8.『機動戦士ガンダム 水星の魔女』(2022-2023)
さきほど最終回を見た直後なので、まだまとまっていないのですががが。
・主人公がシリーズ初の女性キャラ
・しかもパートナーが女性
で、巷では「百合ガンダム」と呼ばれているアレでございます。
もっと言うと、前半は異世界恋愛学園物にかなり近いのです!
どこらへんが異世界恋愛学園物かというと…
・序盤の舞台は、宇宙兵器産業コングロマリットのベネリットグループが作った、アスティカシア高等専門学園(宇宙に浮かぶ巨大な人工的居住基地「フロント」がまるっと一つ学園の模様)
・グループ内の有力企業がそれぞれ寮を持っていて、威張ったり色々している
・学園には謎の決闘制度(殺傷能力を弱めたモビルスーツで模擬戦闘をする)があり、勝者はベネリットグループ総裁の一人娘・ミオリネ・レンブラン(銀髪)の花婿となることになっている
という状況がありまして……
そこに、ヒロインのスレッタ・マーキュリー(赤毛)が、辺境である水星のしょぼい下部企業の推薦で編入!というのが物語の始まり。
ぴこーんとニュータイプのようにひらめいた方もいらっしゃると思いますが、このヒロインの設定、貴族学園物の下剋上ヒロイン(田舎育ちで社交界知らない&男爵家など下位貴族出身)的なのです。
他の主要キャラもどことなく異世界恋愛貴族学園物的で、適宜言い換えてみますと
1)王太女ミオリネ(馬鹿王太子が性別反転したというより、美人で優秀だけど学園内で超孤立しているという意味で悪役令嬢風味)の婚約者の座を賭けて
・ジェターク公爵家のグエル(俺様系)
・ペイル公爵家のエラン(氷の貴公子系)
・グラスレー公爵家のシャディク(褐色肌金髪、中近東っぽいサルエルパンツ&遊び人なのでシーク系?)
の3人が争っており…
※各公爵家は王家に従っているというよりは、隙あらば取って代わろうくらいの野心アリ
2)そこに水星からやってきた男爵令嬢スレッタが、謎のモビルスーツ「エアリアル」を引っ提げて登場!
決闘で勝利し、わけがわからないままミオリネと婚約!
その後、グエルにプロポーズされたり、エランとデートしたり、シャディクにおもしれー女的なことを言われたりしつつ、ミオリネとの絆を深めていく…
という、気がついたら悪役令嬢枠の出来過ぎ公爵令嬢と下剋上ヒロイン枠な男爵令嬢がキャッキャウフフする話ばかり書いている私からすると、完全にわたし(と同病の古芭白あきら先生[https://mypage.syosetu.com/1922428/])得やんけーーー!という出だしなのです。
ガンダムいうと色々お約束がある分、敷居が高いコンテンツだと思うのですが(私も昔、ファーストとZと逆襲のシャアを強制履修させられたので辛うじてわかるレベル。シード?なんですかそれ??)、異世界恋愛スキーなら、逆にするっと入れるヤツ!
途中、えっぐい展開も入りますのが、最後はハピエンの舞ですので!!
「水星の魔女」、2クール+プロローグなので、CM抜いて25分*25回分でざっくり10時間半、一気見はしんどいですが、2、3回に分けてやればなんとか…
未見の方は、無料配信があるうちに、ぜひぜひオススメでございます!
ちなみに、BL民の方には、グエルの弟のラウダが、ヤンデレブラコン全開ですので、そちらもお見逃しなく!
