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ボーナス屋、勇者になる  作者: 爪牙
ゴリアス国編Ⅱ-ドルドナ遺跡の章-
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第132話 ボーナス屋、女ボスと戦う

 見た目は俺と大して変わらない年の少女エレイン。


 だが、その正体はゴリアス国の女王を浚い、ドルドナ遺跡に眠る『至宝』を手に入れんとする異世界の秘密結社『創世の蛇』のメンバーだった!



「――――なんて、暢気に考えている場合じゃないな。」


「・・・何を呟いているのかは知らないけど、そちらにいる女王様を返してくれる?そうすれば、貴方達の命までは奪わないことを約束するわ。」


「断る!誘拐犯と取引するつもりはない!!」



 ビシッと言ってやった!


 けど、言ったはいいけど彼女はなかなか強そうだ。


 ステータスはまだ確認してないけど、視た瞬間を突いて女王を奪い取ろうとしている雰囲気がする。


 ここは慎重に様子を観た方が賢明かな?



「そう。なら、力ずくで返してもらう。」


「させると思っているのか!!」



 エレインが動こうとした直後、さっき墜落したばかりの団長が火柱を立てながら復活した。


 あんた、何処の作品の主人公だよ?


 ん?火柱の中に何かがいるな?



『余の炎の如く熱き魂を持つ者よ。今を以て余は汝と契約を結ぶことをここに誓おうぞ。』


「ハッ!足手まといにはなるなよ?」


『ホホホ、余は焔の上級精霊であるぞ?汝こそ、余の力に飲み込まれぬよう気をつけよ。』


「上等!!奴を倒すぞ!!」



 ・・・・・・うん。


 俺の知らないところでイベントが発生していたようだな。


 全身が炎でできた、背中から翼の生えた巨乳なお姉さん。


 どうやら上級精霊のようだな。


 何時かの精霊ズとは明らかに格が違うみたいだ。



「ミハエル!!」



 何時の間にか俺にくっついていた女王様が団長に向かって声を上げた。


 そっか、ルーグ騎士団は女王直属の騎士団だから顔見知りなんだった。



「陛下!陛下はその者の側にいてください!賊の頭目は私めが討ち取ります!」


「ミハエル・・・が、頑張って!!」


「ハッ!!陛下の御心のままに!!」



 ヤベエ、なんだか心が熱くなりそうなシーンだ。


 けど、団長に敵ボスは倒せるのかは怪しいものだ。



「・・・力の差が解らないほど未熟でもないのに、懲りない男ね。まだ私に勝てるつもりでいるの?」


「勝つのではない。倒すのだ!!」


『ホホホ、それでこそ余が認めた契約者よ。』


「・・・なら、今度は本気でやるわ。」



 そして団長(+上級精霊)対エレインの第2ラウンドが始まった。


 チャ~ンス!


 今のうちにステータスを確認だ!



【名前】エレイン=チャーチル

【年齢】24  【種族】ハーフ(???)

【職業】魔法戦士 工作員 指揮官  【クラス】混血の女戦士

【属性】メイン:闇 水 氷 サブ:風 土 火 雷 空

【魔力】4311000/5400000

【状態】半魔の呪い(抑制中)

【能力】攻撃魔法(Lv4) 防御魔法(Lv3) 補助魔法(Lv3) 特殊魔法(Lv4) 闇術(Lv3) 水術(Lv3) 氷術(Lv3) 風術(Lv2) 土術(Lv2) 火術(Lv2) 雷術(Lv2) 空術(Lv2) 武術(Lv3) 悪魔呪術(Lv2) 錬金術(Lv2)

【加護・補正】物理耐性(Lv2) 魔法耐性(Lv4) 精神耐性(Lv4) 闇属性無効化 水属性耐性(Lv4) 氷属性耐性(Lv4) 風属性耐性(Lv3) 土属性耐性(Lv3) 火属性耐性(Lv3) 雷属性耐性(Lv3) 空属性耐性(Lv3) 全状態異常耐性(Lv4) ???の血 混血児 竜殺し 色欲の呪縛 魔王????の加護(?)

【BP】40



 見た目以上に手強い、というかややチートだ。


 何ヶ所か“?”で伏せられている部分があるのが気になるな。


 後は「半魔の呪い」というヤツだな。



▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

『検索:半魔の呪い』


 人間と魔に属する者の間に生まれた混血児に掛かりやすい呪い。

 大半は強すぎる魔の血により発症する身体障害に近いものだが、中には混血を嫌う魔の者が悪意を込めてかける場合がる。

 呪いの強弱によって症状は様々だが、重度の場合は次第に心身が呪いにより蝕まれていき、最終的には自我も失い暴走し災厄を撒き散らして死ぬ。

 通常の解呪方法では解呪できない。


▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲



 随分厄介な呪いだな。


 見たところ抑制されているみたいだから問題は無さそうだけど、『創世の蛇』でも解呪はできないってことなのか?



