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ボーナス屋、勇者になる  作者: 爪牙
2ヶ国奪還編Ⅳ-奪還作戦の章-
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第110話 ボーナス屋、聞き耳を立てる

 俺のクラウ・ソラスが進化した!


 前に創った固有能力《命無き物の可能性》を装備品全てに使っておいた甲斐があり、クラウ・ソラス(未覚醒)はレベルアップして『クラウ・ソラス+10』になった。


 新たに加わった能力は「形状を使用者の意志により変更可能(ただし、刀剣類に限る。)」と、「形状により使える技が変化する」だった。


 今は俺が日本人だからか、時代劇で見るような日本刀になっている。


 今後の進化にも期待できそうだ♪




 それはさておき、帝都は今お祭り騒ぎである。



「酒だ~!!」


「肉だ~!!」


「宴だ~!!」



 貴族も平民も関係なく酒や料理をむさぼっている。


 あの後、宮殿内にそれぞれファル村と王都に通じる転移装置を設置し、そこから救出された王族と皇族が集まった。


 そしてそこで説明会、俺達の知っている情報を教え、両国間で起きた戦争が仕組まれたものであると説明した。



「よし!今日で終戦にしよう!これ、その書類ね♪」



 バカ皇帝はなんだかんだで仕事をしていた。


 そしてフィンジアス国王も終戦に同意し、多くの犠牲を払った戦争が終わった。


 多分、ダニールやアイアスが大勢の前で黒幕っぽさを出してくれたお陰だろう。


 帝都と王都で終戦が発表された際、民衆はみんな喜んでいた。


 そして現在、帝都は終戦を祝ってお祭り騒ぎになっている。


 正式な宴会ではなく、住民達が勝手に料理や酒を出しているだけのものだが、それでも十分に盛り上がっている。



「勇者様、美味しい料理が一杯です!」


「だな!魔獣の肉料理がなんとも言えないな!」



 俺も大量の肉料理を食べまくっていた。


 ダニールが召喚し、村長が倒しまくった魔獣の肉はどれも絶品だった。



「うっ!み、水・・・!?」


「勇者様!?すぐに持ってきます!!」



 美味しくて喉に詰まらせてしまった。


 肉もいいけど、そろそろ野菜も食べないとな!


 あれ?


 あそこにいるのはバカ皇子?



「ハハハハ!!そうして俺は敵ダニールを倒したのだ!」


「兄ちゃんカッケ~!!」


「スゴ~イ!!」


「弟達よ、お前達も修行すれば俺のように強くなれるぞ!」


「本当!?」


「ハハハハ、兄は嘘はつかない!」



 バカ皇子はファル村から来たマイカ達に自慢話をしていた。


 ああして見ると、普通に仲の良い兄弟だな。


 あ、バカ皇子が部下達にも声をかけ始めた。



「どうだ、お前達も地獄の成果が発揮できて満足だろう?」


「ええ満足です。今日で殿下の部下でなくなるのですから。」


「何ぃ~~~!?」


「冗談です♪」



 バカ皇子、部下に遊ばれているな~。



「(けど、近いうちに軍も色々再編されるらしいから、マジで配属が変わるんじゃないか?)」


「(俺ら、強くなったからな。引き抜かれたりして・・・。)」


「(お前、確かゴーレムの残骸の下敷きになってなかったか?)」


「(僕、国が落ち着いてきたら結婚するんだ!)」


「(何!?テメエ、何時の間に女が!?)」


「(羨ましい~!!)」


「(お金もかなり貯まったから、家も買うんだ!)」


「(そういえば、俺も大分貯まったな~。なんだかんだあったが、自分の倒した魔獣の素材は自由にしていいって言われたからな。俺ら、下手をしたら下級貴族より羽振りが良いんじゃないか?)」


「(バカ皇子達も、ちょっと前は俺達のことなんか顧みなかったのに、今じゃかなりマトモになったよな。バカだけど。)」


「(バカだけどな。)」


「(バカだけどね。)」


「(残念皇子だな♪)」



 よく聞こえないけど、なんだか楽しそうだ。


 あ、バカ皇子の奴、何か揉めてるな?



「えええ!?やっぱり、俺の部下は嫌なのか!?」


「だから勘違いしないでください。何で休暇を申請したら除隊や異動の話になるんですか!自分は田舎の家族の元に帰ろうと思っているだけですよ!自分、今回のクーデターを起こした貴族の領地の出身ですので、村が無事か気になるんです!」


