第31食目:焼き魚食べ放題
ジュブグランは殺し屋だ。
60になるまで、人を殺し続けた。
戦争にも参加した。
だから、戦争の悲惨さも見続けていた。
だが、これは、別格だった。
「アハハハハハハハ!!!!!バカどもが!!!!母様の仇だ!!!!!!思い知れ!!!!!母様の痛みを思い知れ!!!!」
高笑うルピア。
鮮血の王座。
龍族のチャズビリスは、その城の兵士を皆殺しにし、王族を拷問にかけていた。
泣き叫ぶ声もあるが、それ以上に、あまりにも悲惨な光景に皆が絶句している。
その城は地獄と化していた。
その様子を平然と見ていたフェルライン
「ルピアは霊媒体質って聞いたんだけど、母親が乗り移っているのではないの?」
「違う。ルピアの霊媒体質はな、怨みだけが乗り移るんだ。だから、スティアナの時も、自意識はあくまでもルピアなんだ」
「へえ。で、その怨みが晴れるまでああだと」
高笑いを続けるルピア。
並みの人間ならば、例え仇でも、絶句して言葉も出なくなる光景なのだが。
「王族としてなにも為してないのに、他人の妻を犯して、もみ消しだけ一生懸命するクズどもだ。同情の余地など皆無だが」
ジュブグランは顔をしかめる。
「まあ、チャズが飽きるまで時間かかるわよ。食事にしない?」
「……本当に、お前はヤバい奴だよ。心からな」
ジュブグランは食事を広げるフェルラインに、呆れた言葉をかけた。
=====================
「お世話になりました」
エールミケアさんに頭を下げる。
「あ、あと一個行くとこ増えたんだよ。アラニアに戻るから」
「エウロバさんです?」
「そうそう。呼んでるんだって」
エールミケアさんと転移で戻る。
しかし、転移石って高いと思うんですけど。
バカスカ使いますね。龍族の皆さん。
「ミル!お帰り!」
嬉しそうにエウロバさんが抱きついてくる。
「ただいまです。どうされましたか?」
「わたし、婚約したんだ」
「まあ、おめでとうございます。相手はマヤノリザさん、でしたっけ?敵の公王。婚姻関係で縛るおつもりですか」
「そうそう。まあ、私は女好きだし、あっちは妹好きだから、偽装婚約だけどね」
あ、後ろでエールミケアさんが頭抱えてる。
「エウロバさん!?マジで!?」
「昼間転移で会いに行ったの」
「マヤノリザは受けたんですか!?」
「さあ?ミルはどう思う?」
「受けるでしょうね。ただ、ヤバいという妹さんがどう判断するかですが」
「ああ、あいつを追放するのが条件だって伝えてある」
「なるほどー。因みに、強力な公国か、皇族に男性機能が不具の人います?」
「ああ!そいつに押し付けるってこと?」
「皇族にそういう人いるならば、そいつに嫁がせますね。監視のために新都に行く気でしょうし、私なら皇族を選びます」
エールミケアさんは顔を真っ青にして
「い、いる!男性機能云々じゃないけど!動けない!喋れない方が!」
「ディルハウエルか!?なるほど!それは最高だな!」
エウロバさんはケラケラ笑う。
「お似合いではないか!あのビッチには白痴がお似合いだ!」
「……時代早いなぁ。ついていけないよ、私には。ごめんね、ミル。私一回龍姫様にご報告するから。帰るの明日でもいい?」
「はいです!」
「このお城に泊まれ。豪華な晩御飯を食べよう」
エウロバさんに手を引かれて、部屋に向かった。
=====================
「いやー!私、王様で良かったわ!!!」
オーディルビスの新王、タチアナは、焼いた魚を丸かじりしながら腰を振っていた。
周りには半裸の美しい少女たち。
そして、その下には
「むーーー!!!むー!!!!」
少年が拘束されていた。
「ほら、ちゃんと動きなさいよ。バディレス。あんたに聞きたいことなんて実際ないの。犯人もう分かっちゃったしね。神教のクレンジでしょ?なので、あなたの役割は私の性処理。分かった?」
その言葉にケラケラ笑う少女たち。
「旨いもの食べ放題!セッ○スし放題!いやー!聖女様とバディレスに感謝だよ!私、絶対こっちがいいわ」
そう言って近くにいた少女とキスをするタチアナ。
「あーあ。ミルティアも呼びたかったなぁ。あの娘、好みの顔してたし。頭いいし。食べ物もメッチャ美味しそうに解説してくれたしなぁ」
タチアナは腰を振りながら、魚を食べ続ける。
「ミルティアですか。頭良かったのですか?」
学園から連れてきた少女が不思議そうにクビを傾げる。
「天才だよ。あの娘。多分後宮の主の補佐かなんかで呼ばれたんだろうね。末は宰相かな?」
タチアナは、誘ったときのミルティアの態度が引っかかっていたのだ。
後宮の惨状に顔色一つ変えなかった。
つまり
「自分は後宮に入らないと知っているんだ、あれは」
だとすれば、後宮の主のルピアにくっつけた意味が分かる。
「宰相ならまた会えるか。うちの宰相もやってくれないかなぁ」
タチアナは楽しそうに食事をしながら、バディレスを犯し続けていた。
=====================
宰相ヒルハレイズは、聖女に跪いていた。
「ルピアの祓いは最終段階です。ミルティアも帰ってきます」
「そう。いよいよね。流石に怖いわ。転生はいつも怖いけど、今回は別格」
苦笑いする聖女。
「聖女様、今からでも候補は……」
「無理よ。ヒルハレイズ。賽は投げられた。私たちは、もう目が出るのを待つだけ」
聖女は溜め息をつくと
「長い、長い、人生だわ。この転生法も限界かも知れない」
スッと背筋を伸ばす。
「でもね、私はミルティアの天才的な頭脳と強烈な意志を上回る。私がミルティアを支配する」




