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ボーナス屋、勇者になる  作者: 爪牙
2ヶ国奪還編Ⅳ-奪還作戦の章-
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第109話 ボーナス屋、言われて気付く

 シャーロット御祖母様、兄上の話では伝説の最高ランクの冒険者で、帝国の英雄であるロン村長と共にかつてダーナ大陸を襲った『大災厄』から世界を救った。


 兄上からその話を聞くまでは、私は御祖母様を凄く元気な人(・・・・・・)という印象しか抱いていなかった。


 勿論、御祖父様と一緒に行った政策の数々も十二分に尊敬できる事だったが、まあなんというか・・・元気な印象が強すぎたのだろうな。


 それはいいとして、私は今、伝説を目の当りにしていた。



「貴様達か!愚息を唆し、このような茶番を仕掛けたのは!!」



 御祖母様は相手を睨み殺すかのような目でアイアスを睨んだ。


 その気迫はアイアスだけでなく、睨まれていない私までもがたじろぐほど強烈だった。



「・・・シャーロット=F=フィンジアスか。その剣、古きアルスター王の魔剣か!」


「国賊に教えてやる義理は無い!覚悟せよ!!」


「老い耄れが!やれ!!」



 アイアスが御祖母様を指差しながら叫ぶと、ガーゴイルとマンティコアの2体が現れて御祖母様に襲い掛かった。



「――――遅い。」



 一瞬だった。


 私には蒼い軌跡しか見えず、2体の魔獣はさっきのガーゴイル同様、一瞬で斬られて氷漬けにとなった。



「・・・・凄い!!」


「フフフ、ステラよ、世界には私よりも強いものがゴロゴロといる。この程度で驚いていては身が持たぬぞ?」


「それは・・・御祖母様!!」



 御祖母様が笑顔で私の方を見た直後、アイアスは背中を向けた御祖母様に向かって攻撃を放った。


 だがその直後、御祖母様の姿は消え、同時にアイアスの姿も私の視界から消えた。


 何所に消えたのか捜そうとした直後、真上から轟音と共に悲鳴が聞こえてきた。



「《冷たく轟く無血の断罪(クイーンジャッジメント)》!」


「ギャアアアアアアアア!!??」



 一撃!?


 あのアイアスを、たったの一撃で倒したのか!?


 しかし、斬られた筈のアイアスからは血が一滴も流れていない。


 これは一体・・・?



「訊きたい事もある。今は命だけは奪わないでおこう。」


「クッ・・・!まだだ、まだ終わってはいない!No.7!!」



 満身創痍のアイアスは右手を空に向かって挙げる。


 すると、一瞬で王都の空が闇で覆われてしまった。



「この闇は!?」


「フハハハハ!!やれ、No.7!この国に黒き終焉を与えてやれ!!」


『――――了解。』



 黒い空に浮かぶ堕天使(?)は相変わらず感情を感じさせない声を呟くと、両手を空に掲げて並外れた量の魔力を集め始めた。


 その不吉な魔力に私は戦慄したが、御祖母様は何故か平然としていた。




「《光り輝く神拳(ゴールデン・サン)》!!」




 またも一瞬だった。


 天から金色に輝く星が堕天使に向かって落ち、そのまま堕天使ごと地上に墜落した。


 墜落の衝撃で一帯に土埃が舞う。



「なっ・・・!?」



 アイアスは開いた口が塞がらないといった表情になった。


 それは私も同じだ。


 今度は一体だれが・・・?



「―――――まだ子供じゃないか!なんて酷い事を!」


「御祖父様!?」



 土埃の奥から現れたのは先代国王、私の御祖父様だった!


 御祖父様は両手に黄金の甲冑を着た少年を抱きかかえながらこっちにやってきた。


 あの少年があの堕天使の正体?



「バカな!この世界の人間に、それほどの力を持った者は居ない筈・・・!?」


「どうやら、貴様の謀略もここまでのようだな?」


「・・・クッ!こうなれば、最後の――――――」


『くたばれ!』


「ギャアアアアアアアアア!!!!!」



 アイアスがまだ何かをしようとした直後、不意に謎の声が聞こえたのと同時にアイアスは火柱に飲み込まれた。


 上を見上げると、そこには巨大な赤い龍が飛んでいた。



『こっちに流れた雑魚を片付けに来てみれば、とんだ虫がいたものだ。おお!よく見れば、久しい顔があるな!』


「イグニス!!」


「おお!イグニスか!?随分久しぶりだな?」


『シャルルもエルヴィスも随分と老けた――――』


「《女の敵殺し(キル・ザ・イグニス)》!!」


『うわっ!!危ねえ!?』



 その後、御祖母様は御祖父様と一緒に残る敵を一掃した。


 途中、黒こげになっても逃げ出そうとするアイアスを嫌な音を立てながらボロ雑巾に変えたが詳しくは言わないでおく。


 こうして、重傷者は出たものの、奇跡的に死人を出さずに作戦は終了した。



「このバカ息子!!!」


「ぐはっ!!??」



 余談だが、王城に戻った直後に今回のクーデターに利用された伯父上に最初の一発をぶつけたのは意外にも御祖父様だった。


 私が知る穏やかな顔、一部の貴族達からは「頼りない」、「覇気が足りない」、「所詮、運だけの王」などと揶揄されていた平凡そうな人の顔とはかけ離れた怒りの形相で伯父上を殴り続けた。