「そ、そうか!」


「あ、でももしかしたら辞めるかも・・・・・」


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」



 バカ皇子、部下の引き留めに必死だな。


 考えてみれば、チームバカ皇子は村長に鍛えられまくったから、軍人辞めて冒険者に転職した方が生活が潤うかもしれないな。


 あ、でも軍の方は今回の戦争やクーデターで大分力を失っているから、必死でチームバカ皇子を引き留めようとするかも。



「勇者様、お水をお持ちしました!」


「おう、ありがとな!」



 そういえば喉が詰まりかけていたんだった。


 ふう、ようやく全部胃に流れたな。



「勇者様はお酒は飲まないんですか?」


「いや、俺は元居た世界じゃまだ未成年だから飲めないんだ。それに、明日も忙しくなるからな!」


「あのう、私も・・・」


「アンナちゃん、気持ちは嬉しいけど、明日行く所は下手をしたら今までで一番危険な場所かもしれないんだ。まだ戦いに慣れていないアンナちゃんには危険すぎるよ。」


「けど、私は!!」



 アンナちゃんは本気で何所までも俺についてくる気みたいだ。


 だけど、明日向かう場所は今までと違って国外だ。


 一歩踏み込めば周りは敵だらけの敵地、それに今度の敵はダンジョンの魔獣とは違って生きた人間が大半だ。


 今回の奪還作戦にだって連れて来たくなかったのに、それ以上に危ない場所に同行させるのは冗談でも避けたい。



「でも私、勇者様のお役に立ちたいんです!知っているんです!私が勝手に召喚したせいで、勇者様は元の世界に帰れなくなったって!」


「アンナちゃん、それを何処で・・・って、あのバカか!」


「私のせいで、私のせいで勇者様は・・・・!私は、私は取り返しのつかない事をしたんです!この身をもって償わないといけないんです!」


「アンナちゃん、俺は償いなんて・・・!」



 アンナちゃんがそこまで追い詰められていたなんて気付かなかった。


 そもそも、《奇跡の書》での召喚の秘密を知っていた事にも気付かなかった。


 俺は召喚された事なんか気にしてない。


 というか、アンナちゃんは知らないみたいだけど、《奇跡の書》で召喚された人が元の世界に帰る方法は存在するんだ!


 あのカレーパーティの夜、あのバカ龍王から聞いた方法が。



「アンナちゃん、そんなに自分を責めなくてもいいんだ!それに、元の世界に帰る方法は・・・」


「私は、わたひは・・・ゆうひゃはまに、ちゅぐないを・・・ひなければ・・・」


「・・・・アンナちゃん?」



 あれ?


 なんだかアンナちゃんの様子がおかしくないか?



「すみませ~ん!そちらの御嬢さんにお渡ししたの、水じゃなくてお酒でした~!!」


「ゆうひゃはまぁぁぁぁぁぁ!!」


「わ~~~!!アンナちゃんしっかりしろ~!!」



 酔ってる!めっちゃ酔ってるよ!?


 あ~、涙がボロボロ流れてきてるよ!


 泣き上戸!?



「すみません!本当にすみません!こちらが水です!」


「ほらアンナちゃん、水を飲むんだ!」


「わたひなんかしにぇばいいんです~~~!!」



 うわ~!!


 酔って自虐的になってるよ!!



「ふにゃ~?」


「うわ!倒れた~~~!!」



 その後、アンナちゃんは顔を真っ赤にしたまま宮殿に運ばれていった。


 お酒は大人になってから飲もう!



【名前】アンナ=ファリアス

【年齢】15  【種族】人間

【職業】シスター(Lv40) 魔法使い(Lv49) 農民(Lv39)  【クラス】片思いの少女

【属性】メイン:光 水 風 サブ:火 木 土 雷 空

【魔力】392,400/840,000

【状態】泥酔(中)

【能力】攻撃魔法(Lv2) 防御魔法(Lv3) 補助魔法(Lv2) 特殊魔法(Lv3) 調合術(Lv2) 鑑定

【加護・補正】魔法耐性(Lv3) 闇属性耐性(Lv2) 水属性耐性(Lv2) 風属性耐性(Lv2) 女神ブリギッドの加護 職業補正 職業レベル補正

【BP】135




--------------------------


 流石宮殿、客室も無駄にデカかった!


 アンナちゃんをベッドに寝かし終えたし、俺も今日はこの辺りで帰ろうかな?


 転移装置を使えば一瞬でファル村に戻れるけど、バカ皇帝とかが泊まって行けと五月蠅いから俺も宮殿に泊まっていくかな?


 ん?あそこにいるのはコッコくんか?



『ゴケッ!』


「母上~!僕もこのニワトリ欲しいよ~!!」


「え・・・!?ど、どうかしら~・・・。世の中にはお金で買えないものもあるから無理かな・・・?」


「え~~?」



 貴族っぽい子供がコッコくんを欲しがっているようだ。


 お母さん、色んな意味で困っているな。


 確かにコッコくんはお金では買えないから、あの子には諦めてもらうしかないだろう。


 あ、駄々を捏ねはじめた。


 コッコくんも宥めようと必死だな。


 コッコくん、あんなに強いのに小さい子の前では形無しだな。


 そういえば、コッコくんもレベルが上がったんだっけ?



【名前】コッコ

【年齢】0.2  【種族】超鶏(精霊金色王鶏(エレメンタルゴールデンキングチキン)

【職業】鶏皇(Lv42) 闘鶏(Lv42) 神使(Lv40)   【クラス】チビッ子のヒーロー

【属性】光 闇 火 風 水 土 雷 木 空

【魔力】2,610,000/2,610,000

【状態】正常

【能力】攻撃魔法(Lv4) 防御魔法(Lv4) 補助魔法(Lv4) 特殊魔法(Lv4) 属性術(Lv4) 体術(Lv4) 剣術(Lv4) 鶏魔法 鶏戦法 神鳥術(Lv4) 聖火 浄化 飛翔

【加護・補正】物理耐性(Lv3) 魔法耐性(Lv3) 精神耐性(Lv2) 光属性耐性(Lv3) 闇属性耐性(Lv3) 火属性耐性(Lv3) 風属性耐性(Lv3) 水属性耐性(Lv3) 土属性耐性(Lv3) 雷属性耐性(Lv3) 木属性耐性(Lv3) 全状態異常耐性(Lv3) 回復力向上 鶏の王 超逃走 迷宮攻略者 長寿 精霊の瞳 野生の勘 鶏神(?)の加護 職業補正 職業レベル補正

【BP】315



 ポイントがかなり貯まっている。


 今度、新しいボーナスと交換させよっかな?



「ヤダヤダ~~!!欲しい欲しい!!」


「ダメです!ニワトリを飼うのは平民だけだから我が家ではダメです!」


「じゃあ平民になって!!」


「ええ!?」


『ゴケッ!?』



 名前の知らないお母さん&コッコくん、頑張れ!





 2ヶ国奪還編も次回で終わりです。


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