表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

人間関係リセット ―劣等感と嫉妬―


これは劣等感から嫉妬に狂った少女の話。



 ◇



私にはサキカという友達がいた。


物心つく頃には近所の公園で時々遊んでおり仲が良かった。


私の母はお寝坊さんで、近い年齢の子はもう既に遊び疲れて帰っていることが多く、遊ぶ相手はサキカくらいしかいなかった。

サキカの母もゆるーくほんわかとした感じで、だからこそ時間も被り母親同士も仲良くなったのだと思う。


とはいえ、小学生になる前に私は公園遊びに飽きてきたので会うことも減った。入学してからも学校は同じだが、クラスも登校班も違うので一緒にいることはほとんどなかった。廊下ですれ違ったら声をかける程度の付き合いしかなかった。


入学から数ヶ月経つとサキカはいじめられたらしく不登校になった。

サキカの母は私の母に相談した結果、私はサキカと一緒に登校班まで行くことになった。


素直に頷いた私だが、内心少しだけめんどくさかった。

寝起きが悪いのでギリギリまで寝ていたいのだ。


サキカはそれからしばらくは不登校だったが、たまに私とは遊んだ。


その年の冬休みは珍しく雪が降り、それぞれの兄弟も交え遊んだりもした。他にも二人きりでたくさん遊んだ。

私は「もっと一緒にいたい」「休み明けに学校に行く」と言われ、朝向かいに来てもらうことにした。


それからは毎日学校に通うようになった、

私は少し安心した。


きっかけはそれだけなのだが、なんだかんだサキカとはそれから義務教育の九年近く、共に通うことになる。


その間、サキカはよくこんなことを言った。

「こんなこと〇〇にしか話せないよ〜!」

私はそれがとてもうれしかった。


サキカは私と同様、特別仲の良い子がいなかった。

私たちはそれぞれクラスでは誰かしらと話し、いじめられることもなく平穏に過ごしていたが、放課後に誰かと遊ぶことは少なかった。


だけどいつからか全てに嫉妬してしまうようになった。

私には暴力を振るう父がいるのに、サキカには優しい父がいた。私の父だって外面はよかったけど、サキカの父は内面もよかったと思う。よく父の話をしていた。


母にだってさりげなく比較された。

悪気がなさそうだから言い返すこともできなかった。


トドメを刺したのはサキカに仲のいい子ができたことだろう。登下校も一緒になることも増えて、私は息が詰まった。

私にとって「友達の友達」は「私の友達」ではなく、知らない話題で盛り上がる二人をぼーっと眺めたり、通路では二人が並んで話す中その後ろに一人でいた。惨めだった。


それだけ?って思われそうだし、誰にも言うつもりはないけど、私は自分が嫌いで死にたいくらいだったのに、その矛先がサキカに向かっていることが不安だった。


純粋に大好きで大切だったのになぜ父と同じくらい憎いのかよくわからないまま私は中学三年生を迎えた。


受験校はあえて別にした。一緒にしようと言われては困るから敢えて少し高いところを目指した。本当は勉強なんて大っ嫌いだったのに塾にも真面目に通った。

そうして別々の高校に合格した。


けれど私たちは結局毎週の土日どちらかは会ってきた。

モヤモヤしながらも、遊ぶのは楽しかったからその関係を続けた。


高校に入学して一年が経とうとしていた頃、私はいきなりサキカの連絡先を消して音信不通になった。サキカだけではなく、今まで関わってきた人間数十人もついでに消し、家族親戚、今頻繁に会う高校関係者などのは残した。


サキカは私の弟の連絡先を持っていてすぐに連絡がいった。

私は四つも下の弟に叱られながら、間違えて消してしまったというバレバレな言い訳をした。


その日、このままじゃまずいと思い病院を調べて通うことに決めた。

それは一大決心で、初めは本当に怖かったし、見て見ぬ振りをしてきた部分を認めるのも辛かった。

そうして服薬する日々が始まった。


それから二年、無難に高校を卒業した私は実家を出て一人暮らしを始めた。そろそろいいだろうと、サキカと家族の連絡先を消した。これで誰にも文句は言われないだろう。


私は、その時必要な人間関係は流石に消さない。例えば高校生だったら、高校に関係のある人(同級生、先輩、後輩など)だったら顔が合えば気まずいだろうし連絡事項があるかもしれない。しかし、終わってしまえば必要がない。


今は仕事関係者しか入っていない。これも転職すれば消すんだろうなと思う。


こんな人生でいい訳ないけれど、離れる選択肢が自分には一番よかった。


サキカへの純粋な好意はどこへ行ってしまったのか、今でも帰ってこない。



 ◇



でも、自分は悪くないと思わないとやってけないんだよね。






闇堕ちって激しい系よりこういう方が現実的なのかなーなんて思って書いてみました。

異世界系の物語が行き詰まったので、新しく挑戦してみました。

評価や感想などくれたらうれしいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