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ボーナス屋、勇者になる  作者: 爪牙
その頃のとその後(仮称)編
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第142話 ファリアス宮殿、大騒動

 士郎がゴリアス国に行っていた時の帝都での話です。


――ファリアス帝国 帝都タラ――


 それは士郎がゴリアス国に行っている間の出来事だった。


「本日の仕事は終わり!」


「陛下!何処に行かれるのですか!?」


「我が子達の所だ!」



 ランドルフことバカ皇帝はキラッとしたスマイルを見せて執務室を飛び出していった。


 1人部屋に残された宰相クレイグ=G=シュトラウスは「ハア」と溜め息を吐くと、すぐに日課となっているバカ皇帝捕獲の指揮に動いた。



〈陛下脱走!総員、作戦通りの配置につき、捕獲行動に移れ!〉



 出立前の士郎に無理を言って自身のボーナスポイントで交換し手に入れた魔法を使い、宮殿内にいる全ての騎士や兵、そして陛下との長年の戦いの末に絆が結ばれた盟友達に《念話》で指示を出す。


 そして速やかに作戦は実行されていった。



「いたぞ!!」


「ゲッ!?」


「陛下、今日こそ捕まってもらいますよ!」



 最初にバカ皇帝を見つけたのは近衛騎士の1人だった。


 地方貴族の四男である彼は近衛騎士に任命されるより以前、帝都勤務の一騎士だった頃からバカ皇帝の捕獲を悲願としていた。


 追いかければ見失い、先回りして罠を張れば無駄に終わってしまい、時にはプライドが木端微塵に砕けそうになる事もあった。


 思いを同じくする仲間達と毎日のように策を練っては無駄になる日々だったが、それもこの日まで。


 彼らの悲願は間もなく果たされようとしていた。



「私は子供達の下へ行くのだ!」


「殿下達でしたら既に帰られました。」


「何!?」


「伝言を預かっています。「父上、逃げるな!」と。」


「逃ゲテナイヨ。仕事ハチャントヤッタヨ。」


「「バカ!」とも仰っていました。」


「誰が!?」



 子供にバカと言われた事にそれなりのショックを受けるバカ皇帝だった。


 そしてバカ皇帝を多くの騎士や衛兵、真剣を持った官吏が囲む。


 ここには居ない者達は事前の打ち合わせにより、バカ皇帝が勝手に造った地下道の全ての入口を塞いでいる。


 だが、これで諦めるなら彼らも苦労はしない。



「よし!ならば向こうに行こう!トォッ!」


「「!!」」


「天井だと!?」


「慌てるな!作戦通りに行くぞ!」



 バカ皇帝は天井に向かって垂直跳びをし、また勝手に改造した隠し扉から天井裏へと逃げた。


 だが追う側もこの程度で諦めない。



〈―――近衛隊は南へ、それ以外は内務室へ移動してください。〉


「「ハ!宰相閣下!」」



 頭の中に流れ込んでくる宰相の声に従い、彼らは冷静にバカ皇帝を追い詰めていく。


 バカ皇帝の目的がハッキリしている以上、向かう先は決まっている。


 大臣の執務室に現れようとも、メイドの休憩室に逃げ込もうとも慌てず確実に退路を塞いでいく。


 宰相の固有能力《三次元盤上の監視者(アブソリュート・ウォッチャー)》により、帝都内に張り巡らされたバカ皇帝の隠し通路の全ては既に掌握されており、バカ皇帝の現在位置もリアルタイムでばれている。


 そんな事を知らないバカ皇帝は愛する子供達に会いに行く為、宮殿敷地内に設置されている転移装置の下へと向かったが、バカ皇帝は転移装置を目にすることなく追い詰められてしまう。



