第115話 ボーナス屋、早起きする
新章開始です。
――ゴリアス国 首都ドーウィン――
ゴリアス国はダーナ大陸の北東、ファリアス帝国の北に位置する四大国の1つだ。
帝国とは西半分をウィリディス山脈、東をメンシス川を挟んで並び、この山脈と川が天然の国境となっている。
国土の東と北は海に面し、西側は北からアナム国、聖国、ムリアス公国という順に国境を挟んで接している。
大陸一の森林資源を誇っており、木材や木炭を隣国に輸出している。
他にも海岸部では製塩が盛んで、製塩技術がゴリアス程進んでいない帝国はゴリアスから塩を輸入することで国を支ええているほどだ。
他にも盛んな産業はあるが、とにかくゴリアス国はここ百年、有能な国王の善政のお蔭で衰退の危機に瀕する事もなく発展を遂げていた。
そんな大国の首都にある巨城、数百年間崩壊することなく首都に君臨するグローリア城の内部は過去前例がないほどの異変に包まれていた。
「―――――ゴホッ!!グッ・・・立って歩く事すらできないとは・・・ゴホッ!!ゴホッ!!」
日中であるにも拘らず、王侯貴族どころか衛兵やメイドの影すらない城内の通路を1人の白髪の老人が壁に掴まりながら亀のような速度で必死に歩いていた。
老人の名は『英雄王』アラン=B=ゴリアス、この国の先々代国王だった。
「待っておれ・・・ゴホッ!!おまえ・・達の、思い通りには・・・させん!!」
吐血する先々代国王はここには居ない敵に対して敵意を丸出しにしながらまた一歩歩いていった。
現在、グローリア城の中にいる人間は、先々代国王と夫人の2人だけだった。
にも関わらず、ドーウィンの住民達は誰1人としてその事に気付いていなかったのだった。
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――ファリアス帝国 帝都タラ――
おはよう!
昨日は一杯食べて、風呂に入ってからしっかり熟睡した士郎だ!
お蔭で今朝は何時もと同じ時間に起きたぜ!
そして毎朝欠かさない早朝トレーニング!
途中、脳筋軍団とかが暑苦しい訓練をしていたのを見かけたけど無視した。
それはそうと、今日はゴリアス国に行く日だ!
目的は捕らわれの皇子様(仮)の救出!
ついでに可能なら『至宝』をゲットだぜ♪
「今日も元気にファイトだ!」
『キュッ!』
「って、シャイン!?」
『キュッ!』
俺の隣にはベビーなドラゴンのシャインちゃん(♀)がお座りしていた。
何でここにいるの?
昨日はファル村でお留守番だったはず・・・あ、宴会の時にやってきたのか!
「迷子なのか?」
『キュウ?』
「ヒューゴの所に行くか?」
『キュッ!』
俺はシャインを肩に乗せて宮殿内のヒューゴ達が泊まっている部屋を目指した。
昨日は大分騒いでいたし、今日のゴリアスへの用事には連れて行かない予定だからまだ熟睡しているかもな。
「「「うわあああああああああ!!!!!」」」
ん?
何だ、今の悲鳴?
『キュッ!』
「え、あっち?」
『キュウ!』
シャインが指差す方にあるのは騎士団の施設の方だ。
すると、大きな土埃を上げながら何かが悲鳴を上げる集団を追いかける光景がそこにあった。
「嫌だぁぁぁぁぁぁ!!こんなの無理だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
「こここここ!侯爵家の私が何故こんな目にいいいいいいいいいいいいいいいい!!!???」
「人間じゃない!!あれは絶対に人間じゃないいいいいいいいいいいいい!!!!!」
「はははははははははははははははははははは・・・・・・・!!夢だ・・・・・これはきっと悪い夢なんだああああああああああ・・・・・・・・・・・・!!!」
おいおい、これってデジャヴって奴か?
前にもファル村で見た事がある光景に似てないか?
ということは・・・・。
「そこ!!また止まったら50周追加だ!!死ぬつもりで走れ!!」
「ヒィィィィィィィィィ!!!ぼ、僕は上級貴族なんだぞ!!??」
「知るかムシケラ共!!堕落しきった貴様らの性根、原型を失わせてくれる!!」
「「「ヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!」」」
「泣き言を上げる暇があったら速度を上げろ!!時間内に走り切らなければ地獄メニュー追加だ!!」
「「「うわあ~~~~~~~~ん!!!」」」
「マ~~~~~マ~~~~~~~!!」
村長・・・・・・。
あんた、何時から村長辞めて鬼軍曹に転職したんだ?
第二のチームバカ皇子爆誕フラグかな?
そういえば、村長のステータスはどうなったかな?
