天才と変人は紙一重
1×1=1と言う事は小学生でも知っている事である。
しかし、朝多マヤはこうも考える。
その数式である1×1が1人の事を指しているのならば、その1×1と言うのは、どこから来たのか、と・・・。
無論、これが小学生にも解りやすく式にしたものだとはマヤ自身にも解っている。
だが、もしも、1×1にある可能性があるとすれば?
例えば、1×1を無限に繰り返した場合、そこには同じ形でも存在の違う1が存在するのではないかと・・・。
それが朝多マヤが平行世界に論文を書くきっかけとなった。
そして、それは同時に夢を伝達ーーアカシックドリームとして平行世界の認識が可能なのではないかと言うのが彼女の仮説に至るまでの内容である。
それが確信にするのは中学1年になってからである。
同じ世界観のある全く別の世界の全く違う自分の認識。
どこかオカルト的な内容ではあったが、夢が脳内に関する記憶処理による産物ではないのではないかと言う新たな理論が朝多マヤの論文で新たに発覚し、彼女は以後、周囲からも天才と称され、その研究に没頭する事となる。
勿論、それを証明するのは並大抵の事ではないが、彼女はそれの行為その物を楽しんでいた。
いつか、違う可能性で男性になった自分に会って話をしてみたい。
そう思いながら、マヤはテストを放棄して眠る事に専念する事にした。
ーーそう言いつつも空欄はしっかりと埋めているだけ流石と言えるだろう。
それが正解かどうかは別にすれば・・・。
マヤは確かにその分野では天才なのだろうが、それ以外の勉強となるとからっきしである。
勿論、それだけではいけない事もマヤ自身は解っている事であるが、それでも乗り気になれないのは事実でもあった。
しかし、だからこそ、彼女は別の分野を得意とする友人を作る事となった。
勿論、それは親友のお節介によるものだが、今となっては心強くすら感じていた。
だからこそ、彼女は自分の得意分野を伸ばす事に集中出来ると云うものである。
そうして、朝多マヤはいつものように眠りに落ちる。