33話 錬金術?
僕はキラボシを連れて少年について行く。
計10本の下位回復薬の消費方法に考えがあるとはどういうことなのだろう。
一度、回復薬の通常の使い方をキラボシに確認した。
「回復薬は基本的に飲んで使うよ。飲む以外にも体内に入れさえすればいいけど、そういう使い方をするのは上位回復薬がほとんどで下位回復薬は使われないかな」
だそうでキラボシは解決方法に心当たりがないらしい。
「一体どうやって使い切るんだ?」
「簡単だよ、売るんだ」
「売るって……売れるか?」
僕が疑問を投げかけると……
「そのまま売るんじゃない。この下位回復薬を上位回復薬にする!」
少年が自信ありげに答えた直後、キラボシが口を挟む。
「そんなことできるわけない」
「いいや、できるんだな~これが、今からやるから見てて」
そう言うと、バケツを取り出し下位回復薬の中身を全て注ぐ。
そして懐から一本の回復薬を取り出す。
「これは正真正銘の上位回復薬」
『解析』して確認すると、確かに上位回復薬だ。
「これをこの中に混ぜる」
そう言って上位回復薬をバケツに注ぐ。
すると目を疑うようなことが起こった。
「上位回復薬になっている?」
「そう、これが僕の見つけた裏技」
『解析』で確認してもバケツの中身は全て上位回復薬になっている。
「あとはこれを瓶に入れて、ギルドにでも売りつければ買った値段の10倍以上になる」
少年がドヤ顔をする。
僕とキラボシはただただ驚く。
「お前、凄いな」
「まぁね!」
こんな錬金術じみたことができるなんて……
「このためにわざわざ文句をつけて値引きしたからね」
『わざとだったのか……』
そう言えば僕たちはギルドを探していたことを思い出す。
「なぁ、ギルドの場所を教えてもらってもいいか」
「それならこれから行くからついて来るといいよ」
「あぁ、頼む」
こいつは何者なんだ?
一般人がこんなことを思い付くとは考えられない。
『解析』
~結果~
|名前:マーチェン ダクト
|種族:人間
|スキル
|EX・気配感知、感情感知
|ユニーク・鑑定士
|アチーブメント
|なし
アチーブメントなしのユニークスキル持ち……キラボシと同じタイプか、別の例外か、『解析』をかける。
~結果~
|ユニークスキル【鑑定士】
|機能
|鑑定眼、郵送
『鑑定眼』、これで回復薬のことを調べたのだろう。
「お前が回復薬のことを知ったのはユニークスキルのおかげか?」
直球で聞いてみる。
「そうだよ。ユニークスキル【鑑定士】便利だよね。って何で知ってるの?」
「スキルで調べたんだ。それよりそのスキルはどうやって獲得した? それとも生まれつき?」
「生まれつき。でも心当たりはあるよ。言っても信じないだろうけど」
「参考までに教えてくれ」
「参考にならないと思うけど……まぁ」
そう言って渋々その心当たりを話してくれる。
「僕はね、前世があるんだ」
その「心当たり」は驚きの事実だった。




