魔ノ力持ツ者
結構自分ではハイペースに書いてるつもりなりん太郎です。
一気に7話目です。
この調子でバンバン書きたいです。
俺と美春は馬に乗せられて町へと向かっていた。
果てしなく遠いように感じた町は、あっという間に着いてしまった…というか、連行…?
町の中は観光に来たのであればとても楽しそうな町だ。
遠くから見たときよりもずっと洒落ていて、草原の中に佇む民家とはえらい違いだ。建物はどこかヨーロピアン風な建物が多いだろうか。
花屋やレストラン、洋品店に本屋のようなものがあるのは看板のイラストから見て取れる。
町の中心には…城?本格的なファンタジー映画だな…とまだ映画である線を拭えないでいる俺に対し、美春は常にピリピリした表情をしている。
さて、その城の隣には…教会…みたいなもんか?
なるほど、ここは結構都会なようだ。
「トニトルス様ご帰還致しました!」
番兵のような人が叫ぶと城の門が開けられる。
中に通されるとそこには町の中にどれだけ広大な土地を構えるのだと思うような広場。綺麗に整えられた芝生が一面を覆い、城壁の周りを木々や花が彩る。
広場の中央には噴水まであり、なんだかメルヘンな気分になる。
こんなメルヘンな場所、女の子なら大喜びなはずなのだが…相変わらず美春は張り詰めた表情だ。
と、噴水まで到達する前にトニトルスと呼ばれた男は立ち止まり、俺たちを見る。
「森で…ウルフが倒れていたそうだな、あれはお前たちがやったのか?」
返答に困る俺を待たずに美春が返答をする。
「そうよ」
ジロリと美春を睨みつけるトニトルス。
「ほう…お前がやったのか…?」
「…そうよ」
少しだけの間を置き、美春が返事をする。
「そうか、それではお前が魔の使いか」
そう言うと美春に剣を向ける。
「ちょっ…!待って!」
思わず大声を上げる。
「いや、俺だ…」
なんだかわからんが、なんとなくイヤな予感がして美春を庇う。
まぁ、それに、実質1匹は俺がやった…?たぶん…。
「ウルフは、二匹いたそうだな」
俺と美春は同時に頷く。
「一匹は、殴られたような、もう一匹は、刃で貫かれたような跡だったと聞く。殴られた方は…おまえであろう?」
美春の方を睨んだまま話す。
「お前は棒を持っていたようだからな。…しかし、もう一匹はどうか?見たところお前たちは棒切れ以外に刃を持っていたとは思えぬ。ウルフの周辺にもそのようなものは無かった、と聞くしな」
そりゃそうだ…だってその”刃で貫かれたような跡”っていうのは、まさしく”俺から出た刃”なのだから武器として持ち合わせているわけがない。
第一、そんなわけのわからない説明をして信じてもらえるはずがない。
「そのもう1匹は、どうやって倒したのだ?」
どうやって…って…。
俺と美春は互いに顔を見合わせる。
なんと言い訳をしたらいいのかわからず、信じてもらえるとは思っていないが話す事にする。
「えと…なんか…わかんないけど…俺の手から…光みたいなのが……飛び出した?ような?」
そう言った瞬間、トニトルスの平静な表情が一変し、今度は俺に剣を向けられる。
「では、お前が魔の者か!!!この男を連れて行け!」
!!!??
え!?なんだなんだ!?
わけがわからないぞ!?どういうこと!?
ピリっと体に何かを感じ、その瞬間より俺はここで一度記憶が途切れる。
なんかよくわからんが…なんか…ヤバ……そうだ………み…は……る………逃げ………
その頃神殿ではイシュカがまた吹き始めた風の声に耳を傾けていた。
一瞬とはいえなぜ風が止んだのか…
(風よ…どうしたの…?答えて…)
だが、風は答えてはくれない。
「イシュカ様、トニトルス様が西の森で魔の使いらしき者を捕らえたようです」
神官の一人が駆けながら報告に来る。
「捕らえられているのは城ですか?」
「はい、ただいまトニトルス様が牢獄へ連れて行ったと」
「そう、すぐに向かえる神官達を向かわせ、魔力対応重複結界を張っておいてください。すぐに私も向かいます」
そう言うとイシュカは祭壇へと向かい、そこへ捧げられている装飾の施された短刀を一本護身用に持ち、風の神に祈りを捧げる。
…やはり…魔が住まうというのは本当だったのね…。
…私に、力をお貸し下さい…。
短く祈るとイシュカは城へと急いだ。
7話目、いかがだったでしょうか?
美春はどんどん男前になっていきますね。
悠斗はどんどんヘタレになっていきますね。
しかも相当な天然ですね。
そんな彼がキライじゃないです。