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ボーナス屋、勇者になる  作者: 爪牙
2ヶ国奪還編Ⅳ-奪還作戦の章-
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第98話 ボーナス屋、見つめられる

――帝都タラ ハワード邸(当主の執務室)――


 それなりに広いハワード侯爵の執務室で、ロビンは義父である侯爵と侯爵の私兵に囲まれていた。


 全員がロビンの顔見知りだが、彼らの主はあくまで侯爵本人、彼らは躊躇う事無く武器をロビンに向けた。



「フフフ、降参するなら今の内だぞ?」


「いえ、どうやら私も貴方の(・・・)お蔭で迷いが消えたようです。ここからは私も覚悟を決めて行かせてもらいます。」



 余裕の侯爵の姿を見ていたロビンは、まるで何かが吹っ切れたかのように表情を変えた。


 最早家族を見る目ではなく、制圧すべき敵を見る目になっていた。



(どうやら、私は何所かで義父に父親の情を期待していたみたいですね。けど、これで吹っ切れました。ここでしっかりとしなければ家族(みんな)に顔向けができませんね。父上(・・)にも・・・。)



 ロビンは懐に仕舞ってある物を確認すると、右手に《虚空の銀槍(エアルバー)》を出現させた。



「「「―――――!?」」」


「何だそれは!?」



 何もない所から出た武器に驚く侯爵と私兵達だったが、ロビンは彼らが落ち着きを取り戻すのを待たなかった。


 直後、ロビンの姿は侯爵達の視界から消えた。



「「「なっ――――――――!?」」」


「――――――――――ッ!」



 一瞬だった。


 視界から消えたロビンを探す私兵達は一瞬で宙を舞い、同時に持っていた武器を全て破壊された。


 そして彼らが床に激突すると同時にロビンの姿が再び侯爵の前に現れた。



「バ、バカな・・・・・・!」


ハワード侯爵(・・・・・・)、これで終わりです!」


「こ、小僧が!!」



 槍の穂先を侯爵に向けるロビンに対し、侯爵は怒りの形相で持っていた剣をロビンに向ける。


 そして刀身に魔力を流し込み、ブツブツと何かを詠唱し始めた。



「―――――帝国貴族の力を思い知れ!《雷竜の斬閃》!!」


「《反射(カウンター)》!」



 侯爵の剣から雷の刃が飛び出す。


 だが、雷の刃はロビンの前の方向を180度変えて侯爵に襲い掛かった。



「なっ!ギャアアアアアアアア!!!!!」



 侯爵は自分が放った魔法をその身に受けて悲鳴を上げた。


 同時に、侯爵が持っていた剣も砕け散った。



「うぅぅぅ・・・・・・。」


「――――ハワード侯爵、国家反逆の罪で拘束します。」



 ロビンは僅かに意識のある侯爵に述べると、四次元倉庫から拘束用の縄を取り出して侯爵達を縛っていった。



「こ、これは!?ロビン様、これは一体・・・!?」


「執事長さん、ハワードは帝国に対する国家反逆罪で拘束しました。使用人及び私兵を含めた屋敷中にいる人間は、全員敷地内から出ないでください。」


「ハ、ハイ!!」



 その後、負傷した侯爵達に応急処置程度の治療をしたロビンは念の為にと、敷地全体に結界を張って誰も外に出られないようにした。


 使用人達は突然の出来事に動揺するが、ロビンが見せたバカ皇帝直筆の書類と“ある物”を見せると、驚愕しながらも全員大人しくロビンの指示に従った。



「さてと、これからこの屋敷は臨時の留置場になりますから忙しくなりますね。他の皆さんも無事だといいんですけ・・・・・」



 ロビンは外の様子を見て言葉を途中で止めた。



「ハハハハハ!!進めえ~!!このまま宮殿へ突撃だあ~~~~!!」


「グワァァァァァァ!!第一皇子が強いなんて聞いてないぞぉぉぉぉぉ!!??」


「そんなバカなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!???」


「皇子~~~!!ちょっと待ってくださいよ~~~~!!」


「走れ!我が愛馬、ゴルド・ヴィント号~~~!!」


『ヒヒィ~~~~ン!!』



 ハワード邸の前を、バカ皇子が疾走するのが見えた。


 止めようとする敵兵を跳ね飛ばしていき、何だか馬もテンションが高くなっている。



「・・・あ、兄上(・・)。」



 ロビンのテンションが一気に落ちかけた。


 一瞬、バカ皇子にやられる敵兵に同情しかけたロビンはどうにか立ち直る。



「そういえば、兄上の愛馬も・・・・・。」



 ある事を思い出したロビンは、視界から消えそうになったバカ皇子の愛馬を《ステータス》で調べてみた。



【名前】ゴルド・ヴィント号

【年齢】10  【種族】混血堕天馬(ハーフランドペガサス)