「陛下、観念してください!」


「バカな!俺の隠し通路の見破っただと!?」


「クッ!こうなれば・・・」


〈魔法部隊、対陛下専用結界陣展開!〉



 魔法を使おうとするバカ皇帝を、宮殿使えの魔法使い達が結界で魔法を封じた。



「あれ?魔法使えない?」


〈確保――――!!!〉


「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」


「あ、ちょっとタンマ!うわあああああああああああああああああああああああ!!」



 そしてバカ皇帝はフルボッコされた。


 日頃、バカ皇帝に対して鬱憤が溜まっていた者達、騎士や衛兵、軍人、魔法使いや文官、メイドに料理

人など、部署も身分も全く異なる彼らは今この瞬間、心を1つにして1つの大業を果たしたのだった。



「確保完了~~~!!!!」


「やったぞ~~~~~!!!!」


「ついに!!ついに!!!」


「我らの悲願が達成されたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」



 この日、ファリアス宮殿内は多くの人達の完成に包まれたのだった。


 皇帝の執務室に残っていた宰相は、そっとハンカチで涙を拭きながら勝利の美酒に酔っていた。


 その後に恐ろしい騒動が起きる事など予想もできずに。




--------------------------


 それは近衛騎士達が宮殿秘蔵の魔法具の鎖でバカ皇帝を縛り上げ、宰相の下へと連行している最中に起きた。


 不意に宮殿内が暗くなり、騎士の1人が窓から外を覘くと、そこには巨大な銀色の龍がいた。


『ヤッホ~!何してるの~?』



 宮殿内に大勢の悲鳴が響き渡った。


 バカ皇帝は隙を突いて逃げ出そうとするが、偶々立ち寄ったファル村村長ロンによってすぐに落とされた。


 その後、ロンの説明で落ち着きを取り戻し、今度こそバカ皇帝は執務室に連れ戻され、遊びに来た龍王

銀洸は宮殿内に庭園でちゃっかりお茶を御馳走になっていた。


 ちなみに、昨夜から滞在中の焔龍イグニスも同席している。



「ここの皇帝って面白いね~♪」


「公務では優秀なんだがな。」



 宮殿御用達の商人から仕入れたばかりの高級茶を飲みながら2人は世間話をしていた。


 主にバカ皇帝の話題だったが。



「子供も多いよね~♪」


「絶倫だからな。いい加減、去勢されればいいのに。」


「しよっか?」


「お前はするな!」


「子供は何人いるの~?」


「そろそろ200人に届きそうだったな。ちょっと確認してみるか?」


「僕がやる~!」



 ほんの思いつき、それがバカ皇帝を奈落に突き落とす事になるとはこの時点では誰も想像すらしていなかった。


 銀洸は時空を司る龍王としてのスペックを発揮し、ほんの数秒でバカ皇帝の女性関係や隠し子全員を確認した。



「子供は199人いるよ~!」


「あと1人かよ!」


「え~と、現在妊娠しているのは1人で今臨月だよ~!他にはもういないみたい~?」


「いてたまるか!!」


「じゃあ、全員集合~♪」


「(ロビンとか)仕事中の奴は呼ぶなよ・・・って、何言ってる?」


「召喚~♪」



 そして彼女達はファリアス宮殿に強制召喚された。


 バカ皇帝と肉体関係を持ち、尚且つ、バカ皇帝の子供を産んだ女性総勢148人を。



「え?」


「ここは何所?」


「あら、ここって宮殿?」


「この人達は誰?」



 困惑する148人の女性達、その内1人は臨月を迎えた妊婦だった。


 そして数分後、宮殿を舞台にした惨劇(*バカ皇帝限定)が始まった。














「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


「「「死ねええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!」」」


「「「逃げるなあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」」」


「「「待ちなさああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」」」



 バカ皇帝は逃げた。


 完全武装した147人の飢えた獣(女性)から。


 最初は窓から冒険者系の女性数名が窓を蹴り破って突入、遅れて部屋の入口からも武装した貴族系や庶民系の女性が波のように押し寄せ、恐怖の鬼ごっこが始まった。


 バカ皇帝は必死で逃げるが、追いかけてくる彼女達には見逃す気など微塵も無かった。


 ちなみに、本来バカ皇帝を護る者達はというと・・・



「あのう、助けなくていいんですか?」


「陛下の自業自得だからな。それに絶対死にはしないし、最悪、去勢で終わるから問題はない。」


「はあ・・・。」


「総員退避~!」



 薄情だった。


 そしてバカ皇帝の逃走劇は1時間以上続き、結果から言うと捕まった。



「ハハハハ・・・(超汗)。」


「まだ元気そうね?」


「よくも好き勝手してくれましたね?何が「君の中の宝石は俺だけのものだ!」よ!!」


「酷いだ!おら以外にもめんこいオナゴがいるだなんて・・・!!畑の肥やしにしてやるべ!!」


「それはダメよ!凶作になるから!」


「クフフ・・・♪まずは薬で意識を奪って・・・そして服を脱がしてから・・・ああ!!」


「危ない人がいるわ!」



 そして処刑が始まるのだが、肉屋の娘が肉切り包丁を出したところで皇子達が制止してその日の処刑(・・・・・・)は終わった。




--------------------------


 後日、宮殿にやってきた士郎は148人の女性陣に捕まり、バカ皇帝のステータスを改善(?)させられたのだった。


 そして以下のようになった。

 


【名前】『俊足皇』ランドルフ=T=ファリアス

【年齢】42  【種族】人間

【職業】皇帝  【クラス】ED皇帝

【属性】無(全属性)

【魔力】230,000/230,000

【状態】身も心も重傷

【能力】攻撃魔法(Lv3) 防御魔法(Lv3) 補助魔法(Lv3) 特殊魔法(Lv3) 精霊術(Lv2) 剣術(Lv3) 槍術(Lv2) 斧術(Lv2) 弓術(Lv3) 盾術(Lv3) 体術(Lv4) 投擲(Lv2) 錬金術(Lv3) 神王の鍵(グランドマスターキー)

【加護・補正】物理耐性(Lv3) 魔法耐性(Lv2) 精神耐性(Lv4) 全属性耐性(Lv3) 全状態異常耐性(Lv3) 王の直感 老化遅延 不撓不屈 ED化 常時避妊 銀腕神ヌアザの加護

【BP】152



 その後、帝都の歓楽街にバカ皇帝が訪れる事は無くなったという。







 ちなみに、その後帝都の幾つかの娼館などは経営破綻寸前に追い込まれたとか。


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