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第2食目:生の豆を皿にぶちまけた物

翌日。

寮の朝ご飯は穀物だった。

「同じ食事!?」

「毎朝そうよ」

「地獄ですか!?」

「あなた、召使い扱いだの、転生体候補として無視されたりしても、全く動じないのに、食事の事だけはアレなのね…」


「私は放置は慣れているのです」

そんな事よりもご飯だー。

「しかし、教師も全然あなたに関心払わないし、ジュブグラン様のお言葉じゃなかったら、信じられなかったわ」


ルピアが呆れたように言う。

「前の自殺された方も全然大切にされていなかったのでしょう?」

「……というか、この学園の存在意義を疑ってくるわ……」



学園での生活。

「わたくしたちは、聖女様の転生体候補生なのですよ?一時も気を安らぐ瞬間など有り得ないのですよ?」

あくびしたら怒られました。


「申し訳ありません。未熟なので」

すぐ頭を下げる。

「素直ですのね。おわかりになればいいのです」

その人はすぐ去った。


「ルピアー。あの人えらい人?」

「ええ。この学園ではね、有力候補が3人って言われているの。その筆頭格があの人、マイセクローラさん」


「ほうほう。媚びをうらないと生きづらそうです」

「……本当はあなたが転生体らしいけど、それでいいの?」

「別に私にこだわりないですし」

正直実感もありませんしね。

それよりもご飯を美味しく頂くほうが重要です。



授業を見ていると、皆は本当に真面目で真剣だった。

教師の話をちゃんと聞いている。

わたしはいきなり来たのでさっぱりついていけません。


「聖女様の能力のうち、もっとも重要なのは信仰エネルギーです」

先生は記号を書きながら解説をする。


「聖女様のエネルギーの受容には、2つパターンがある。能動と受動。儀式をしなければエネルギーが得られないのが能動。儀式なしで、エネルギーがなだれ込むのが受動エネルギー。聖女様にとっての受動エネルギーが各信徒の信仰エネルギーなのです」


へー。そうなんだー、と思いながら聞いてる。


「聖女様、そしてそれを支える妾達は、この信仰エネルギーを如何に広げるかが重要なのです。聖女様へ感謝の心を広げることです」

感謝、感謝。わたしもおいしいご飯を食べられる都に来たことに感謝しまーす。



おひるー

「まめーまめーまめー」

「先に言うけど、毎日これだから」ルピア。

生の豆が皿いっぱい。


これをコリコリしながら食べる。

味?固すぎてよく分かりませんね。


「貴族の残飯より底辺というこの屈辱、忘れませんよ」

「……一応ね、この食事は高級食なのよ。生の豆って普通食べられないからね」

「煮て食わせろー!」


高級ならなんでも良いわけじゃないのは、前の生活でもそうだったなー。


召使いの皆さんのご飯の方が美味しいことが多かったしなぁ。


学園の食生活は不満だらけだ。

なんとかしたいなぁ。



お楽しみな夜

「ルピアー!行くよー!」

「今日も行くの?」

ルピアは呆れたように言う。


「念のため聞きますよ。このまま寮にいたら、晩御飯はなんですか?」

「朝ご飯の残りの穀物」

「地獄かよ!?うちの領民の奴隷の人達だって、もっとちゃんと食事してましたよ!?」


「聖女様のお力で、飢えとか無くなったからね。肉と魚と果物が食べられるなら食事に困らないからそうなんでしょうね」


「穀物と豆しか食べてなくてなんでみんな生きてられるんですか!?」

「穀物も豆も凄い栄養なのよ、あれ。生で食べるのが一番健康に良いのよ」

「美味しくないし」


「あははははは。お前、転生体筆頭なのがよく分かるよ」

また唐突に

「ジュブグラン様!」

「おばあちゃん、こんばんわ!」


「ふふふ。おばあちゃんと呼ばれるのもいいね。ルピアもそう呼んでいいよ」

「そ、そんな」

「今日は飯屋に連れて行ってあげるよ。子供だけじゃ屋台しか行けないだろう?」

「わーい!賛成です!」


「い、良いんですか?」

「楽しみなよ。せっかくなんだからさ」

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― 新着の感想 ―
[一言] 転生が上書きならこの教育って欺瞞なんだよな………あれ?確か転生候補って、転生が発生したときに、その代の候補って……
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