第131話 ボーナス屋、またまた悪魔を倒す
団長が女ボスの相手をしている間、俺は保護したばかりの女王様達の様子を見たのだが、保護した3人の中には同じ顔、同じ格好の少女が2人いた。
双子か?
今は偵察隊の人達が介抱しているけど、横ではサイがアタフタとしている。
どれが自分の幼馴染なのか戸惑っているようだ。
いや、正確には2人にまでは絞っているようだ。
「――――多分、この同じ顔の2人のどちらかがナタリーだと思うんです。こっちの女の子は、何となくですが初対面な感じがしますから。」
「勇者様、ここは《ステータス》で確認します。」
そう言って、隊長さんはサイが知らない人と言い切った少女のステータスを表示させた。
この子が女王様か?
【名前】ミリアム=L=ゴリアス
【年齢】12 【種族】人間
【職業】ゴリアス国女王 【クラス】孤独な女王
【属性】メイン:光 水 木 サブ:土 風 火 氷
【魔力】7,400/7,400
【状態】疲労(小) 逃走封じの呪い
【能力】攻撃魔法(Lv2) 防御魔法(Lv3) 補助魔法(Lv3) 特殊魔法(Lv2) 剣術(Lv3) 弓術(Lv3) 体術(Lv2) 無駄無しの弓
【加護・補正】魔法耐性(Lv1) 精神耐性(Lv1) 全属性耐性(Lv2) 神器の継承者 王の器 行動制限(呪い) 太陽神ルーの加護
当たりだ!
しかも本日噂のルー様の加護を持っているな。
ルー様がクエストを出した理由はこれか・・・。
それにしても、12歳にしてはちょっと小さいな?
「確認しました。ゴリアス国女王で間違いありません。幾つか、魔法や呪いをかけられていますが、命に別状は成さそうです。」
「また呪いか。じゃあ、こっちの双子みたいな2人は?」
「今調べます。」
そして後の2人のステータスが順番に表示された。
【名前】ナタリア=C=ウーイル
【年齢】20 【種族】人間
【職業】ウーイル国第一王女 【クラス】呪われ王女
【属性】メイン:土 木 サブ:水 風 光
【魔力】6,900/6,900
【状態】疲労(小) 偽装 ロリ化の呪い 逃走封じの呪い
【能力】攻撃魔法(Lv2) 防御魔法(Lv2) 補助魔法(Lv2) 特殊魔法(Lv2) 剣術(Lv1) 体術(Lv3) 盾術(Lv1) 槍術(Lv2)
【加護・補正】物理耐性(Lv2) 魔法耐性(Lv1) 精神耐性(Lv2) 土属性耐性(Lv2) 木属性耐性(Lv2) 行動制限(呪い) ロリ化(呪い) 恋愛神エーンガスの加護
【BP】79
【名前】ジェニファー=K=ロホ
【年齢】20 【種族】人間
【職業】ロホ王国第三王女 【クラス】ツンデレ王女(弱) 呪われ王女
【属性】メイン:光 雷 サブ:風 水 火 土
【魔力】7,300/7,800
【状態】疲労(小) 偽装 ロリの呪い 逃走封じの呪い
【能力】攻撃魔法(Lv3) 防御魔法(Lv3) 補助魔法(Lv1) 特殊魔法(Lv2) 剣術(Lv2) 体術(Lv2) 弓術(Lv2) 投擲(Lv2) 精霊術(Lv1) 調合術(Lv3)
【加護・補正】物理耐性(Lv1) 魔法耐性(Lv2) 精神耐性(Lv2) 光属性耐性(Lv2) 雷属性耐性(Lv2) 風属性耐性(Lv1) 行動制限(呪い) ロリ化(呪い) 妖精王ミディールの加護
【BP】81
なんか別の国の王女だった。
ロリの呪いって・・・そんな呪いもあるのかよ?
