前世の記憶
「君に初めて会った時から、心惹かれてしまったんだ、フローラ。」
「わ、私も実は、ずっと貴方様のことをお慕いしておりましたの、アル様 ... !」
なんて甘々なハッピーエンド丸わかりの展開。
「あんな貧乏令嬢に目移りしたなんて、嘘よね!?アルベルト様!」
「... お前には失望したよ、セレーネ。」
そんな物語には必ず登場するであろう悪役ポジの存在。
そして、個性豊かな攻略対象たち・・・
「はぁ〜、この乙女ゲームも同じようなストーリーに似た構成、こっちが失望だわー」
私は月宮 咲夜、高校三年生の十八歳。趣味は乙女ゲーム攻略で、
世の高校三年生が受験に勤しむなか、ゲームに生涯を費やすゲームバカである。
そして、これまでプレイした乙女ゲーの数はつゆ知れずの、辛口コメの乙女ゲーマスターだ。
「お姉ちゃん、ここからがいいんだから決めつけるにはまだ早い!」
中二の妹・咲楽も同じく乙女ゲーム愛好家。今は咲楽がしている新作乙女ゲームを覗き見中。
「どうせ他のゲームとストーリー変わらなさそうな王道タイプでしょ」
「いやいや、これめっちゃ人気の乙女ゲーだし、色んな意味で特別なんだって!」
「へー何が特別なの?」
「やってみたら分かるよそれは!あとで貸そうか?」
「...まぁやってやらんこともないな」
「絶対やりたかったでしょそれ」
姉妹で乙女ゲームについて話し合ったりプレイしたり。
それなりに楽しく過ごしていた日々だった。
しかし、突然の別れはいつか訪れる。
そんな他愛もない話のあと、外出先の事故に巻き込まれ、そのまま命を落とすという急展開に、この時の私は想像もできなかった。
そして車に轢かれる直前、私の脳裏に浮かんだものは
(この乙女ゲーのタイトル?それはね、)
妹との会話と、あの乙女ゲームだった。