【名前】『群青の豪傑』ロン
【年齢】82 【種族】人間
【職業】超村長(Lv43) 神龍騎士(Lv35) 恐怖之鬼将軍(Lv20)
【クラス】帰ってきた英雄
【属性】メイン:土 火 空 サブ:風 木 光
【魔力】3,990,000/3,990,000
【状態】正常(完全健康体)
【能力】攻撃魔法(Lv4) 防御魔法(Lv3) 補助魔法(Lv3) 特殊魔法(Lv4) 剣術(Lv4) 斧術(Lv2) 体術(Lv3) 超回復 雷光の聖剣
【加護・補正】物理耐性(Lv3) 魔法耐性(Lv2) 精神耐性(Lv4) 火属性耐性(Lv4) 土属性耐性(Lv4) 闇属性耐性(Lv3) 空属性耐性(Lv2) 超回復 竜殺し 悪魔殺し 英雄 生涯現役 戦女神オイフェの加護 焔龍イグニスの契約 完全健康体 全状態異常耐性(Lv4) 不老長寿 職業補正 職業レベル補正
【BP】269
村長~~~~~~!!!
何でこうなったんだ!?
謎の職業になってるし!魔力も更に上がってる!
「恐怖之鬼将軍」って何だよ!!
このまま何所へ向かうんだよ!?
『キュ?』
「あ、何でもないよ。」
そうこうしている内に村長たちの姿が見えなくなった。
1時間後には屍の山が出来上がっているだろう。
あ、そういえば俺のステータスはどうなったんだ?
昨日は色々あって自分のを確認するのを忘れていた。
さて、どうなてるかな?
【名前】『ボーナス屋』大羽 士郎
【年齢】16 【種族】人間
【職業】魔法剣士(Lv47) 神器使い(Lv40) 勇者(Lv40) 【クラス】救国の勇者
【属性】メイン:土 木 サブ:火 風 水 空 光
【魔力】3,410,000/3,410,000
【状態】正常
【能力】勇者之魔法(Lv4) 属性術(Lv3) 勇者之武術(Lv3) 善行への特別褒賞 超魔力吸収 命無き物の可能性 進化する可能性 鑑定
【加護・補正】魔法耐性(Lv2) 精神耐性(Lv2) 土属性耐性(Lv3) 木属性耐性(Lv3) 火属性耐性(Lv2) 風属性耐性(Lv1) 水属性耐性(Lv2) 竜殺し 土神ハニヤスの加護 豊穣神アヌの加護 銀腕神ヌアザの加護 異世界言語翻訳 職業補正 職業レベル補正
【BP】125
予想通りにレベルが上がっていた。
それ以外に変化はな・・・い?
【勇者之魔法(Lv4)】
・《攻撃》、《防御》、《補助》、《特殊》の魔法が統合された勇者専用の魔法。
・通常の魔法よりも威力及び効果等が2割増しになり、消費魔力も2割減になっている。
・偶に気合いで相性無視の効果を発揮するだろう。
・《進化する可能性》により統合進化を果たした能力です。
あれ?
俺、何時の間に《進化する可能性》を使ったんだっけ?
まさか、パッシブなのか?
因みに、《勇者之武術》も勇者専用のスキルだった。
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――ファリアス宮殿内ーー
『キュウ♪』
「シャイン、一体何処に行ってたんだ?」
「なんか、外でキョトンとしてたぞ?」
シャインは無事に保護者の元へ帰りましたとさ。
「シャインちゃ~ん!」
「おっはよ~!」
『キュウ♪』
「「キャ~~!!カワイイ~~!!」」
チーム皇女はシャインにメロメロだ!
そのお陰でヒューゴの株は兄弟の中でも最近は連日ストップ高だ。
「か、カワイイ・・・」
「(シッ!殿下達の前ですよ!)」
ついでにチームメイドさんのハートも掴みつつあるな。
ちょっと羨ましい・・・。
「シロウ殿、おはようございます。」
「あ!ロビンくん、おはよう♪」
今日のロビンくん登場!
今朝は随分とお洒落だな?
「父上が用意してくれたんですよ。高級素材を使った一級品みたいです。」
バカ皇帝改め親バカ皇帝か。
てか、よくロビンくんの服のサイズを知ってたな?
父親の勘か?
「それはそうと、今朝は早く朝食を済ませた方がいいですよ?」
「あ、そうだった!」
「もう用意はできているそうですから、皆と一緒に行きましょう。」
「そうだな!」
俺とロビンくんはヒューゴ達を連れ、無駄に広い部屋で豪華絢爛な朝食を食べた。
今日も1日忙しくなりそうだし、しっかりと力を付けていかないとな!
因みに、最早当然の事だが、親バカ皇帝の顔は今朝もボロボロだった。
昨晩は何があったんだか。
村長は何所へと向かうのでしょうか?
なお、新職業の補正内容は以下の通りです。
〈超村長(Lv43)〉
体力大上昇 精神力大上昇 毛根不滅
〈神龍騎士(Lv35)〉
防御力大上昇 敏捷力大上昇 龍族相性大上昇 神気耐性中上昇
〈恐怖之鬼将軍(Lv20)〉
体力大上昇 攻撃力中上昇 呪い耐性中上昇 闘気中上昇