「・・・どうやら、予想以上に複雑な事情が絡んでいそうですね。」
「だな!先ずは呪いを解いておくか。《解呪》!!」
俺は実に久しぶりに《解呪魔法》を3人の女の子に使った。
すると毎度お馴染み、真っ黒な靄が3人の体から飛び出してきた。
黒い靄は2つに分かれて収束し、それは背中から蝙蝠の羽を生やして2体の悪魔になった。
『キィ~~~!!私の呪いを解くなんてなんて生意気なの~~~!!』
『――――――――。』
「な、何だあれは・・・!?」
「これは・・・!?」
隊長さんもサイも悪魔の登場にビックリしている。
出てきた悪魔はゴスロリ少女と、鉄仮面を付けたゴツイ系の男だった。
【名前】ゴスロリのロリア
【年齢】302 【種族】悪魔
【職業】使い魔 【クラス】ゴスロリ悪魔
【属性】メイン:闇 サブ:水 氷 風
【魔力】780,000/780,000
【状態】正常
【能力】攻撃魔法(Lv2) 防御魔法(Lv2) 補助魔法(Lv2) 特殊魔法(Lv3) 悪魔呪術(Lv2) 闇術(Lv2) 水術(Lv2) 氷術(Lv2) 風術(Lv2) 弓術(Lv2) 吸魂
【加護・補正】物理耐性(Lv3) 魔法耐性(Lv2) 精神耐性(Lv3) 闇属性耐性(Lv3) 水属性耐性(Lv2) 氷属性耐性(Lv2) 風属性耐性(Lv2) 全状態異常耐性(Lv3) 上級悪魔の娘 色欲の眷属 ゴスロリの信者
【BP】-723pt
ゴスロリ悪魔って、見たまんまかよ。
しかも信者って・・・。
仮面男の悪魔はどうだ?
【名前】荒漠のヒードロス
【年齢】803 【種族】悪魔
【職業】使い魔 【クラス】中級悪魔 律儀な悪魔
【属性】メイン:闇 土 火 サブ:風 水 雷 木
【魔力】3180,000/3180,000
【状態】正常
【能力】攻撃魔法(Lv3) 防御魔法(Lv3) 補助魔法(Lv4) 特殊魔法(Lv3) 悪魔呪術(Lv3) 属性術(Lv3) 剣術(Lv3) 体術(Lv3) 槍術(Lv3) 斧術(Lv3) 投擲(Lv2) 錬金術(Lv3) 千里眼
【加護・補正】物理耐性(Lv4) 魔法耐性(Lv3) 精神耐性(Lv3) 闇属性耐性(Lv4) 土属性耐性(Lv3) 火属性耐性(Lv3) 風属性耐性(Lv2) 水属性耐性(Lv2) 雷属性耐性(Lv2) 木属性耐性(Lv2) 全状態異常無効化 拘束者 律儀者 堕天使の血 強欲の眷属 魔王マモンの加護
【BP】-149pt
こっちはかなり強そうだ。
スペックも高いし、魔王の加護まで持っている。
それにしてもは、BPのマイナス値がゴスロリより低いのは何でだ?
『キィ~~~~!!無視してんじゃないわよ!!アンタの魂、一滴も残らず吸い尽くしてやるわ!!」
「《超魔力吸収》!!」
『キャアアアアアアアアア!!吸われる~~~~~!!』
「ハイ、ついでにペナルティ♪そしてオールリセット!」
『ああああ・・・力が抜けていくわ~~~!?』
人間以外にも有効なのは確認済みなので〈マイナスリセット〉や〈強制オールリセット〉を使って無力化した。
ゴスロリだけじゃなく仮面男の方にもやったけど、こっちはずっと無言のまま平然と宙に浮かんでいる。
効いている筈だよな?
「止めのクラウ・ソラス!」
『ギャアアアアアアアアア・・・・・・・・・・・・』
ゴスロリは呆気なく消滅した。
鉄仮面男の方も今まで倒してきた悪魔と同じように消えていく。
一瞬、仮面の奥でニヤッとされた気がしたのは気のせいだろうか?
とにかく、これで呪いは解けたし、ついでに偽装の魔法も消えたはずだ。
「「「う・・・・・!」」」
女王と王女達の意識が戻ってきた。
と思ったら、ダブル王女の体が光りだして姿がみるみるうちに変化していった。
顔や髪の色が変わっていき、体も大きくなって着ていた服がビリビリと破け・・・え?
