1話 青年死にかける
皆様。初めまして。この物語は1部作者の実体験をもとに構成されています。文才もないですが、少しでも楽しんで頂けたらと思います。末永くお付き合いください。
社会人になって3年目。
いつもと変わらない毎日。
8時に出社し荷物を積み込み、意味のない朝礼を行ない、出発。80件ほどの配達が終わったらセンターへ戻り片付けと日報。
はあ~退屈だ。
8月の猛暑と呼ばれる日。
いつもと何ら変わらず出発する。
お気に入りのラジオをつけ高速に乗り土岐市へと向かう。
「ぷ~。ぷっぷ~」
はあ。制限速度も守って走るトラックへ後ろの大型からクラクションをくらう。
都会ではよくても一歩田舎に行けばよくある光景だ。
それでもスピードを上げることはできない。車内にはドライブレコーダーという名の監視カメラ。
5分後の追い越し車線まで待ってもらおう。
大型トラックもスピードを出さないと分かったからなのかクラクションが鳴らなくなった。
モニターを見るとどんどんと車間距離が短くなっている。
「まじか。ふざけんな!大型なら優しくあれ。」
そんな愚痴をこぼしながらも内心は恐怖であり、スピードを出してしまう。
ついにハンドル操作を見失って壁に激突しそうになる。
「うん。死ぬなこれ。まだやりたいことが一杯あったのに。いや。これは罰かな。はっ。」
案外死ぬ間際は冷静になるもんだ。潔く天に召されよう。
最後位受け入れようと目をつむる。
対韓的には30秒たつが何も起こらない。
おかしい。
そう思い目を開けるとそこは何もない壁や床、天井さえもオレンジな空間だった。
見慣れない空間にいると人は落ち着かないものである。
周りを見渡しあたふた。落ち着かない。
「お主。少しは落ち着いたらどうだ。大の大人が情けない。」
え?周りを見渡すが姿が見えない。
「あの~どこにいらっしゃるのでしょうか?」
「前じゃよ。お主の目の前じゃ。深呼吸して前を見てみよ。」
疑心暗鬼になりながらも目をこすり注意深く前を見る。
あれ?視界が揺れている?
「ようやっと気づいたようじゃな。」
目の前には着ているものすべてがオレンジ色に統一されており、素肌の部分もオレンジ色にペイントされている70代に見える優しそうな爺がいた。
「これはなんなのでしょうか?死後の世界でしょうか?でも痛みもぶつかる音もなかったし…」
「そう慌てなさんな。それよりも少し待っていてくれるかの?顔を洗って着替えてくる。」
その言葉に動揺していた自分も絶句である。そう絶句だ。
待つこと15分。
「待たせたの。それでな、お主はまだ死んでおらんよ。ギリギリのところでこちらに引き込んだ。苦労したわい。」
「理由を聞いてもいいでしょうか?あなたが何者かも分かりませんが、苦労してまで呼ぶ価値が自分にはないと思うのですが。」
「お主の過去は天界から見ておった。不幸じゃな。一言でまとめると。儂は神じゃ」
「っう。プライバシーの侵害では?それに答えになっていません。」
「細かいことは気にするな。儂も神になる前は人であった。周りに否定され続け、挙句に娘に監視される生活。それもありお主にはチャンスを与えることにした。今まで救えなかった者たちを過去に戻り救うのだ。」