3話 兎発見!
『風が心地いい』
僕は空を飛んで移動している。
空を飛ぶと言っても精々、木の高さと同じ位しか飛ぶことができない。
それに疲労がたまるので万能な移動法ではないがはって移動するよりは便利なので飛んでいる。
もう一つの理由として飛び続けていればスキルが獲得できるかもしれないということがある。
【飛行補助】より優れたスキルが獲得できるかもしれないという希望がある。
そして同時に龍生はとあるスキルを獲得しようと考えている。
そのスキルは異世界転生系の作品の常連の能力、鑑定。
色々な作品で役にたっているのだから損はないだろうという安直な考えだ。
獲得方法が分からないので見たものを観察し情報を得るということをしている。
これで獲得できるか分からないが僕は純粋に頭がよくなった気がするから続けている。
僕はこの世界に転生してからまだ動物を見ていない。
こんなにも森を移動しているのに一匹たりともいない。
『何故だ?』
僕は仮説としてもしかしてここが有名な危険な土地で動物が住みつかないからなどの理由を考えていた。
何かないか、辺りを見渡すと木の間に何か動くものが視界に映った。
僕が急いで向かうとそこには兎がいた。
隠れているわけではなく普通にいた。
いままで会わなかったのは僕の運が無かっただけのようだった。
早速、鑑定の練習をする。
『見た目は白い兎、大きさは今の自分より少し小さい。僕の知っている兎と変わらない見た目をしていて。小学校の飼育小屋の兎を連想できる。一匹しかおらず周囲に別の生き物はいない。今はあたりを警戒しているような仕草をしている。』
唐突だがドラゴンは多くの作品で肉食として描かれる。
そして僕は木の実を食べた。
草食だと思うかもしれないが歯の形が完全に肉食獣のそれだと確認している。
つまり僕は雑食なのだ。
そうなると元人間からしたら木の実以外にも肉が食べたいと考えてしまう。
ちなみに元日本人として兎を食べるのに抵抗はない。
『か弱い生き物よこのか弱いドラゴンの糧となってくれ』
そしてここで僕は気が付いた。
どうやって仕留めればいいのかと。
『完全に忘れてた~。というか木の実を見つけた時と同じことになってる』
僕は仕留め方を考える。
自分が生まれながらに火が吹けたら簡単なのにと落ち込む。
『鷹みたいに急降下して後ろ足の爪で仕留めるか。いや、多分スピードが出ないだろうし何より技術力がたりないし。うーん。よし、もう真上から普通に落ちてのしかかろう!』
まず僕は兎の真上まで移動するそこから羽ばたくのをやめる。
すると僕の体は自由落下し始める。
このままいけば兎のいる場所に落ちるが、兎に気が付かれて逃げられた。
そのまま兎ではなく地面とぶつかる。
『痛い』
この痛さで覚悟した。
攻撃方法を考えようと。