第三十四話 二日前 (一)
ついに総PV1000超えました
今回で総文字数90000超えました
ありがとうございます
前回は、三日前でした
今回は、三日前から二日前です
オレは頭の整理が追い付いていなかった。
それは伊波さんがした発言。
「えっ…だって、あの二人って私のこと好きでしょ? それだけだよ?」
あまりにも当然のように言うものだから、つい流してしまったし、大したリアクションも取ることができなかった。
そのことについて考える余裕のないまま伊波さんが窓の外を眺めながら話題を振ってきた。
「もし、私たちから見える空が青色じゃなかったら、人はどうなるんだろうねー!」
「急にどうした? ポエマーにでもなったのか?」
「そうかもね……でも、どっちかっていうと、私はポエマーというより、ただの中二病だよ」
「そんな中二病さんは、なんでそんなことを?」
「だってさ、空が雲に覆われてたら、人って、どんよりとした気持ちになるじゃん? 色だけで言うと、白色っていう綺麗な色のはずなのにね! それでも…みんなは他の何色でもなく、あの青空に魅了されるんだよ? ……もしも空が四六時中、真っ黒だったら、人はどんな感情になって、どんな表情をして、何に思いを馳せるんだろうねー!」
伊波さんは、ポエムチックな内容とは裏腹に、その言い方は友達と話しているような、軽い口調だった。
「オレにはさっぱりだけど、いつか黒い空を見られるといいな」
「いつか…ね……。もう準備はしてるだろうから、遠くないうちに見られるといいねー! そのときが来たら、カエデ君も協力してあげてね!!」
「気が向いたら」
伊波さんが何を言っているのか、このときのオレは理解ができていなかった。
でも、あれは確かに真っ黒な空を見た人の感情、表情だった。
――――――――――
新たな生徒会則が出されて六日目。
今日は、泣日が終わって、新しい一週間の始まりの月曜日だ。
連続登校記録、八日目です。
完全週休二日制とか導入されていないんですか??
疲労によるものか、変なツッコミを自分に入れつつ、今日も早朝の学食に向かう。
一週間の始まり(毎日登校してるけど)だから、もしかしたら菜々実さんが心のリセットができているかもしれない。
そんな期待を抱きつつオレは学食に入ったが、誰もいなかった。
今日も菜々実さんは来ていない。
ここ数日、菜々実さんと会っていないことで、もはや早朝の学食には誰もいないことが普通なのではないかと感じてきている。
オレは誰もいない学食で、誰とも話さずに食事を終えて、教室に向かった。
足音の響く廊下を歩いて、一年四組の教室に入ったが、当然誰も来ていない。
やることもないし、オレは机で睡眠を取ることにした。
――――――――――
「……のかー!」
「……く……な……」
声が聞こえる……。
「さと…………ずき……」
やけにうるさいなー……。
「…でくん……、カエデ君! 起きて!」
誰かがオレを呼んでいる気がする。
そうだ…確か…学食に行ったあと、眠くなって……。
人の声が聞こえるということは、もうそろそろ起きたほうがいいのか。
オレは机に伏していた顔をゆっくりと上げた。
最初に目に入ったのは、オレの机に置かれた手だった。
その手をたどって、視線を腕、首、そして顔までなぞると、それは伊波さんだった。
「あー、ありがとう」
オレはゆっくりと上体を上げて彼女にお礼をした。
「全然いいけど、それより、あれ」
伊波さんは教室の後ろのドアを指差した。
オレも視線を教室の後ろのほうに向けると、そこには数日間、教室に来ていなかった佐藤君と鈴木君の姿があった。
どうやら伊波さんの予知ともいえる推測は見事に的中したようだ。
さっきから教室がざわついていた理由はこれか。
オレ的には、そこまで話題になることでもない気がするけど……。
「佐藤君! 鈴木君! 久しぶり!」
「二人が来てくれてうれしいよー!」
クラスの陽キャたちは二人の復帰に歓喜しているようだが、一方で、それ以外のクラスの半数以上は、二人を歓迎している様子はなく、我関せずの態度を取っているように見える。
そりゃそうだろうな。
あんな出て行き方をしておいて、急に復帰しますって、都合が良すぎると思われても仕方ないだろう。
教室の後ろで陽キャの大群に揉まれながら、二人は大きな声を出した。
「みんな! 今までごめん! よかったら、これからよろしくお願いします!」
「僕も! みんなと仲良くなりたいです!」
そう言うと、二人は顔を赤くしながら、たった数人の拍手喝采を浴びた。
その盛大さに、オレも思わず拍手をしたが、伊波さんは拍手はせず、まじまじと二人に視線を向けていた。
どちらかというと、二人を見ているというより、その景色を眺めているように見えたが、決して山の中で見る星空のように綺麗なものではなく、モノクロに染まったプリズムを見ているかのような、そんな目だった。
伊波さんが視線を向けていると、佐藤君たちもオレたちに気づいて小さく会釈をした。
さすがに伊波さんも笑顔になって、二人に小さく手を振った。
「伊波さん! カエデ! おはよう!!」
横から誰かの挨拶が聞こえた。
声の方向を見ると、そこにいたのは夢乃君で、教室の後ろに固まっている陽キャグループに入らずにオレたちのところに来たようだ。
「おはよう夢乃君!」「おはよう」
「それにしても伊波さんはすごいな!! 昨日の言葉通り、本当に佐藤たち、来たな」
「感謝は私じゃなくてカエデ君にしてあげて!」
おい、彼らのことがどうでもいいからって、オレに振るな。
惚れさせた責任ぐらい取ってくれー。
「(オレに押し付けるな)」
「(まあまあ! いいじゃん!!)」
「(いや……)」
くぅー…このままだと、責任の押し付け合いで、いたちごっこになるだろうし、先に折れるか……。
「(はぁー…わかったよ)」
「(ありがとね!)」
「?? そうか…ありがとう、カエデ! ここから見てるとよくわかるけど、やっぱり彼らはクラス全員に受け入れられてるってわけじゃなさそうだね……」
夢乃君の言うとおり、すぐにクラスに馴染むのは無理がある。
彼らが、言動も行動も省みて、かつ長期間、問題を起こすことがなければクラスにも受け入れ始めるだろう。
学校が始まって最初のほうについた、自分勝手、不登校、悪口を言うなどの悪印象を変えるのは、それほどに大変なのだ。
「いつか慣れてくると思う」
「そう……だよな」
「夢乃君、何か心配事でもあるの?」
夢乃君はパっとしない顔をしていて、それについて伊波さんが聞いた。
「俺の気のせいじゃなければいいんだけど…あの二人、変だよ」
もう準備はしてるだろうから、遠くないうちに見られるといいねー!
山の中で見る星空のように綺麗なものではなく、モノクロに染まったプリズムを見ている
俺の気のせいじゃなければいいんだけど…あの二人、変だよ
水曜日に壊します
次回は、変です




