4.ディクスン・カー『妖魔の森の家』(創元推理文庫)
ジョン・ディクスン・カー(カーター・ディクスンのペンネームも併用 1906-1977)は、海外本格推理小説好きな人ならだいたいご存知の大作家。
小学校の図書室で出会ったシャーロック・ホームズに始まって、海外作家だとチェスタトン、クリスティ、クイーンなどなど&国内作家なら乱歩やら横溝正史やら中高生の頃にわりと読んでいたので、カーも『ユダの窓』(1938)など有名作はちょいちょい読んだ覚えがあります。
特に、名探偵フェル博士による密室講義が入っている『三つの棺』(1935)は有名ですよね。
この短編集、読んだような気がするなーと思いつつ、ほぼほぼ忘れているし、春の推理に参加するところなので、ちょっとおさらいしたいなーということで再読してみました。
収録作は、表題作の他に「軽率だった夜盗」「ある密室」「赤いカツラの手がかり」「第三の銃弾」。
いずれも、フェル博士物(60歳くらい? アッパーミドル出身なのかな?な、めっちゃ巨体な歴史家。結構癖強い)です。
読んでみてびっくりしたのが、カーは怪奇味と密室トリックが特徴の作家なのですが、わりと事件に色恋沙汰が絡んでる!
表題作には不思議ちゃん系小悪魔な女性とか出てくるんですが、なんかちょっとなろう異世界恋愛でよくある王子を奪いに来る男爵令嬢風味あるぞコレ!と謎に興奮しつつ読んでしまいました。
あと、事件が解決したらなんか男女がくっついててハピエン流れになってたり……
翻訳で読んでいるので文章表現について云々するのはアレなんですが、ダブル・ミーニングでコンパクトに伏線張っていて、やっぱおもろいなーと思いました。
で、短編なのでそんなに人物描写入ってないんですけど、なんでかよくわからんけれど、「このキャラはこういうタイプね」とだいたい察しがつく感じ。
セリフだったり行動から適当に脳内再生しやすいんですよね。
昔読んだ時は、ミステリの部分に興味があったので、小説として鑑賞するという読み方ではなかったんですが、ざっくりざっくりでもちゃんと伝わるって凄いなーと思いました。
読んだはずの長編も、だいぶ話を忘れてるようなので、またちくちく読み返していきたいと思います!
とりあえず『火刑法廷』読み直したい…