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第26食目:塩そば

アルネシア公国のお買い物。

「めっちゃオシャレですね!」

金細工、銀細工、鉄細工が大量に売っているんですが、どれもオシャレ。

驚くのは、滅茶苦茶種類が多い。


「これはなにに付けるのですか?」

「足指用です」

「ふえぇ」

そんなのばかり。


「これは乳首につけるものです」

「痛くないのですか!?」

「付けるときは痛みがあります」

意味が分からないものまで盛り沢山。


「アルネシアは良質な鉱山を抱えているから、細工品が凄いんだよ。新都や識都っていう大きな都にも良い品は多いよ。

でもね、この国の細工品の特徴はとにかく、ふんだんに使うってこと」

エールミケアさんが解説してくれる。

「ふんだん?」

どういうこと?


「普通さ、純金をまんま使うなんてあり得ないから、色々混ぜるの。

加工しにくいしね。でもこの国は素材多いから、とにかく贅沢ぜいたくに使う。

あと種類ね。とにかくありとあらゆる物を作り上げちゃう」

なるほどねー。


なに買おうかな?

ルピアにもお土産買ってあげたいし。


「首飾りはどう?いくらあっても困らないだろうし」

「いいですね!素敵です!」


首飾りのお店に行く。

「スッゴい種類ですね!もうここだけで1日過ごしたいです!」

「ええ。有名なお店なのよ。新都のお店もかなわないと言われているの」


でしょうね、なんというか、なにから見ればいいのか分からないぐらい、量が多くて、質もいい。


「うーん。どうしよう。まず、自分は……」

「なにかありましたらお声掛けください」

にこやかなお姉さんに声をかけられる。


「はいです!あの、正式な場で使用できるような、派手ではないけれどもオシャレな首飾りというとどれでしょう?」


「正式、と仰いますと、貴族、王族の場でもですか?」

「はいです!」


「ええ。それではこちらです。ああ、エールミケア様。気付きませんで、失礼しました」

エールミケアさんに気付いて挨拶するお姉さん。


「いいのよ。それよりこの娘のを選んであげて」

「はい。なかなかお値段はしますが、我々が自信をもってお勧めできるのは、こちらの一角です」


お姉さんは物入れの鍵を開け、そこに飾られている首飾りを見せてくれる。


それは

「……う、うわぁ……凄いです!めっちゃオシャレです!」

金細工なのですが、とにかくそのセンス。

涙のような形をしているのですが、とても美しい。


他にも、ダイアモンドの首飾りや、ルビーの首飾りもある。

でも、これいいなぁ


「こちらはおいくらですか?」

「はい。金貨100枚です」

吹き出す。100枚って。


「こちらはそれぐらいの価値はあると確信しております」

自信みなぎるお姉さん。

まあ、そうだよね。実際凄いし。

ふと、金貨の袋を確認するが、全部で500枚はありそう。なので


「2つください」

金貨200枚を積み上げる。


でもお姉さんは動じず、にこやかに対応。

「はい。ありがとうございます。一つは贈り物ですか?」

「はい!」

「かしこまりました。では贈呈用に包ませて頂きます」



「いい買い物が出来ました!」

「いや、凄いなぁ、買い方が」

「お腹がすきました!なにか食べましょう!」

「そうしますか。なに食べたい?」


「朝はお魚でしたので、他が良いです」

「ふむ。なにがいいかな。ああ、向こうにはないものを食べさせてあげよう」



麺。だそうな。

「なんですか!?これ?」

「麺だって。穀物を粉にしてから、またこねくり回して作るもの」

「へー。で、このスープは?」

「塩がかなり効いてるやつ。海の香りがするんだよね、これ」


「海の野菜とも合いそうです」

「さあ、頂きましょう」

フォークで食べると


「ふむ。変わった食べ応えです。なんか変に柔らかいです」

「歯のない人も食べられるそうよ」

