第129話 ボーナス屋、ドルドナ遺跡を攻略する4
――ドルドナ遺跡 地下60階――
ミスリルシリーズを撃破し、市場が間違いなく大混乱させるほどのミスリルを荒稼ぎした俺達は地下60階層に到達した。
そこは霧の世界だった。
「クッ!視界が全然利かねえな?」
「大丈夫です。《地図魔法》を使えば迷いません。」
「相変わらず、帝国は便利な魔法を持ってるな?後で教授してくれねえか?」
「それは、上に許可を取ってからにしてください。」
「ていうか、団長、何時の間にかロビンくんに対してタメ口になってないか?」
「お前もだろ?」
「俺はいいんだよ。」
「なら俺も良いんだよ。俺だから。」
「「団長!!」」
ロビンくんは気にしてないからいいけど、これって不敬罪になるんじゃないのか?
ま、今更だけど。
ちなみに、この階層に棲息する魔獣は淫魔や精霊系だった。
『キャハハハハ!また人間がきたよ♪』
『キタネ!キタネ!』
精霊系は悪戯好きなのか、直接攻撃はしてこないが移動の邪魔ばかりしてきた。
一方、淫魔の方は・・・
『――――騎士様、ワタクシを助けて・・・♡』
『ウフフフフ・・・すぐに気持ちよくしてあげる♡』
「「「ウホオ~~~~~~!!!」」」
ファンタジーの定番、淫魔サキュバスは巨乳全裸の姿で騎士達を誘惑していた。
若い騎士達は呆気なく陥落しかけていた。
そして俺の方には・・・
『勇者サマ、ワタシ、体ガ熱イノ・・・♡』
『シロウ、ワタシとヒトツになろう♡』
何故かアンナちゃんやステラちゃんに化けて誘惑してきた。
ヤベエ、偽者だと分かっているのに興奮してきた。
もしかしてこの霧、興奮作用とかそういう効果があるのか?
『脱ガシテアゲマス。勇者サマ♡』
『ワタシの最初はシロウにあげたいんだ・・・♡』
クッ・・・!
俺の意志に関係なくアソコが起っちまった。
え~~~い!俺は偽者とやる趣味はない!!
「《超魔力吸収》!!」
『『ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』』
「敵を全滅させろ!クラウ・ソラス!!」
『『『ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』』
淫魔は呆気なく倒せた。
ついでに精霊系も倒したせいか、邪魔な霧が一斉に晴れた。
「おい、さっさと下げたものを上げろ!童貞ども!!」
「「「は、はい!!」」」
周りを見ると、下を全部下げている騎士の姿があった。
喰われかけていやがったか。
無事だったのは団長や偵察隊の面々、そして俺とロビンくんだった。
「私ども偵察隊は訓練で鍛えているので。それと、私は妻子がいるのであんな誘惑は効きません。」
隊長さんは奥さんラブなので効かなかったらしい。
団長の方は?
「ハッ!あんな安っぽい誘惑に引っ掛かるか!街の娼婦たちの方がもっと上手かったっての!」
上級者のようだ。
じゃあ、ロビンくんは?
「・・・・・・秘密です♪」
それ、どういう意味!?
あ、先に行かないで教えてくれ!!
・
・
・
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――ドルドナ遺跡 地下70階――
「――――敵は95階!!」
「もっとペースを上げるぞ!!」
少しずつだけど、確実に向こうとの距離は縮まってきていた。
けど、向こうが最下層に辿り着く前に追い付かないと・・・!!
「それにしても、遺跡の中とは思えませんね。まるで湖畔のようです。」
ロビンくんは走りながら周りの光景に感嘆としていた。
地下70階層は周囲が水に囲まれた迷路だった。
巨大なプールの上に道があると言った方が分かり易い。
遠くには人工の滝もあって、急いでなければここで休憩したいほどの光景だった。
『ギギィ!!』
「巨大ロブスター!?」
凶暴な魔獣が居なければだけど。
水中からは巨大ロブスターや巨大ウナギ、ナマズやピラニアの姿をした魔獣が次々に出てきた。
「《乾燥光線》!!」
『『『『ギッ・・・・・・!?』』』
思いつきでクラウ・ソラスから放った新ビームで、敵魔獣はほぼ全て干物になった。
取りこぼしは他のみんなが倒した。
干物になった魔獣はちゃんと回収しました♪
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――ドルドナ遺跡 地下80階層――
「森?」
「森ですね。」
「殿下、勇者様、前方に魔獣です!」
80階層に到達した。
敵がペースを落とした階層だ。
そこにいた魔獣は・・・・・
『『『――――――(カサカサ)』』』
ソレが出現した直後、一部で悲鳴が上がったがそれはカットしておく。
現れたのは無駄に黒光りを放つ“アレ”だった。
しかもデカい!
【黒真珠蜚蠊】
【分類】昆虫型魔獣
【用途】無
【詳細】黒真珠のような輝きを持つ大型のゴキブリ。
雑食で人間も食べる。
キモイ。
確かにキモイ!
一見すれば黒真珠のようで綺麗かもしれないが、あの姿は間違いなくキモさの増したゴキブリだ。
「森ごと灰になれ!!」
その後、炎上する森の中を俺達は走っていった。
この階層はゴキブリ系しかいなかった。
その後、「聖なる蚯蚓」や、「瑞々しい蛞蝓」など、女性なら卒倒間違いなしの光景が俺達を待ち構えていた。
敵がペースを落としたのはこれが原因だったんだ。
間違いない!!
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――ドルドナ遺跡 地下90階――
不味い事になった。
障害物を物理的に破壊して更にルートを短縮していった甲斐もあってようやく地下90階層まで到達できた。
だけど、敵の方も既に地下99階層にいる。
最下層の一歩手前にいる。
「折角ここまで来たのに!」
「まだ猶予は残っています。最下層に着いても、すぐに儀式が始まる訳ではありません。今は少しでも足を動かしましょう!」
「言われなくても分かってる!!」クソッ!!この床を破壊できたらすぐに追いつけるんだが・・・!!」
誰もが思いつく定番のショートカット法はここでは使えなかった。
壁や森とかは破壊できるがすぐに自己修復が始まる。
そこは《加速》で強制突破できたが、床はそうはいかなかった。
とにかく早い!
表面の部分は壁と同じだったが、中心部はとにかく頑丈な上に修復速度が半端なかった。
事実上、ショートカットは不可能だった。
「文句を言わずに走ろうぜ!」
「ガキに言われなくても分かっている!」
『ギャオオオオオオオオ!!』
「「「!?」」」
俺達の前にドラゴン出現!
しかも強そうなのが出てきた!
「上位竜!?」
「邪魔!転送!」
『ギャオ!?』
戦う時間も惜しいから強制退場させた。
外のみんな、ゴメン!
「一直線に走るぞ!!」
その後、階段への道を塞ぐ障害物を強制排除しながら先を急いだ。
敵が最下層に到達したと《摩訶不思議な情報屋》が報せてくれたのは、それから数分後のことだった。
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