第8話 ボーナス屋、森へ行く
総合ユニーク2000突破!1万越え目指して頑張ります!
【新たに開放された機能は次の通りです。】
〈《ステータス》との同期機能〉
・ステータス画面にポイント残数が表示されます。
・ただし、過去にポイントの交換をした方か、システムが自動で認識した方限定です。
〈ポイントサーチ機能〉
・一定範囲内にいる生物の中から一定以上のポイント保有者を探知します。
・近くにいる当能力を最も必要とする者上位3名を探知します。
・探知した人物のステータスにはポイントが表示されるようになります。
〈異世界通販(Lv1)機能〉
・ポイントを利用して行った事のある世界の商品を購入する事が出来ます。
・レベル1で利用できるのはあなた自身だけです。
・購入できる品目はレベルが上がる事に増えていきます。
表示された内容を全部読んだ俺は、現状を理解するのにしばらく時間がかかった。
え、何最後のヤツ?通販って、〇mazon?楽〇?
いや、ポイントで交換するんだから、選べるボーナスの種類が増えたって事だよな?
にしても、都合がよすぎるな。
それに機能追加って、この“能力”ってゲームみたいにレベルアップするのか?
どうやら、大勢の人に使えば使うほど機能が増えていくようだな?
「ま、おいおい試すとするか!」
俺
は画面を閉じると、俺は畑の方へと向かった。
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「うん、実ってるな!」
俺の目の前には麦畑が広がっていた。
昨日の夕方の時点で青かった麦の穂は、一晩で収穫できるまでになっていた。
まあ、これだけあればしばらくは村が飢える心配はないだろう。
この後は成長速度が普通よりやや早生に改良した種を植え、最初に植えた超早生の種はもしもの時のために村で保管しておくことにしてある。
さすがにこれ以上増えても困るからな。
「さてと、《スキャン》!」
俺は麦を植えている農地に探索魔法の《スキャン》を使う。
対象物の情報を見る《鑑定》とは違い、この魔法は対象の状態などを調査する魔法だ。
《土地探索》
【魔力】290,000/290,000
【属性】土
【状態】短期間に連作を繰り返した事と、魔法の連続使用により周辺の地力が低下している。
「あ~、やっぱり無茶しすぎたか?」
加護や魔法が便利すぎて見落としそうになってたんだよな。
いくら便利と言っても、無から有を生み出すことなどまずあり得ない。
なら、いくら神様の加護の力を使ったとしても、たった1日で同じ土地で何度も作物を収穫していったら必ず無理が出る。
土地が持つ栄養も無尽蔵じゃない。
きっと足りない栄養を周辺の土地から分けて貰っていたんだろうな。
「それに、連作障害も出てきているみたいだな?」
一見すれば豊作に見えるが、昨日と比べると若干実りが減っていた。
同じ土地で同じ作物を育てると実りが減ったり育たなかったりする、連作障害というやつだ。
食料不足が深刻だったから昨日はスルーしていたけど、今日からは計画的にやっていかないとな。
「勇者様、こちらにいたのですね?」
「あれ?アンナちゃん、何か問題でもあったのか?」
「いえ、別にこれと言った問題は起きてませんが、朝食後から姿が見えなかったので・・・」
ああ、そう言えば黙って行ってたんだった。
けど、何していたのか質問されたらどうしよう?
アンナちゃんの出生秘話を聞いてきたなんて言えないからな~~。
「いや~、今日は何をしようか歩きながら考えてたんだよ!」
「そうだったんですか!」
あ、信じてくれた!
