪魔には聖水!
あんまり得意じゃないけど、聖水と同じ効果のある水魔法を力任せにブツケテみたぜ!
うん!綺麗に浄化されたな♪
「討伐完了♪」
「・・・・今更ですが、無茶苦茶ですね。下級とは言っても、悪魔を片手間で倒すなって・・・・・。」
「そうなのか?」
「ええ、普通は聖職者などがしっかり準備を整えた上で浄化するんですが、《聖水》という魔法も初耳です。後でその知識を分けて貰えますか?」
「別にいいぜ?」
そう言えばロビンくん、ボーナスで手に入れた《衆智の収集書》でいろんな人から知識を集めて勉強しているよな。
最近じゃ、村のチビッ子達に勉強も教えたりしているし。
それはそうと、お爺さんAは別としてオッサンは呆然としてるな。
「そう言えばオッサン、オッサンを呪ってた悪魔を退治したけど体調に変化はないのか?」
「・・・はっ!体調か?そうだな、言われてみれば・・・・・・」
ギュルルルルル・・・・・
何か聞き覚えのある音が聞こえる。
「うっ!これはまさか、4日ぶりの!?ちょっと失礼!!」
そう言って、オッサンは嬉しそうに店の奥へと消えていった。
何だ?
数分後、オッサンはさっきまでとは打って変わって爽快な笑顔で戻ってきた。
「いや~~~、溜まってた物が一気に流れてスッキリしました♪」
ウ〇コかよ!!
そう言えば便秘だったっけ?
呪いで便秘になって暗くなってたのかよ!?
ちなみに、頭には相変わらず矢印が刺さったままだ。
【名前】『財腹』ウツ=フライハイト
【年齢】42 【種族】人間
【職業】商人 【クラス】やり手の商人
【属性】メイン:水 サブ:土 風
【魔力】2,800/2,800
【状態】寝不足
【能力】攻撃魔法(Lv1) 防御魔法(Lv1) 補助魔法(Lv2) 剣術(Lv1)
【加護・補正】物理耐性(Lv3) 水属性耐性(Lv2) 高速暗算 幸運
【BP】178pt
ステータスも変わってるな。
補正に《幸運》が加わっている。
呪いのせいでなくなっていたのか?
「よく分からないが、お蔭で色々スッキリしました!ありがとうございます!」
「い、いえ・・・・・。」
何か喋り方も変わってないか?
まあ、気にしない事にしよう。
「それで、今日はどのようなご用件で?」
「おお、そうだったですぞい!今日は麦や毛皮とかを買い取ってもらいにきたんですぞい!」
「ほう、麦が収穫できたんですか!では、拝見しましょう!」
オッサンとお爺さんAは外に待たせたる馬車へと向かった。
そう言えばこの世界の通貨については話してなかったっけ?
この世界、というよりこのダーナ大陸では共通貨幣として「ダーナ銅貨」、「ダーナ銀貨」、「ダーナ金貨」、「ダーナ白金貨」が使われている。
日本円で換算すると、銅貨1枚で10円、銀貨1枚で1万円、金貨1枚で1000万円、白金貨が10億円になる。
さらに細かく説明すると、白金貨以外の貨幣には大貨と小貨もあり、大貨は10倍、小貨は10分の1になる。
例えば小銅貨は1円、大銅貨は100円だ。
通貨単位はDだが、多くの人は銅貨1枚銀貨2枚と言った風に数えているらしい。
まあ、あくまで俺の感覚でだけどな?
ちなみに聞いた話だと、麦の買い取り値は平均すると1㎏=銅貨18枚=180D=180円くらいらしい。
「おお!!随分たくさん持ってきましたな!?」
外に出ると、オッサンは大量の麦の入った袋に驚いていた。
これも言い忘れたが、荷物や馬車には俺が魔法をかけたからたくさんの物が積み込んである。
質量はそのままで重量だけ低くした上に、ロビンくんが最近覚えた空間魔法のお蔭でよりたくさん積み込むことができた。
「どうですかな、全部買い取ってもらえますかぞい?」
「ええ!今は食糧が不足しがちでたくさん欲しいところだったんです!ここだと邪魔になるので倉庫の方に運びましょう!お~~い、運ぶの手伝ってくれ!」
「は~~~い!」
オッサンが店の2階の方に向かって声をあげると元気な声と共に元気な足音が階段を下りてくる音が外まで聞こえてきた。
そして、店の扉を元気よく開けて1人の男の子が飛び出してきた。
それを見た俺は、オッサンを最初に見た時と同じように絶句して固まった。
(―――――――――――ポ〇ロ!?)
現れたのは、某ゲームキャラっぽい少年だった。
全シリーズではありませんが、作者も昔トル〇コをプレイしてました。
次は水曜日更新予定です。