【職業】軍馬(Lv41) 駿馬(Lv40) 征馬(Lv40)  【クラス】突撃上等 ハイテンションな馬

【属性】光 土 風 水

【魔力】581,100/770,000

【状態】ハイテンション

【能力】攻撃魔法(Lv3) 防御魔法(Lv3) 補助魔法(Lv3) 特殊魔法(Lv3) 光術(Lv3) 土術(Lv3) 風術(Lv3) 水術(Lv2) 馬戦法 大爆走

【加護・補正】物理耐性(Lv3) 魔法耐性(Lv3) 精神耐性(Lv2) 光属性耐性(Lv4) 土属性耐性(Lv2) 風属性耐性(Lv2) 水属性耐性(Lv1) 呪い無効化 不撓不屈 超健康 長寿 天馬王の加護 職業補正 職業レベル補正



「・・・・・・。」



 バカ皇子の愛馬はハイスペックだった。


 元からそうなのか、成長してそうなったのかはロビンにも判断できなかったが。



(思えば、コッコくんの一件以来、持ち馬を連れてシロウ殿に会いに行く人が増えてましたね。)



 ロビンは、コッコ団の騒動をきっかけに、自分の愛馬にもボーナスを与えようとする人が増えていた事を思い出していた。



「あ!そろそろ連絡しないと!」



 だがすぐに頭を切り替え、ロビンはすぐに《念話》で仲間に連絡をし始めた。


 その後、続々と捕縛された反皇帝派の貴族達がハワード邸に運び込まれていった。





--------------------------


――帝都タラ スラム街――


『え~と、聞こえてますか?』


「お兄ちゃん!」


「お?ロビンくんじゃん!」



 不意にテレビの画面が増え、そこにロビンくんが映った。


 無事でなによりだ!



『こちらはハワード邸を制圧に成功しました。今、クーデターを起こした貴族達が続々と運び込まれて来ています!』


「「「おおお!!」」」



 大勢の歓声が上がった。


 何時の間にかスラムの皆さんが集まってきちゃってるよ!



『こちらは順調です!貴族街にいる反皇帝派貴族の制圧が完了次第、宮殿へ向かいます!』


「よっし!ロビンくんは大丈夫みたいだな!」


「逃げ道の封鎖も順調だし、後はバカ兄貴の方か。壁にぶつかって死ななきゃいいけど。」


「道に迷わなきゃいいけど。あと、馬に捨てられなきゃいいけど。」


「ヒューゴもジャンも信用してないな・・・。」


「「バカ兄貴だし。」」



 バカ皇子、最近は俺も応援したくなってきた。


 ガンバレ。



「それはそうと、俺らの出番なさそうじゃないか?」


「だよな~。兄貴達だけでなんとかなりそうだよな。」



 作戦が順調に進んでいるせいか、ヒューゴ達の緊張感が緩んできているな。


 こういう油断している時に限って、想定外の敵って言うか、ボスキャラとか登場するんだよな~。


 今までもテンプレ~な事は何度もあったし、最後まで注意しとこ!



「そういや、王国の方はどうなってるんだ?」



 ヒューゴが呟くと、他のみんなも一斉に俺に視線を向けた。


 いや、何で俺に向けるの?



「何で俺を見るんだ?」


「知ってそうだから。」


「シロウさんだから。」


「何でもありだからな。」



 おいおい、俺はそこまで都合の良い男じゃないぞ?


 今はアリだけど。



「一応、エルナさん特製通信魔法具はあるけど、まだ連絡はないな。少なくともピンチはないんじゃないか?」



 とは言ったものの、王国の状況も気になるな。


 帝都と王都の距離だと通信魔法具は使えるみたいだけど、放送の電波(?)は届かないみたいだからリアルタイムの状況が分からないんだよな。


 あ~、あの創作スキルをとっておけばよかったかな?



「ステラちゃん、大丈夫かな?」



 ところでアンナちゃん、何で不機嫌な顔をしてるの?






 バカ皇子の愛馬もチート化開始していました。

 次回は部隊が変わって王国サイドです。


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