49話 先輩の教え~権能~
「久しぶりじゃの、小僧」
ハザデスさんが言う。
「お久しぶりです」
僕はお辞儀をする。
そして体向きを180度変える。
「それでは」
「来て早々に帰ろうとするでない!」
ハザデスさんが引き留める。
帰ることは叶わなかった。
「で、何の用ですか?」
「お主、性格、変わったか?」
「いえ、わざとです」
僕は当然のように答える。
「…………まあ、本題に入るがな」
ハザデスさんは何か言いたそうに本題に入った。
「本題だが、小僧に権能の使い方を教えないといけなくなってしまったのじゃ」
「自主的ではないんですね」
「あぁ、自主的ではない」
言い切られてしまった。
自主的ではないのなら、なぜ教える気になったのだろう。
僕が聞いてみると、ハザデスさんが話しはじめる。
「実はな、神の座を譲ったことを他の神に報告したのじゃが、「神の詳細を伝えておけ、かわいそうだろ」と怒られてしまっての~」
それはその通りだろ、と思った。
僕はほとんど、権能や神について知らされていない。
それは一旦置いておくとして、権能の使い方とはなんだろう。
「では早速、権能の使い方をレクチャーするぞ」
ハザデスさんが権能について教えてくれた。
詳しい原理なんかは省かれて説明された。
その内容の要点だけをまとめるとこうなった。
一つ目、スキルと権能は別のものであり、スキルより権能の方が格上の力である。
ただし、逸脱能力は権能と同格である。
二つ目、権能でのスキルの強化は、関連していなければできない。
例えば僕の権能だと、ユニークスキル【竜】くらいしか強化できない。
では、なぜあの時【斥力】が強化できたのか?
それは神の権能を『代行』したからだそうだ。
この『代行』とは、「代行の神」の権能だそうで、神の間で権能を代行させることができるらしい。
そういう理由で、僕は【斥力】を強化できたそうだ。
三つ目、僕の権能は自分の眷属を武器に変える、というものだ。
前述した通り、権能の『代行』ができるので、少しぐらいなら別の力が使えるそう。
ただし、使いこなせるかは、技術と素質次第だそう。
「……………………以上じゃ。そろそろ、小僧が起きる時間じゃから、神なんかについての話はまた今度じゃ。それじゃあ元気での~」
その言葉を最後に僕は目を覚ます。
正直、全く寝た気がしない。
肉体的な疲労はそもそも感じないが、精神的な疲労がどっと襲ってくる。
「あっ、おはよう!」
キラボシはあの頃と変わらず、早起きだ。
「あぁ、おはよう。キラボシ」
僕はそう言って、起き上がった。




