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転生したらドラゴン!  作者: カム十
学生期
59/99

56話 入学式

 僕は、昨日キラボシからもらった制服に腕を通す。


「お兄ちゃん、もう準備できた?」


 キラボシはもう既に制服に着替えている。


「あぁ、ばっちりだ」


 僕は親指を立て、グッドサインをしながら答える。


「じゃあ、行こうか…………」


 そして僕とキラボシは宿を出て、学園へ向かう。

 昨日と同じ道から向かっていると言うのに、昨日より人が多い。

 ほとんどの人が同じ方向―――学園に向かって歩いている。

 学園の門も昨日とは違い、多くの人が潜っていく。

 潜っていく人は僕やキラボシのような制服を着ているこの学園の生徒であろう人が大半を占めている。

 門を潜った先では、昨日とはまるで違う場所のように人がいる。

 これがこの学園の通常時なのだろう。


「これが国一番の学園か、凄いね」


 キラボシもこの光景に思わず声を漏らす。


「本当に凄いな」


 昨日もお城のようだと思ったが、人がいることによってさらにお城のようになっている。


「よし! これから入学式だよ! 早く行こう!」


 キラボシは楽しそうに、声を弾ませながら手を引く。

 僕は手を引かれるがままに身を任せる。

 たどり着いた場所は室内にある広場のような場所で、前世の学校で言う体育館のような場所だ。

 僕とキラボシはそれぞれ、新入生の列に加わる。

 しばらくすると人々の声が消え、広場が静寂に包まれる。

 前方を見ると壇上に学園長が立っているのが分かる。

 入学式が始まるようだ。


「皆さん、初めまして、私は学園長の「マギステル・ドーシェ」と言います」


 学園長の声が耳に届く、魔法かスキルを使いスピーカーのように声を大きくしているのだと『解析』せずとも分かるほどに広場全体に響いている。

 それから学園長の話が始まった。

 話の内容は学園生活への応援が6割で、残り4割は努力や根性論の話だった。

 不思議と眠気に襲われることは無かった。

 そして話が終わると学園長は、最後に一言付け加えた。


「最後に「特別生」の人はこの後、第二屋内広場に向かってください」


 そう言って壇上から退場していった。

 僕は「推薦生」であって「特別生」ではないので、関係の無い話だろう。

 学園長が退場してから数名の教師が壇上に上がり、短く話をして壇上から下りていった。

 その後、列から一名の生徒が壇上に上がった。

 その生徒は眼鏡をかけた生徒の模範のような立ち振る舞いをしていて、前世の学級委員長の姿を思い出す。

 そしてその生徒はスピーチを読み始める。

 内容もキッチリと整ったお手本のようなスピーチだ。


「――――――以上、新入生代表「ウィステリ・シリス」」


 そう締め括り、礼をして壇上から下りていった。

 こうして、入学式は終了した。


 正直に白状すれば、途中から退屈で話の内容も半分ほどしか分からなかった。

 眠らなかっただけ、マシだと思うことにする。

 そう考えながらキラボシと合流した。

 合流するとキラボシが最初に口を開いた。


「ごめん! 用事があるから、また後で」


 そう言って、どこかへ行ってしまった。

 独りになって途方に暮れる。

 僕はこの学園に関して、右も左も分からない状態だ。

 僕は仕方がないと割り切って、学園内を見て周ることにした。

 そう言えば、僕のクラスはどのクラスなのだろう?

 そんなことを考えながら、のんびりと歩いていると、不意に肩を掴まれる。

 振り返れば、そこには制服を着た女子生徒がいた。


「すみません。お聞きしたいことが……………………」


 僕は、新入生なので何を聞かれても答えることができないことを伝えようとするが、それを言う前に相手の問いが飛んできた。


「あなたは転生者ですか?」


 その疑問を聞き僕の頭は一瞬で真っ白になった。

 何故、この人は僕が転生者であることが分かった?

 僕が『転生者』であることを知っている者は、ハザデスさんやダクト、そしておそらくだがキラボシも知っているだろう。

 可能性としてはダクトかキラボシだが、キラボシが言いふらす可能性はないのでダクトということになるが、会ったのは七年前で現在では会ったことがまだないし、どこにいるのかも知らないはずだ。

 そうなると、本格的に分からなくなってきた。

 僕は直球で相手に尋ねることにした。


「何故、僕が転生者だと?」


「やぱっり、元日本人ですよね」


「………………はい、そうですが」


「では、一緒に来てください」


 そう言われて、肩の次は腕を強引に掴まれ、連れて行かれる。

 振りほどくことは簡単だったが、相手がどうやって転生者のことについて知ったのかは興味があるのでわざと引っ張られる。

 そして一つの扉の前で立ち止まる。

 その部屋の扉は部屋の名称が金属のプレートに書かれ、取り付けられていた。

 そのプレートには「第二屋内広場」と書かれていた。

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