嘘を言うのは心苦しいが秘密を知られる訳には行かないしな。
ゴメンよ、アンナちゃん。
「それで、今日は何をなされるんですか?」
「うん、この村の農業を改革してみようかなって思ってさ!」
「かいかく・・・ですか?」
アンナちゃんはよく分からないようだ。
説明するとこうだ。
まず、この村は基本的には自給自足で生活していた。
主食は麦(小麦やライ麦だな)や豆類、後は近くの森で採れる果物や山菜、そして猟師が狩る動物や魔物の肉を食べている。
だが、戦争のせいで男はごっそり消え、農作業の負担が増えて肉はほとんど手に入らなくなった。
挙げ句、最近まで村の近くが戦場になり、頼っていた蓄えも略奪されてしまったのだ。
今は俺やみんなの協力で何とか助かったけど、俺もずっとこの村にいられるとは限らない。
いずれは元の世界に帰るつもりだしな。
だから、戦争が終わるまでは年寄りや女性だけでも食糧を得られるようにしたいと思った訳だ。
この事を昨夜のうちに村長に相談したら、「村のためでしたら、どうぞ何でも協力します!」と簡単に了承してくれた。
「まずは作物の種類を増やさないとな!アンナちゃん、この村で育てている作物の種類は今植えているやつだけなのか?」
「はい、麦と豆、それと葉物の野菜がいくつかです。」
村長にも聞いて分かったんだが、この世界の、正確にはこの大陸で生産されている作物の種類は日本とは比べられない程に少ない。
まさに中世ヨーロッパレベルに似ており、大きく違うのは特に根菜類は皆無だった。
宗教で禁止されている訳ではなく、単純に食べられるとは認識されていないようだ。
そう言えば、昔の地球でも根菜の一部は不浄だと言う理由で忌避されていたっけ?
しかし、俺としてはジャガイモとかも食いたくなる。
あとは米だな。
「じゃあ、普段果物とか採りに行っている森に案内してくれない?食べられそうな植物とか探したいからさ?」
「分かりました。すぐに準備をしてくるのでちょっと待っててください!」
アンナちゃんは村の中へと戻っていった。
そして10分ほど経つと、アンナちゃんが困ったような顔をして戻ってきた。
あれ?何か後ろに小さい影がいくつか見えるな?
「・・・すみません勇者様、私の弟と妹達が一緒に行きたいと付いて来てしまって・・・・。」
すると、アンナちゃんの背後から4人のチビッ子どもが飛び出してきた。
「勇者の兄ちゃん!僕も連れて行って~~~!」
「私も行く~~~~!」
「お姉ちゃんとお手伝いします!」
「俺は勇者の第1の従者だぜ!!」
元気のいいチビッ子達だな。
と言うか、最後の奴、何かバカ皇子に似た臭いがしたけど気のせいか?
見た所6~10歳、ステータスは昨日簡単に目を通したけどもう一度確認してみるか。
【名前】ニール=ファリアス
【年齢】7 【種族】人間
【職業】農民 【クラス】皇帝の落胤
【属性】メイン:光 風 サブ:雷 火 土
【魔力】6,100/6,100
【状態】正常
【能力】攻撃魔法(Lv2) 防御魔法(Lv3) 補助魔法(Lv3) 特殊魔法(Lv2) 錬金術(Lv3)
【加護・補正】魔法耐性(Lv2) 光属性無効化 風属性耐性(Lv3) 火属性耐性(Lv2) 雷属性耐性(Lv2) 土属性耐性(Lv2) 太陽神ベレヌスの加護
【名前】リン=ファリアス
【年齢】8 【種族】人間
【職業】農民 【クラス】皇帝の落胤
【属性】メイン:火 サブ:光 木 土
【魔力】5,500/5,500
【状態】正常
【能力】補助魔法(Lv3) 剣術(Lv3) 体術(Lv3) 投擲(Lv2) 鷹の目
【加護・補正】物理耐性(Lv2) 火属性耐性(Lv2) 麻痺無効化 戦女神モリガンの加護
【名前】エレン=ファリアス
【年齢】6 【種族】人間
【職業】農民 【クラス】皇帝の落胤
【属性】メイン:木 水 サブ:風 光
【魔力】5,000/5,000
【状態】正常
【能力】攻撃魔法(Lv1) 防御魔法(Lv2) 補助魔法(Lv4) 特殊魔法(Lv1) 調合術(Lv4)
【加護・補正】魔法耐性(Lv2) 精神耐性(Lv2) 木属性耐性(Lv3) 慧眼 女神エポナの加護
【名前】マイカ=ファリアス
【年齢】10 【種族】人間
【職業】農民 【クラス】皇帝の落胤
【属性】メイン:光 火 サブ:風 雷
【魔力】6,100/6,100
【状態】正常
【能力】攻撃魔法(Lv4) 防御魔法(Lv2) 補助魔法(Lv2) 特殊魔法(Lv3) 剣術(Lv3) 焔刀・紅鱗
【加護・補正】物理耐性(Lv3) 魔法耐性(Lv2) 火属性耐性(Lv4) 光属性耐性(Lv2) 英雄神プイスの加護
隠し子とは言え王族の血を引いているからだろうか、4人ともかなり才能に恵まれている。
と言うより、全員バカ皇子より優秀なんじゃないのか?