「あ!」
「え?」
「ほえ?」
「い!?」
「・・・ここは何処?」
女性2名が悲鳴を上げているので暫くお待ちください。
そうだ、四次元倉庫内に閉じ込めている騎士達のマントや服を失敬しよう。
ん?妙に派手で高そうなマントが出てきたな。
まあいいや。
「会いたかったわ、サイ!!凄く怖かったのよ!!」
「ちょ・・・!ナタリー、みんなが見ているよ・・・!」
ウーイル国の第一王女ナタリアは人前なのも気にせずにサイに抱きついた。
そして顔を真っ赤にするサイ、お約束のシーンだな♪
「ちょっと!何勝手にいちゃついて・・・べ、別に助けて欲しいなんて思ってないんだからね!!」
もう1人のお姫様、ロホ王国第三王女ジェニファーはテンプレなツンデレキャラのようだ。
「ジェニー、どうして君までここに?いや、それよりどうして2人がレリア姫の姿で・・・?」
「それは・・・」
「聞きなさいよ!あのエーレのクソ王子とビチグソ王女ったら、私達を替え玉にしてこの国のヘンタイ貴族と結婚させようとしたのよ!!だけど、すぐにバレたからこれで帰れるラッキーと思ったのも束の間、変な連中に捕まってこの国の女王陛下と一緒にこの遺跡に・・・!!」
「私はエーレにいる御祖父様の御見舞いを済ませて帰ろうとしたの。だけど、帰路に入る直前で賊に襲われて・・・次に目を覚ましたら魔法で姿を変えられてしまっていて、そのままレリア姫の身代わりにこの国に連れて来られたのよ。そして今度は・・・」
要約すると、
1、エーレ王国の王族はサーテーな連中!
2、第一王女レリアは摂政との政略結婚が嫌だと家族に言ったが、王様達はゴリアス国の富が欲しくてたまらない!
3、偶々非公式で来訪中だった他国の王女達を拉致!呪いや魔法で偽レリアに仕立て上げて代わりに決行させようとした。どっちからはもしもの時の為のスペアらしい。バレてもエーレ王国は知らぬ存ぜぬを通
すつもりだった?
4、変態摂政に合わせる直前でエレイン達に正体がバレ、女王と一緒に捕まる。
5、何がどうなっているのか分からないままドルドナ遺跡の中。
という事らしい。
変態と結婚したくないというエーレの王女様の言い分は理解できるけど、他所の国の王女達を身代わりにするのに意味はあるのか?
いや、摂政に全ての罪を着せて他国がゴリアス国を攻めるように仕向けるつもりだったのか?「他国の王女を攫って弄んだ」とかを理由に。
その辺は政治とか、諸々の事情が絡んでいそうだから俺の頭じゃ考えるだけ無駄かもな。
今は置いておこう。
「ちょっと!私は立てないんだから抱きかかえてよね!」
「え?」
「駄目。サイにだっこしてもらうのは私!」
「ええ!?ジェニー?ナタリー?」
なんだか修羅場になってきたな。
というか、サイはまだ2人が王女だと気付いてないのか?
女王様も呆れて・・・る?
「・・・・・・(ジ~)。」
「・・・どうしたんだ、女王様?」
「あの、もしかして勇者様ですか?」
「ん?そうだけど?」
「・・・・・・(ポッ!)。」
おい!
今、絶対何かのフラグが立ったよな!?
念の為に言っておくけど、俺にそっちの趣味はないぞ!
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
そこに、すっかり忘れるところだった戦闘中の団長が大きな声を上げながら俺達のいる場所の真横に墜落した。
そして、俺達の前にはポンポンと埃を落としながら1人の少女が降りてきた。
「――――小さな女王様、返してもらうわよ。」
サイは幼馴染が王女である事にまだ気づいていません。ついでに王女達の好意にも気付いていません。
尚、王女達が身代わりにされた理由はエーレ王国の第一王子が彼女達に告白した際に瞬殺された腹いせだったり、本物の第一王女の嫌がらせだったりします。
呪いをかけていた悪魔が倒された為、過去の例と同じようにエーレの王族達には反動が襲い掛かりますがそれはまた別の話です。
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