第三十三話 三日前
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ありがとうございます
もう少しで1000です!!
前回は、四日前でした
今回は、三日前です
改稿 4/24 第五話
※ストーリーの変更はないです
新たな生徒会則が出て五日目。
伊波さんとオレは昨日と同じく、泣日にも関わらず、昼食の時間に学食に来ていた。
見事に、一週間制服を着続けることになりました。精神的にきついです……。
学食にいる生徒は昨日見たメンバーとほとんど同じで、中央付近には夢乃君と小芽生さんの合同グループが十人近くいて、その他の席には二、三人の小さなグループが複数座っていた。
オレたちも昨日と同じく、窓際の端の席を取って昼食を取っていた。
「カエデ君は、日替わり定食以外は食べないの?」
「オレは、無料で食べるご飯が世界で一番おいしいと思ってるから、よほどのことがない限りは日替わり定食を食べ続けるつもり」
「ふーん…じゃあ私も日替わり定食を食べ続けよっかなー」
「オレと一緒にする必要は全くないんだぞ」
「いいの! 私がそうしたいんだから!」
伊波さんといつも通りの会話を繰り広げていると、中央付近の席から数人の視線と、こっちに歩いてくる人影が二つあった。
「なあなあ! 俺たちも一緒にいいか?」
「やっほー! サクちゃん! カエデ君!」
人影の正体は夢乃君と小芽生さんだった。
この二人もなんだんかんだ、伊波さんとオレくらい一緒に行動している気がする。
夢乃君たちは、なんでいつものグループからわざわざ抜け出して、俺たちのテーブルまで来たのだろうか。
伊波さんは、中央付近のグループを見ながら、オレたちの横に立った二人に聞いた。
「夢乃君、小芽生さん! さっきまであの人たちと一緒に居たんでしょ? 私たちのところに来て大丈夫?」
すると二人は、オレを安心させるためか、腰に手を当てて、テンション高めに言った。
「全然大丈夫! あいつらは友達だけどさ、俺にとっては伊波さんとカエデも友達だから! 友達のところに俺が行ったところでなんの問題もないのさっ!!」
「右に同じ!!」
おそらく、今の問答はオレに向けてのものだろう。
伊波さんが二人にした質問も、二人の答えも、オレが良く思われていないから発生した会話だ。
一連の流れを翻訳すると……
「カエデと一緒に話していて、二人の評判は大丈夫ですの?」
「全然大丈夫さっ!! だからカエデは心配しなくてもいいんだぜっ!!」
「ワタクシも同じですわ!!」
こんな感じだろう。
オレにはもったいないくらいの友人たちだな。
「それなら……ようこそ二人とも! 席に座って!」
「ありがと! サクちゃんは優しいねー!」
伊波さんは、気遣いの言葉をかけながら、しれっとオレの隣に席を移動して、二人を対面の席に誘導した。
二人は伊波さんの言葉と誘導に従って、何も疑うことはなくオレたちの対面に座った。
「で? 二人は私たちに聞きたいことがあるんでしょ?」
伊波さんは右手で頬杖をつき、若干前のめりになって、にんまりとした笑顔で聞いた。
その表情からは、これから聞かれることに対する期待を感じられた。
わざわざこっちに聞きに来るということは、きっと面白い質問なんでしょう? とでも言いたそうな。
すると、夢乃君は背もたれに寄りかかり、腕を組んで言った。
「その通り! 早速本題に入りたいんだけどさ……昨日、佐藤と鈴木と何があった?」
さっきの挨拶とは打って変わって、その声色は今までに聞いたことのないくらい真剣で、表情もいつもの夢乃君と違って固いように見えた。
隣に座っている小芽生さんも、口を開かずに視線を真っすぐオレたちに向けていた。
なるほど、この二人、そして向こうからオレたちを見ているメンバーはそのことが気になっていたのか。
あの、学校にすら来ていない佐藤君と鈴木君と、どういう経緯で一緒にいたのかを。
詳しく話すと長くなってしまうけど、どう説明しようか。