「お前を過保護にしすぎた私達にも責はある。だが、それを含めてもお前のした事は愚か過ぎる!!」


「ち、父上!」


「父上じゃない!!」


「ぐぎゃあああああああ!!」



 それは実に恐ろしい光景だった。


 その拳が落ちる度に大地が揺れ、亀裂が走っていく。


 伯父上と一緒に捕まった貴族達は一瞬で蒼白になり、自分達が誰を敵に回したのか嫌というほど理解したのだった。



「ステラ、危ないから下がっていなさい!」


『おい!死にたくない奴は早く離れろ!』


「御祖母様!何でそんなに離れてるんですか!?しかも空に!」



 御祖父様の強さを知っている人達は我先にと逃げていた。





--------------------------


――帝都タラ――


「――――と言うわけだ。」


「爺さん、もしかしなくても王国最強?」



 堕天使を瞬殺って、どんだけ強いんだよ!?


 俺も堕天使は見たことないけど、天使なら日本にいた時に会った事があるし、どんだけ強いのかもこの目で見ている。


 何を隠そう、俺の能力(チート)はその天使から貰ったものだからな。


 『熾天使イエグディエル』、なんだか懐かしいな。



「何!勇者の力で若返っただと!?ズルい!!」


「シャルルは今でも若いよ。」


「そ、そうか?」



 って、向こうは惚気話になってきたな。


 そうだ、今の内にステラちゃんの祖父さんと祖母さんのステータスを調べてみるか。



【名前】『冒険女王』シャーロット=F=フィンジアス

【年齢】76  【種族】人間

【職業】大公妃 冒険者 師範  【クラス】ダーナ大陸最強の夫婦(妻)

【属性】メイン:光 雷 氷 サブ:風 火 土 水

【魔力】23,100/1,590,000

【状態】疲労(小)

【能力】攻撃魔法(Lv3) 防御魔法(Lv3) 補助魔法(Lv4) 特殊魔法(Lv4) 剣術(Lv4) 槍術(Lv1) 体術(Lv2) 盾術(Lv2) 調合術(Lv4) 蒼緑の雷氷剣(ゴーム・グラス)

【加護・補正】物理耐性(Lv3) 魔法耐性(Lv3) 精神耐性(Lv3) 光属性耐性(Lv3) 雷属性耐性(Lv3) 氷属性耐性(Lv3) 麻痺無効化 凍傷無効化 料理オンチ 生涯元気 魔力の泉 愛の力 竜殺し 女神エアームドの加護

【BP】710



【名前】『双光の英傑』エルヴィス=W=フィンジアス

【年齢】75  【種族】人間

【職業】大公 冒険者 教師  【クラス】ダーナ大陸最強の夫婦(夫)

【属性】無(全属性)

【魔力】470,600/2,158,000

【状態】疲労(中)

【能力】攻撃魔法(Lv1) 防御魔法(Lv1) 補助魔法(Lv5) 特殊魔法(Lv3) 剣術(Lv2) 体術(Lv5) 盾術(Lv1) 投擲(Lv4) 闘気術(Lv5) 浄化 陽光龍の右拳(ゴルド・ゾンネ) 月光龍の左拳(ズィルバー・モーント)

【加護・補正】物理耐性(Lv5) 魔法耐性(Lv2) 精神耐性(Lv4) 全属性耐性(Lv3) 全状態異常耐性(Lv4) 不撓不屈 王の器 料理の鉄人 竜殺し 龍王の契約者 龍王???の契約 太陽神ベレヌスの加護

【BP】718



 ステラちゃんの祖父さん、想像以上にスペック高!


 まさかの魔力200万超えだと!?



「ステラちゃん、これって・・・。」


「シロウも見たか?」


「見間違いじゃないなら、ステラちゃんの祖父さんて、龍王と契約してないか?」


「ああ、本当に信じられない。まさか夫婦で大陸最強とは・・・(汗)」



 村長の友達なのは見れば分かるけど、何があればこんなにハイスペックになるんだ?


 それに、龍王の名前が隠されているのが気になる。



「そういえばシロウ、先ほどから気になっていたのだが・・・。」


「何?」


「シロウのクラウ・ソラス、形が変わってないか?」


「え?」



 俺は慌ててクラウ・ソラスを確認する。


 すると、ステラちゃんの言うとおり、俺のクラウ・ソラスは形を変えていた。



「・・・刀?」



 クラウ・ソラスは、西洋剣から日本刀にチェンジしていた。




【《クラウ・ソラス》はレベルアップしました。】


【新たに〈スタイルチェンジ〉が追加されました。】





 ステラちゃんのお祖父さんとお祖母さんが何故ハイスペックなのか?

 それは番外編で少しずつ明かされていきます。


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