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2話 2度目の高校生活の始まり

突然の出来事に話す余裕すら無く学校に着いてしまった。

脳はまるで5分もかからず学校に着いたと勘違いしてるようだった。


クラス表を見ると少しびっくりした。


「あれ...?」


渋沢のクラスが1年の時と違う。

僕は怖くなった。

前の高校生活と全く別な生活になったらどうしよう。


「とりあえず俺は8組だから。暇あったら遊びに来て」

「お、おう...。俺は4組だから。」


僕が4組で渋沢が8組になった。

少し進んだ廊下で僕達は別れた。


教室に入ろうと思った時少し怖くなった。


これがもし手の込んだ罠だったら...?

卒業した事を言っても通じないだろうし下手すれば捕まるぞ...。


でもここまで来たら後には引けなかった。


「もうどうにでもなれ...。」


教室に入ったら高校入学したての独特な雰囲気がした。

ピリピリはしていないが少し重い感じ。

その雰囲気に包まれて、僕は黒板に書いてあった席に座った。


前の席は「白井 かれん 」

放っておけばずっと喋ってる奴で、前の高校生活では3年間同じクラスで本当に仲が良かった。


右隣の席、この人だけはあまり会いたくなかった。

右隣の席は「三束 優菜」

この人は1年の時に付き合っていた元彼女だ。

自分は好きだったが「飽きた」という理由で振られる。

できれば二度と会いたくなかった。


今気付いたが僕のクラスはクラスメイトに変わりは無かった。


ではさっきの渋沢のクラスが変わっていたのは何だったのだろうか。


まあ良いか。高校入学したてに戻したいと思ったのは僕だし、これはチャンスだと思えばいいんだ。


僕はまずこの3年間でやる事、避ける事を頭の中で整理し始めた。


1つ目は三束と付き合わないことだ。

5月の下旬辺りに、枯れかけている桜の下で僕は告白される。

それを断れば良いだけの話だ。


2つ目は学生生活最後の部活で少しでも成績を残したい。

僕は小学生の頃からギターをやっていて、中学の頃は一緒に活動する仲間がいなかったので1人で弾き語りをしていた。

僕の所属していた軽音楽部は、ライブは1度だけやったがコンクールは1度も出なかった。

本当に薄っぺらい部活だった。

これを変えたい。大好きな音楽で思い出を作りたい。


3つ目、これは1つ目、2つ目より必ず変えたい過去だった。

2年春から卒業目前まで付き合う彼女がいた。

彼女の名前は「篠崎志音しのざきしおん)

容姿端麗で人に優しい人気のある人だった。

2年の頃に音楽をやっている姿を見られていたらしくて全く話したことも無かったが、告白をされて付き合う事になった。

ただ彼女は、高校卒業2ヶ月前に癌で死んでしまう。

しかも僕には何も言わずに。勝手に。

僕はこれを変えたい。何を変えたらいいか分からないけど。



そんな事を考えていたら予鈴が鳴った。

担任の先生が教卓に立つ。


「今日からお前らの担任の潮田だ。高校生としての自覚を持って生活しろよ!」


1年の時の担任も変わっていない。

意外と変わっていないものが多くて安心した。


「初っ端から入学式だから説明をするぞー。お前が1番先頭でお前が1番後だー。」


指を指し雑に説明していく。




これから僕は2度目の入学をするんだ。


僕は決意した。まだ今起きていることを完全に理解していないが分かっていることは1つだけある。

「時間は戻った」ということだ。

後悔の無いように高校生活を送る。もう一度来たチャンスを活かす。


さあ。2度目の高校生活の始まりだ。


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