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第6食目:闘鶏の卵焼きとクルムの付け合わせ

朝ご飯、メニューが2つありました。

「な!なんですか!?この美味しそうな食事は!?」

「こっちはルピア。こっちはミル」

「あ、あの、カリスナダ様、これ、もしかして、卵料理では……?」

「そう。ルピアは抵抗あるでしょ?」


「卵料理ですか?わたし的にはばっちこいです!」

「な、なんの卵なんですか……?」

「闘鶏の卵。餌はすべて穀物で育てたやつ。節制の制約に引っかからないんだよ、これ」


「で、でも」

「ルピアは抵抗あるでしょ?ミルはどうぞ」

「いただきます!この添え物はなんですか!?」

「クルム(トマト)を煮込んだやつ。これに漬けると美味しいよ」


カリスナダさんが来てから朝ご飯が豪華!

素敵!

一口食べると


「溶ける!溶ける!卵美味しい!!!」

卵のしつこさに、クルムの酸味がちょうど良い。


「……美味しい?ミル」

「めっちゃ旨いですよ!ルピアも食べませんか!?」

「……いや、私はいいや」

顔をひきつらせながら、ルピアは穀物と砂糖の炒めものを食べていた。



学園に登校すると

「ルピア、話があるわ」

ヤファさんが話かけてくる。

「はい…」ルピアは心底疲れたようにため息。


「ミル、先に行ってて」

「うん」

なんだろうね?


ルピアが帰ってくるなり

「一応報告するわ。今学園では5人が有力候補として名前があがっている。今、そのことで騒ぎが起こっている」

「また、面倒くさそうな話ですね」


「ちゃんと聞いて。

1人目。あなたも知ってるマイセクローラ。14歳。大本命の一人。国王の娘でありながら転生体候補生。家柄も人格も容姿も問題がない」

「容姿の問題もあるのですね」


「ええ。聖女様のお身体になるのだからね。

2人目。さっき呼び出されたヤファ。15歳。こちらもこの大陸の国の王女。家柄、容姿は問題なし。ただし、人格と年齢に問題あり」

「年齢は15の問題ですね」


「ええ。有力候補と呼ばれながら、15の誕生日を超えてしまったわ。あと人格。スティアナを自殺に追い込むイジメをしたのはヤファの取り巻き」

「怖いですね」


「本人はそこまでじゃないわ。取り巻きがたち悪い。それを容認してる人格がダメって話。

3人目。タチアナ。12歳。この娘はまだ挨拶もしてないかしらね?オーディルビス王国という、違う大陸の王女様。この王国は聖女様を信仰しているから、候補生も選ばれた。肌の色が浅黒いから見れば分かるわ。とても気さくで楽しい娘よ。王族とは思えないわ。こちらは家柄、容姿、人格、年齢問題なし。マイセクローラが、15を超えたら、大本命になると囁かれていたわ」

「ああ!見かけました!あの楽しそうな人ですね!」


「ええ。今度挨拶しましょうか。

4人目。ビネハリス。13歳。3人と比較すれば家柄は落ちるけれども、上級貴族。この娘の特徴は容姿……というか、身体付きね。聖女様の転生体の特徴がもっとも分かりやすく出ている」

「……身体付き?」


「聖女様はね。豊満なの。代々の聖女様は皆身体付きがふくよかと呼んでいいくらいの身体付き」

「ああ!おっぱい!」

「……まあ、そういうこと。まだ13だけど凄いわよ。あの身体。今回の有力候補3人は身体付きがそうでもないのよ。それで急に候補として上がってきた」


「なんか基準がいっぱいあるのですね」

「学園なんて他に考えること無いからね。こんな予想ばかり盛り上がるの。

5人目。ルピア。14歳。家柄は上級貴族。他全部普通。なんで名前が上がってるかさっぱり分からないわ」


「そう言えばおっぱい大きいですね。ルピア」

「……ああ、まあ。あの3人に比べれば」

「人格が良いのは、私のお世話をしてくれてる時点で分かりますよ。皆さんもそれで慕われているのでしょうね」


「……ジュブグラン様からのお願いだからよ」

「そんな事無いですよ」

ルピアの人格はみんなに認められているんだろーなー。


「それはともかくお昼ご飯待ち遠しいですねー」

「……ねえ。あのね、本当の転生体は貴女なのよ。なんとも思わないの?」

「いえ、わたしは美味しいご飯食べられればなんでも良いですし」


生のお豆さんを如何に美味しく食べるか、私はそれに集中していた。



今日はお豆さんを水に浸けてふやかしてみました。

「不味い!不味いですよ!食感最悪!味がしない!」

「騒がないで、ミル」ルピアがため息。


「ルピアも大変ね」

ニコニコしながらマイセクローラさんが話かけてくる。


「いえ、ミルは楽しい娘ですから」

「そう?まあそういう後輩への教育も良いわ。候補生としてはね」



帰りの時間、踊るように歩く女の子にあった。

肌が浅黒いので

「タチアナさんですか?ミルと言います」

「やあ!ミルってあれだね!この前来た子か!ルピアが面倒見てるんだね!よろしくね!ミル!」

「はいです!今度ご飯のお話聞かせてください!」


「ご飯か!いいね。私の故郷のご飯も美味しいよ。海料理が多いけどね」

しばらくご飯のお話をして帰った。



寮に帰ると、カリスナダさんが声をかけてくる。

「今日はお出かけしないかわりに、私がお肉の料理を作ってあげよう」

「本当ですか!めっちゃ楽しみです!」

「あれ?そう言えばルピアは?」

「なんか大変みたいですよ?候補の有力者扱いみたいで」


「滑稽だな。だがそんなものかな。閉鎖空間の争いごとはいつもそんなものだ」

カリスナダさんは、寂しそうに笑っていた。

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[一言] 龍姫んとこも閉鎖世界だったものね……
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