52話 下山
ドラゴンスパイラルを下山する。
登ったときに比べて、火竜に襲われることは全くなかった。
火龍さんが眷属へ根回しをしてくれたおかげだ。
とてもありがたい。
それと同時に龍神である僕がふがいなく感じる。
だが、他の魔物には出会ってしまう。
火龍さんの眷属は火竜だけなので、仕方がないことだ。
いつか見た、亀のような魔物、蛇のような魔物、鳥のような魔物、どれも火竜より弱く、簡単に対処できた。
全て『龍の咆哮』で一撃だ。
僕が気軽に連発するので、キラボシが心配する。
「お兄ちゃん、そんなに連発して、エネルギー切れにならないの?」
魔力とか、と最後に付け加えられた。
「確かに一発の魔力消費量は大きいけど、大丈夫だ」
「それならいいけど………………」
キラボシはそうは言っているものの、まだ心配そうだ。
まあ、実際に『龍の咆哮』の魔力消費量は大きく、僕の魔力量でも数発撃てば枯渇する。
それでも、僕にエネルギー切れは起こらない。
そう断言できる。
何故なら、『代行』で『無限』が代行できるから!
『無限』はその名の通り無限の力だ。
ここから僕はエネルギーを補給している。
なので僕にはエネルギー切れはない。
魔法も使い放題で、『無限』はチートだ。
この『無限』の権能を持つ「無限の神」は一体どんな神なのか少し興味が湧いてくる。
というか、自分以外の神と少し交流したい。
今度、ハザデスさんに聞いておこう。
そんなことを考えながら下山していると、またもや魔物が現れる。
今回は数が多そうだ。
僕は『龍の咆哮』を撃とうとし、キラボシはすでに剣を抜いている。
僕とキラボシは戦闘に移った。
戦いながらキラボシの剣技と体術を『解析』する。
やはり、七年前より技術が格段に上がっている。
戦闘――――と言う名の排除作業を行う数秒間に『解析』するが、失敗した。
失敗した、とは言うが、キラボシの動きは明らかに技術だけのものではなかった。
物理法則を完全に無視している。
再現するにはまだ『解析』が足りないようだ。
そして、戦闘が終了する。
「お兄ちゃん、私の動きに『解析』使ってたでしょ」
まさか、気付かれているとは………………
「あぁ、剣術を再現しようと思ってな。断りもなくすまない」
「別にいいけど………………最低限、技術には敬意を払って使ってね」
僕はそのキラボシの言葉を胸に止めておいた。
それからまた僕とキラボシは山を下っていく、少しするとまた魔物に遭遇する。
そしてまた下山して、魔物を倒す。
その繰り返しだ。
そしてやっと麓が見えてきた。
見えてきたと思ったら、また魔物に遭遇する。
いくら楽に倒せると言っても鬱陶しい。
そしてついに僕とキラボシは下山を達成する。
「それじゃあ、王都に向かうよ」
僕とキラボシは王都に向かって歩き出す。
が、一歩踏み出した瞬間、魔物に遭遇した。
僕とキラボシは直ぐに戦闘態勢に入った。