「――――面白い剣術を使う!!」


「何度やっても同じ、あなたと私では絶対的な壁があるわ。それは貴方も同じよ。焔の精霊?」


『それはどうかしら?』



 エレインの周りには無数の氷とシャボン玉が浮いている。


 最初にシャボン玉がゆっくりと団長に襲いかかり、それを団長が剣で弾こうとする。


 だが、シャボン玉が弾けた瞬間、轟音と共に無煙の爆発が団長に襲い掛かった。

 そしてそこに襲い掛かる氷の槍。



「チィィィィィ!!」


『ホホ、この程度の氷が余に効くと思うてか?」


「ええ、思ってるわ。起きなさい(・・・・・)。」


『――――――!?』



 精霊が氷の槍を炎で消そうとした直後、氷の槍が割れて中から無数の蛇が飛び出してきた。


 蛇の数はあっという間に千を越え、一斉に団長と精霊に襲い掛かる。



「鬱陶しい蛇が!」


『ム!この蛇、闇の力も持っているのか!?』


「ええ、光を喰らい、炎熱を削る氷魔の蛇、貴方の相手に最も相応しい相手よ。さあ、白い棺の中で永久の眠りにつきなさい!」



 氷の蛇達は団長と精霊を球体状に囲んでいく。


 あ、団長の体が凍り始めているし、炎が一気に弱まっていってる!



「―――-ミハエル!!」


「駄目です女王陛下!行ってはなりません!!」



 団長の危機に女王様は思わず飛び出しそうになるが、そこは隊長さん達が必死で抑えてくれている。


 すると、女王様は泣きそうな顔で俺の方を見た。



「――――勇者様!!どうか皆を助けてください!!ミハエルも、他の騎士の皆も私の大事な人達なんです!!」



 他のルーグ騎士団の方を見ると、やはりと言うべきか苦戦を強いられていた。


 数ではこっちが上でも、個人の能力などに差がありすぎるのか、一方的に押され気味だ。


 辛うじて、一緒に戦っているロビンくんや元チームバカ王子が敵の攻撃を防ぎながら牽制しているお陰でまだ死者は出ていないようだ。


 これは俺も参戦した方が良さそうだな。


 女王様やどっかの王女様達に掛かっていた魔法や呪いも解いたし、護りの方は偵察隊の人達――ついでにサイも――に任せれば大丈夫だろう。



「わかった!俺に任せろ!!」


「勇者様・・・」



 女王様の視線がちょっと痛いな。


 それは兎も角、俺は今にもやられそうな団長達の助太刀に入った。



「クソッ!何だこの氷は・・・!?」


『余の炎で解けない氷だろ・・・!?この力、人間のものではない。あの者はまさか・・・!!」


「・・・これで終わりよ。《凍てつく闇夜の剣(ダークナイトアイスソード)》!」



 エレインは右手に身の丈を超える黒い氷の大剣を出し、氷の蛇の群に動きを封じられた団長に向かって振り下ろす。


 団長も精霊も全身の半分近くを氷漬けにされて避ける事が出来ない。



「――――クラウ・ソラス!!」


「「『――――――!!』」」



 2人の間に割り込んだ俺は、振り下ろされる氷の大剣をクラウ・ソラスで受け止めた。



「《ホーリースラッシュ》!!」


「―――――ッ!」



 そしてバターを切り裂くように氷の大剣を横に斬ってやった。


 エレインは思わず飛び退き、今度は身の丈ほどの水でできた剣を出現させながら俺の様子を観察し始めた。


 よし、今の内に団長達を救出だ!



「《解凍(ディフロスト)》!蛇は・・・取り敢えず《超魔力吸収》!」



 氷は解凍して鬱陶しい数の蛇は魔力を吸収したら勝手に消えて無くなった。



「くっ・・・!すまねえ、助かった!」


『ホウ、余も直に見るのは初めてじゃが、それが伝説に聞く銀腕王の魔剣か?』


「ああ、カッコいいだろ?」



 俺はちょっとだけ愛剣を自慢するとすぐにエレインの方へ向き直る。



「・・・完全に覚醒していないとはいえ、流石は『四至宝』の1つと云ったところかしら?」


「お前、ブラスやダニール達の仲間で間違いないよな?」


「ええ、私はエレイン=チャーチル。ここゴリアス国の担当をさせてもらっている者よ。貴方のことは報告で効いているわ。大羽士郎くん?」



 エレインは不敵な笑みを浮かべながら自己紹介をしてきた。


 彼女の背後では未だにエレインの仲間と絶賛戦闘中のルーグ騎士団やロビンくん達の姿が見えたが、向こうも状況は良くないみたいだ。



「――――あまり欲は張りたくはないけど、貴方がいる限り私達の目的は達成できそうにないわね。それに、これは貴方が持っている2つの『至宝』を回収する好機かもしれない。そういう事だから、貴方にはここで散ってもらうわよ?」



 直後、俺の目の前に大量の水が襲い掛かってきた。


 いや、水でできた巨大蛇だ!



「――――《激流の大蛇(スネーク・オブ・トレント)》。」


「《グラビティウォール》!!」


「――――散れ!」



 重力の壁で水の巨大蛇を防ぐと、巨大蛇は分裂して壁を避け、上下左右から一斉に襲い掛かる。


 これは魔法じゃなくて《水術》か!



「水になれ!」


「無駄よ。水属性の支配力は私の方が上、串刺しになりなさい。」



 エレインの言うとおり、俺も《水術》で水の蛇を水に戻そうとしても出来なかった。


 そして蛇は形状を槍や矢のように変形させて俺を串刺しにしようと襲い掛かる。


 だが、俺は慌てずにクラウ・ソラスを握り締め、新しい剣技をエレインの攻撃を消すつもりで放ってやった。




「―――――《閃光剣舞(フラッシュソードダンス)》!」




 辺り一面が光に包まれた。


 まるで達人のような剣技が襲い掛かる水の槍と矢の全てを掻き消し、その光の斬撃は水の槍や矢だけでなくエレイン、そして彼女の背後でロビンくん達と戦っている彼女の仲間にも襲い掛かっていった。



「あれ・・・?そこまで力は籠めてなかったよな?」



 想定外の威力に、俺は呆然としてしまった。







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