第4食目:穀物を砂糖でまぶした炒めもの
今日から寮にカリスナダさんが来ることになりました。
その朝ご飯。
「凄い!豪華!なんですか!これは!!!」
いつもの、穀物をぶちまけただけの餌状態な皿ではない。
まず穀物は炒めてある。
味付けがされているのだ!
お肉も魚も果実もないんだけど、穀物だけで味が出るように、砂糖がまぶしてあるのだ。
「来たばかりだから簡単に作ったんだけど」
このお料理はカリスナダさんが作られました。
「早起きしすぎではないですか!?」
「龍族はあんまり睡眠いらないの」
凄いなぁ龍族。
「学園の昼食はどうしようもないから諦めて」
「我慢します!朝ご飯がマトモなだけで全然良いです!」
「カリスナダさん、そこまでして頂かなくても……」
ルピアが心配そうに言うが。
「ジュブが言ってたでしょ?学園生活を楽しんで」
その日の学園。
朝にみんなが集められました。
そして、学園長が言いました。
「ここにいる学園生80名。このうち一名が次期聖女様の転生体と確定しました。半年後に転生が行われます。選ばれた娘以外の方達も、次期聖女様の妾となることは確定です。今日から特別カリキュラムを行います。今日から、カリスナダ先生が特別に来てくださる事になりました。この方は聖女様の側近として様々な知識をもっていらっしゃいます。必ずや皆さんのお役にたてるでしょう」
学園長の話の間に生徒のざわめきが止まらなくなってきた。
「みなさん。静かになさい!」
先生が注意をする。こんな注意されるの初めて見た。
「も、申し訳ありません!一つだけお聞きしたいことが!」金髪の女性が手を挙げる。
「なんですか、ヤファ」
学園長が答える
「は、八十名のうち、15を超えている者もいます。その人間にも可能性はあるのですか!?」
15?なんの話だろう?
「今回の半年前の通告が異例です。学園以外にも20名が候補生でありながら都の外で暮らしていました。その方達の可能性はなくなった。全て異例です。確かに転生体が15を超えて選ばれた例はありません。しかし、今回は異例ずくめなので分かりません」
「あ!ありがとうございます!」
ヤファと呼ばれた金髪さんは笑顔。
みんなの顔が紅潮している。
そんな中、ルピアの顔はひきつっていた。
「あのね、基本的には15を超えたら転生体に選ばれないというのは既定路線だったの。過去に例は無いし」
ルピアがおトイレで、私に説明してくれる。
「ほうほう」
「だから15を超えたら聖女様の妾になる教育に変わるのよ。ところがね、ここ二年、そんな教育が無くなっていた」
「ああ、それで、もしかしたら15を超えても転生体の候補のままじゃないかと」
「あの説明だとそう取れるでしょうね」
「あの、基本的な話聞いていいですか?そんなに聖女様の転生体になりたいのですか?」
虚をつかれたように、ルピアが立ち止まる。
「……え?」
「私は、あんな無視されて放置されまくった家を出れて幸せですけど、聖女様の妾でもばっちこいですよ。なんか、その話や、皆さんの反応だと、妾はやだなー的なニュアンスを感じてしまって」
「……そうね。転生体に選ばれる名誉というのは、学園にずっといないと分からないかも知れないわね」
ルピアは遠い目をする。
「スティアナも貴女みたいな思い切りがあれば死ななくて済んだのにね」
その日の学園は大騒ぎになっていた。
半年以内。
この学園以外からは選ばれない。
元々自分たちの可能性が高いというのは知ってはいたが、今回の話はより具体化した。
「ルピア、お昼ご飯のお豆さんを美味しくする方法をですね」
「本当にご飯のことしか考えていないわねー」
ルピアの呆れ顔。
「ルピア、少しいい?」
あ、昨日注意されたマイセクローラさん。
「はい。なんでしょうか?」
「今日の話、賢いあなたなら気付いたはずよ」
「……もう、候補は確定した。という話ですね」
「ええ。それであなたは誰だと思う?」
「私達は予想すべきではないかと」
「大正解よ。予想すべき話ではない。でもね必然的に浮かぶでしょう?あなたはずっとこの娘を引き連れている」
……おや?バレてる?
「わたしは応援するわよ、頑張って」
マイセクローラさんが去った。
「バレた?ってことです?」
「違うわ。マイセクローラさんは、私が候補有力者だと勘違いしてる。今まで誰とも連まないでいたのに、急にあなたを囲ったように見えたからじゃない?」
「おお。まあ、それはそれで」
面倒くさくなくていいし。
「それよりお豆さん攻略をですね!」
「はいはい。ああ、面倒だなぁ」
ルピアは頭を抱えていた。