とまあ、暑苦しい布教語りは、とにかく──
なんでこの連載で『水星の魔女』の話をするかというと、この作品、「キャラクターの成長」をめちゃくちゃ描写しておりまして、やっぱ成長って柱があると、物語が強くなるよなー…と再認識したからなのです。
いうて、下手の横好きだとはいえ自分の作品にもキャラクターは当然いるわけで、キャラの描写はもちろんしているのですが、キャラの描写いうてもやっぱりレベルがあると思うのですよ。
(1)大前提:<キャラを説明する>
最低限、それが出来ていないと小説にはならないので、さすがに自分も出来てるはず
(2)そこそこ:<キャラを描く>
「設定」には還元できない、そのキャラ独自のパーソナリティを描写し、読者様に伝える…
優れた作品だと、短編に一回こっきり出てきたキャラでも多くの人の印象に強く残ることもありますよね。
そういうやつです。
小説の楽しみはここにあるとは思うんですが、それを短編でぽっとやるのは、素人には難しい…
自作で出来てるかな…代表作『ピンク髪ツインテヒロイン?なのに攻略対象が振り向いてくれません』の主要キャラ、あとはカタリナシリーズの一部(推理・計略)とかはある程度できているとは思いたいけど、どうでしょうね…(自信全然ない)
3)難易度高:<キャラの成長を描く>
言うまでもなく難しいです。
キャラが描けているのは大前提、そのキャラが想定外の出来事にぶつかるなど負荷がかかって、前とは価値観が変わり、行動も変わったりして、それらの変化が新たな展開につながり、別のキャラに影響して、成長の玉突き事故が起きたりする。
そしてこれら一連の流れが、読者様が納得できるものでなければならないのです。
それが<キャラの成長を描く>ということだと思うのです。
むず!ガントチャートでも書かんと物語内の流れが整理できんじゃろ!そんなんやったことないわ!!!(逆ギレ)
「水星の魔女」は、ここが凄く巧いのです。
一番最初に変わったのは、結構アレな俺様として登場したグエル。
グエル、MS戦は強いし、リーダーシップというかカリスマもある人なんですが、スレッタにボコられてさっくり転落…
このへんは婚約破棄物でザマァくらうアホの子王太子感あるのですが、その後、「あああ、ガンダムやね…」という地獄展開でどん底突き落とされ〜から、自分にとってなにが大切なのか思い出して復活していきます。
いわゆる底つき体験からの這い上がり展開。
次に変わったのはミオリネ。
ミオリネは強権的な父に勝手にトロフィーにされて、学園内では孤立し、完全にやさぐれまくっていたのですが、うっかりスレッタに出会ってしまい、なにしよるんやこのアホの子の田舎者はー!とかやってるうちに巻き込まれ〜で、スレッタを助けるために、父親との向き合い方も変わっていきます。
他者との出会いで変わっていくパターン。
最後に変わったのはスレッタ。
僻地育ちで学校に行ったこともなく、社会経験が乏しい状態で17歳で初の学校生活。
同世代の人がたくさんいるのを見るのも初めて、友達作りたいけどどうやって??みたいなところから、わけわからんまま決闘する破目になり、そっからアレやコレやと巻き込まれていくのですが…
スレッタの場合、最大の問題は母親への依存。
S1終わりまで、母親は正しい、母親の言う通りやれば大丈夫と思い込んでいるところがあり、これが呪縛となってしまってあかーん!という展開も来るんですが、そこから徐々にやっぱりなんかおかしい、母親の言う通りじゃあかんのちゃうかと気づいていって、自分の考えを持つようになっていきます。
スレッタの場合は、自分の中にある意志を発見したって感じですかね。
他にもスレッタのお友達枠の地球寮メンバーとか、グエルの子分共とかとかモブ枠も、それぞれ修羅場踏むうちに、ぐいぐいと変わっていきます。
普通はガンダムは1年かけて50話前後やるのに、「水星の魔女」は2クール24話なので、かなり巻いているところもありますが(終盤手前の22話あたりちょっと歪んでた気はする)、ようここまでキャラの「成長」を盛り込んだなという感じです。
オリジナルというかファーストでも、アムロだったりブライトさんだったり、カイ、フラウ、ハヤト、みんなそれぞれに修羅場を踏んで大人になっていくので、ある意味ガンダムの伝統っちゃ伝統かもしれんですが。
で、見てて思ったのが、やっぱり「成長する」ってエモいし、話が面白いんですよね。
今回はYouTubeの考察動画とかも見ながら見ていたのですが、次の週、なにが起きるかほんまわからん。
成長いうことを書くのは、ほんと難しいですが、挑戦する価値は絶対あるんだなと思いました。
いうて、こんだけ複雑な話をどうやって落とし込んだのか、自分でもお話を書くようになっただけに、逆にさっぱり想像つかんですが、いつか挑戦してみたいと思います><