「なるほど」

しかし、帝国は色んなものがあるなぁ。

ショッピングや食べ歩きだけで楽しい。延々とエールミケアさんと食べ歩いていた。



「明日は識都っていう所に行くから」

「識都?あんまり私知らないです」

「知識の集まる街よ。帝国の紹介には適した場所だから」

「遠いのですか?」

「転移でひとっ飛び」

「なるほどー」


「ご飯も期待しておいて。識都は色んな地方や昔の食事がでるの。食べたことがないものが多いわよ」

「楽しみです!」


わたしは、にこにこして寝ることにした。



翌日は識都。

「なんですか、あのでっかい塔は」

街のど真ん中に、デカい塔があるのだ。

「あれがこの街の名物、知識の塔よ。ありとあらゆる知識が集う場所」

「へー」


なんか凄いな。

「ミルはそんなのよりご飯でしょ?」

「話が早くてなによりです!」

ごはんー。

すると、何故か男たちに囲まれた。


「なんですか?」

エールミケアさんが堂々と対応する。

「申し訳ありません。龍族のエールミケア様と

お見かけします。ハイリンケル特別顧問がお呼びなのです。塔に来て頂けますでしょうか?」


ハイリンケル。その名前に、エールミケアさんの顔は青ざめた。



エールミケアさんは遠距離会話装置で誰かと話す。多分相手は龍姫。


すると

「話がついたわ。行きましょう」



その人は老人だった。

白髭、床につきそうな長い白髪。しわだらけの顔。

でも背筋は伸びている。


「わざわざお呼びだてして、申し訳がない」

「いえ。この会話は龍姫様に繋いでおります。私に用では無いのでしょう。龍姫様だと思ってお話ください」

「話が早くて助かりますな。要件は、私の娘二人を、聖女と、龍姫に預かって欲しい」


その瞬間、エールミケアさんの遠距離会話装置から、怒鳴るような声が響いた。


「りゅ、龍姫様、落ち着きください。ご返答は?いかがいたしましょう?」

エールミケアさんは慌ててる。


娘、か。

その不自然なまでに姿勢が良い姿。

そして、ローブで隠れているが、筋肉のみなぎりを感じる。


「龍族ですか」

「ふむ。龍姫に聞いたのですか?」

「いいえ。勘です」

「なるほど。器とは言え、聖女転生体なだけある」


目の前のおじいちゃんは頷く。

「男性の龍族など初めて見ました」

「私が唯一の成功例です。他の者は皆死んだ」


「ドラゴンハーフのお子さんですか」

「子供など不要だと思っていたのですがな。老いとは恐ろしいものだ。

どうしても自分の後継などという夢を見てしまう。二人は双子なのだが、問題があってね。

龍姫と聖女の妾に分けて入れれば、会わなくなるから良いと思ってな」


あ、またエールミケアさんの遠距離会話装置の怒鳴り声が強くなった。


すると


「馬鹿ニールが!?あんたの不始末をこっちに押しつけるな!!!」

突然。

転移で龍姫が来た。


「ほう。転移妨害があるのだが」

「私が本気になれば出来るのよ!ドラゴンを舐めるな!」

凄い怒ってる。


「いい!あんたの双子が人殺しまくってるのは知ってるわ!でもあんたが教育をしないからでしょうが!あんな危ない双子預かれるか!?」


「二人だから厄介なのだ。バラバラにすれば良い」

「逃げ出すに決まってるだろ!馬鹿!そもそもドラゴンハーフを龍族にするなんて絶対にしないからね!」

言いたい事だけ言うと、すぐ龍姫は消えた。


「龍姫様のご命令は絶対です。我々は預かりません」

「仕方あるまい。そちらはどうだ?」

「会わないと分かりません」

「そうか。では地下にいる。会ってほしい」

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― 新着の感想 ―
[一言] ニールぇ………………………。 色々見失いながらも眠りにもつかなかったんか……
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