オレが考えていると、伊波さんが笑顔から、つまらなさそうな顔に変わって、背もたれに寄りかかり、両手を前に組んで伸ばしながら言った。
「なんだ、そんなことか。あの二人とはカエデ君と学校に来る道中でたまたま会っただけだよ」
あの公園での出会いから不良との戦闘シーン、その後の二人の従属シーンまで、全部省略したな……。
それほどまでに、あの二人には興味のかけらもないんだな。
二人のアオはどうやら色づくことはなさそうです……。
オレは窓の外に広がる青空に、二人のアオを馳せることしかできなかった。
「『たまたま会っただけ』って、それだけであんなに親しくならないんじゃない?」
他人のアオを憐れんでいると、小芽生さんが少し強めの口調で言った。
きっと真剣だからこそ、伊波さんの態度が気に入らなかったのだろう。
さて、オレの隣の副代表さんはどう返すのか。
「なんであんなに関わってきたのかは、私にもわからないんだよねー」
伊波さんは態度を変えることはなく言った。
実際、オレも同意見…と言いたいところだが、その答えをオレは持っている。
二人はほぼ確実に、伊波さんに惚れたのだ。
好きな人と話したいと思ってしまうのは人類の性といえる。
そのことをこの場で暴露するわけにも行かないから、小芽生さんには申し訳ないけど、その疑問には答えられない。
「そう……」
小芽生さんは、下を向き、残念そうな声で言った。
それに対して、伊波さんが態度も姿勢も変えないものの、その目を小芽生さんに向けて話を切り返した。
「……小芽生さん…なにを考えてるの?」
さっきから同じテンションで話し続ける伊波さんに恐怖したのか、小芽生さんは下を向いたまま息を呑んだ。
そして数秒だけ考えて、小芽生さんは大きく息を吸い、正面を向き直して、また真剣な顔で言った。
「佐藤君と、鈴木君も学校に来るべきだと思うんだよね」
この言葉で、伊波さんは背もたれから離れて、両手を机に置き、体を前のめりにして言った。
「なんだ、そんなことか!! それならきっと、大丈夫だよ!!」
今度は、その顔には笑顔が実っていた。
その言葉からは、圧倒的な自信と、揺るぎない確信めいたものを感じ、今の一瞬だけ、入学式のときのサクラさんを彷彿とする空気が通り抜けていった気がした。
その雰囲気に当てられて、どうやら夢乃君と小芽生さんは表情が和らいだようだ。
「サクちゃん……!」
「伊波さんがそんなに自信があるなら、俺たちもこれ以上とやかく言わなくて良さそうだな……本当はさ、二人に相談して、佐藤と鈴木をどうやって学校に来させるかの作戦会議をしようと思ってたんだけど、必要なさそう……かな?」
表情の変化一つで、他人を説得させられるとは……。
つまらない表情から、自信交じりの笑顔になることで、言葉に重みを加える。
入学式の日から感じていたが、伊波さんは言葉以外のコミュニケーション能力も優れているようだ。
「うん! あとのことは任せてよ!」
「頼んだよ! サクちゃん! カエデ君も! じゃあ、ちょっとだけになっちゃったけど、ウチラはそろそろ戻るね!」
「相談事があったら、いつでも言ってくれな!」
夢乃君と小芽生さんは、席を立って、いつものグループの元まで戻っていった。
伊波さんは、二人がいなくなっても席を移動せず、オレの隣をキープしていた。
あの二人は伊波さんのことを信じていたけど、オレには疑問が残っている。
「伊波さん、聞かせてくれ」
「どうしたの?」
オレは伊波さんの目を見て言った。
「なんで佐藤君と鈴木君は学校に来ると思ったんだ?」
伊波さんはキョトンとした顔で言った。
「えっ…だって、あの二人って私のこと好きでしょ? それだけだよ?」
「そうか……」
オレはこれ以上は深く追求することなかった。
あの二人には興味のかけらもないんだな
入学式の日から感じていたが、伊波さんは言葉以外のコミュニケーション能力も優れているようだ
その声からは、圧倒的な自信と、揺るぎない確信めいたものを感じ、今の一瞬だけ、入学式のときのサクラさんを彷彿とする空気が通り抜けていった気がした
今回の題名は、三が多いですね
次回は、二日前です




