0話 「平凡で普通な人間」
「平凡で普通な人間」
それが僕の自己評価だ。
特別勉強ができるわけじゃない。
運動が得意なわけでもない。
珍しい特技や才能があるわけでもない。
アニメや漫画は、好きだが詳しいわけでもない。
何を出しても普通、平凡、一般的。
それが僕だ。
ここまで普通ならそれが珍しいと捉えることもできるほどにThe.普通だ。
この日も普通にベッドから起きて両親に「おはよう」と言う。
いつものように朝食を食べて学校へ行く身支度を済ませる。
誰かと一緒に登校するわけでもなく一人で登校する。
別に友人が居なかったわけではない。
親しい友達と学校へ行く道のりが合わないだけだ。
学校についてから友人達と少し雑談をした後、予鈴を聞き席に座る。
ホームルームが終わった後、授業を受ける。
退屈だと思うが、それと同時に普通で良かったと思うこともある。
普通であることは、安定しているということだ。
数字で例えれば常に0で上がることはないが、下がることもないような状態、多くの人はここで安定を選びたがるだろう。
だが、僕は、それに反してこの自分の安定が崩れて欲しいと願った。
0から上がって1になってもマイナスに下がってもいい。
そんな少しでも普通ではないような変化が欲しかった。
その願いが通じたのか今日は教室で明らかに普通でないことが起きた。
僕やクラスメイト達が教室で授業を受けている最中の出来事だった。
ある者は真剣な眼差しで授業に取り組み、ある者はいつも通り惰眠を貪り、ある者は窓から何もないグラウンドを眺めていた。
僕は、黒板に書かれた板書を手元のノートに書き写していた。
急に目の前が光で包まれた。
それだけしか分からなかった。
まるで電球を目に近づけたように眩しかったと憶えているが、それが電球なんかの光ではないことは少し考えればわかることだった。
そこで睡魔のような感覚に襲われ僕の意識は、無くなった。
一話一話が非常に短いですが気軽に読んでいただければ幸いです。