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3.バルザック『ソーの舞踏会』(1835)ちくま文庫

更新は、忘れた頃にやってくる…!

去年はわりとジェイン・オースティンばっかり読んでいたのですが、そういやイギリスばかりというのもアレだなと思っていたところ、たまたまめっけて読んでみました。


この本、バルザックの『人間喜劇』から、王政復古時代の貴族の結婚にまつわる中編3作を収めたもので、社交界成分たっぷり。1835年前後に書かれた作品なので、オースティンより1世代後という感じです。


表題作「ソーの舞踏会」。

これが異世界恋愛に一番近いっちゃ近いかなというお話。

王政復古の前といえば、大激動の時代なわけで、フランス革命からのナポレオン大暴れからの、島流しにしたと思ったら一瞬復活しやがったりして、とにかくてんやわんやだった時代。

旧貴族は追放されたり、時流に迎合しようとしたりヤバかったのですが、なんとかかんとか王党派として筋を通したフォンテーヌ伯爵。

国王の覚えもめでたく、なかなかいい感じなのですが、伯爵家が苦労した時代をあんまり知らない三女・エミリーは、イケメンの貴族院議員じゃないと結婚しないとかダルいことを主張し、せっかく婿候補を集めて舞踏会をしても、全スルーされてパパはもうヘトヘト。

ちゅうか、姉2人は資産重視で貴族じゃない人と結婚してたりだし、兄も富裕な平民の娘と結婚してたりするので、エミリー結構兄弟姉妹の間でも生暖かく見られてるんだけど大丈夫なのか君。


ちなみに、オースティンだと、貴族/地主(+牧師と弁護士ほか)/それ以下ががっちり分かれている感じで、身分を跨いで結婚というとかなりおおごとなのですが、フランスの場合はそこまででもない感じ?という印象です。

18-19世紀で言うと、イギリスは一応安定してましたが、フランスはほんと天下ひっくり返りまくりでしたからね。

青き血ガーとか言うとられませんわ、そりゃ。


で、話を戻すと、たまたま滞在していたソーという村の舞踏会で、エミリーはめっちゃ理想的なイケメン紳士と知り合い、なにをしとる人かいまいちわからんけど、物腰からして貴族やろ!?そういうことやろ!?とのめり込んでいくのですががが的なお話。

ラスト、うん、まあそうなるよね…となりました。


「夫婦財産契約」「禁治産」は共に、夫婦間の財産を巡る地獄展開で面白いのは面白いですが、どちらも視点人物は男性。

強欲な女性に引っ掻き回されるというもので、異世界恋愛からはちょっと遠いかなと。

むしろ、弁護士ドットコムニュースとかプレジデント・オンラインみたいな媒体に載ってる相続トラブル系読み物みたいな雰囲気もあります\(^o^)/

「夫婦財産契約」は、夫婦の共同財産と別に、子供に引き継がせる世襲財産を立てて管理するのが貴族ちゅうもんやみたいな話が出ていてちょっと興味深かったです。

オースティンの作品にも被相続人(残す側)が、男系男子に限定して相続させる限定相続とかあったり、別の作品で女子には結婚しないと使えないという形で財産残すとかあったりしますが、現代の日本では相続した後のことに法的拘束力をつける形で条件をつけるっていうのは普通できないので、巧く使えば「それっぽさ」が出せそうな気もします。

といっても、読者様に馴染みのない状況になりげなので、十分、背景を説明しないとコメント欄が荒れそうですが。


なろう異世界恋愛では、結婚後の金のいざこざを執拗にやる作品というのは見た覚えがなかったりなので、あんまり参考にならないかもですが、新鮮ではありました。


現場からは以上です!

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