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「シン!シンはいるか?」
編集部の扉を開けて1人の男性が人を探して呼んでいた。
「マツさん、シンなら奥にコーヒー淹れに行ってますよ。」
そう編集部の人が返事するや否や奥から男がコーヒーカップを持って現れた。マツと呼ばれた人に気付くとシンは明白に嫌な顔をした。
「ゲッ…」
「おいおいその反応、毎回しびれるね。」
「変態か。」
そんなやり取りをしながら2人はシンの仕事机のところへ行き、シンは席に着いた。
「いつもの事だが新規1件、急ぎで頼むな。」
「どの仕事も全部急ぎだろ。走馬灯なんだから。」
そう、ここはどこかに存在する走馬灯編集部。人が死に際に見るというあの走馬灯を作っている場所だ。
時間の進み方は地球がある世界線とは全く異なり、地球以外にも他の世界の人類の走馬灯も作っているが、シンは地球にある日本を担当している。
ピラっと渡された紙は依頼書で、簡単なプロフィールが書かれている。あとの詳細は自分で調べて編集するのだ。
「ふーん27歳か。地球じゃ若い方だな。」
「じゃ頼むな。また後で完成品取りに来るから。」
「はいはい。」
そうしてシンは地球で使われているPCのような機械に向かって座り直し、作業に取り掛かった。