と言うか、自称俺の第1の従者を名乗ったマイカって奴、俺より勇者向きじゃないのか?
なんか、ロビンくんと同じ神様の加護もあるし・・・・。
「あのう、この子達も一緒じゃ邪魔でしょうか?」
「―――――あ!いや、別にいいんじゃないのか?」
「「「「わ――――――い!」」」」
まあ、小さい子の方が良い物を見つけられるかもしれないからな。
俺はアンナちゃんの弟妹に囲まれながら、村の近くにある森へ案内されていった。
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――ファルの森――
元々、ファル村の名前はこの森の名前から取ったものらしい。
森の中には稀に獰猛な魔物が出没する事はあるが、基本的にはイノシシやウサギなどの野生動物が生息している。
森に生えている木々のほとんどは落葉樹らしく、足元にはたくさんの落ち葉が積もって上質な腐葉土を作っていた。
(なかなか良い感じの腐葉土だな?畑からも近いみたいだし、肥料として使えるな。)
俺の周りでは剣士の真似事でもしてるのか、マイカが木の枝を振り回して落ち葉を宙に撒き散らしている。
「マイカ!勇者様の邪魔をするなら家に帰りなさい!」
「アンナ姉ちゃん、これは邪魔じゃなくて護衛をしてるんだぜ?」
どうやら俺の護衛ごっこをしていたらしい。
でも、どうみても落ち葉が待って邪魔にしかなってないので、マイカはアンナちゃんに歩きながら叱られた。
その後さらに数分ほど歩くと、目の前に果実の生っている木が見えてきた。
「勇者様、あそこが普段私達が果物を採っている場所です。」
「へえ、結構あるな?あれだけあれば食糧にもなってたんじゃないのか?」
見渡せばかなりの量の果物が生っている。
麦や野菜はダメでもこれだけあればしばらくはもったんじゃないのか?
「はい、最初はみんなそう思ってたんですけど、私達ばかりで食べてしまうと森の動物達が食べる分がなくなってしまうので、そうなったら・・・・。」
「動物が減っちゃうんだよ!」
「肉食えなくなるぜ!」
なるほど、それなりに考えられているんだな。
ガサッ・・・・・!
ん?今、何か動かなかったか?
『ブオォォォォォォ!!』
「イノシシ!?」
突然、木々の影から大きなイノシシっぽい動物が現れた!
おい、何か高さが2m位ないか!?何か象みたいな牙が生えてるぞ!?
「わあぁぁぁ!!」
「「キャァァァァァァ!!」」
「―――――みんな!勇者様、あれは魔獣です!この森に棲む、鋼牙大猪です!」
「マジかよ!チビッ子達、俺の後ろに隠れろ――――って、早いな!?」
「「「「ガンバレ勇者様!!」」」」
ちびっ子達、瞬時に俺の背後に隠れやがった。
おい、何時の間に動いたんだ!?
まあいい、とにかくあのイノシシを何とかしないとな!
「よっし!かかってきやがれ!!」
そして、俺の初めての対魔獣戦が始まった。
新機能が活躍するのはもう少し後になります。