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第21食目:豆のミルクと、豆の砂糖煮

ルピアとタチアナさんが呼び出された翌日の学園では先生からはなにもなかった。


タチアナさんがいなくなっただけ。

しかし生徒のざわつきは収まらない。

そして、今日。

学園生は校庭に集められた。


「まず既に皆さんがご存知の事からお伝えします。タチアナさんは国に戻られました。王になるために」


王になる。のくだりでざわめきが起きる。

タチアナさんが国に帰るまでは知っていても、王とは思わなかったのだろう。


「そして、聖女様の許しを得て、5人がタチアナさんに付き添い、学園を離れます」

「はあ!?」

ビネハリスさんが叫ぶ。


「ビネハリス、下品です。叫ばないように」

マイセクローラさんが注意。

でもマイセクローラさんの身体も震えている。


「お待ちください!先生!学園を抜ける?候補生がですか?」

ヤファさん。

「既に転生体は確定しました。それ以外の娘であれば、特例で認めるとの事です」


ざわめきが収まらない。


そして

「次です。ルピア、前に来なさい」

「はい」


ルピアが先生に呼び出される。

「……なに?ルピアまで学園抜けるの?」

隣の人が独り言を言うが


「聖女様から、新しい後宮の主について任命がありました。ルピアが、就任します」


その言葉に、マイセクローラさんが卒倒そっとうした。


「マイセクローラ様!?」

取り巻きの人達が、慌ててマイセクローラさんを抱きかかえる。


「後宮の主枠もなくなったかー」

ビネハリスさんが苦笑いしている。


「……ルピアが後宮の主、ね」

苦虫をみ潰したような顔をするヤファさん。


「ルピアは特別なカリキュラムを受けてもらいます。ルピアとの接触は避けるように」

あり?話が違う。


「ミルティア。あなたには、ルピアに世話になるように私が指導しました。あなたは特例です。お昼を食べるときと、寮生活でのルピアとの関わりは認めます」


「はい!ありがとうございます!」

よかったー。


「マイセクローラ、意識戻りましたか?」

「も、申し訳ありません。はしたないところを……」

「マイセクローラ、ヤファ、ビネハリスの3人もルピアとの接触を認めます」

3人の顔が引きつった。

「以上です。タチアナさんに付き、学園を出る生徒は準備をするように」



終わったらトイレに呼び出された。

「ルピアから、私のことなんて聞いてる?」

ヤファさん。

「有力候補のお一人だと」

「……その、悪口とか」

「ルピアは私に、人の悪口などを言ったことがありません」

「……そうね。ルピアはそうでしょうね」

ヤファさんはため息をつく。


「ごめんね、急に呼び出して」

「いいえ。あんな事を言われたらビックリして当たり前です。私は来てあまり時間が経ってないので、実感がないだけで」



トイレから出たら別室に連れ込まれました。

「ルピアは、私をなんて言っていたの?」

マイセクローラさん

「有力候補のお一人だと」

「誰かと比較は?」


「ルピアは悪口とかを言うタイプではありませんでした。ただ、ヤファさんは15を超えられたので、マイセクローラさんが筆頭だろうと言われていましたが」

明らかにホッとした表情を浮かべる。


「タチアナさんのことも高く評価されていました。マイセクローラさんが15を超えたら、タチアナさんが最有力候補だろうと」


「ルピアは冷静ね。ありがとう。落ち着いたわ」


別室から出ると、今度はビネハリスさんに捕まりました。

たすけてー。


「……まあ、捕まえておいて、話はないんだけど」

「意味が分からないのです」

「マイセクローラと、ヤファに捕まったでしょ?」

「はいです。ルピアはどう話していたかと」

「ルピアはあなたのような人に、人の悪口を言うようなタイプじゃない」

「そうです」


「……ルピアが後宮の主ってことはね、必然的に、次期聖女との仲は悪くないってことなのよ」

「……まあ、仲が悪いと困りますものね」


「ルピアは孤高ここうではあったけれども、面倒見はよかった。誰かと仲が悪いみたいなのは無かったんだけど、ヤファとの仲が良好とは言い難いかな」

苦笑いするビネハリスさん。


「そうなんですか」

「まあね。これでいくと、マイセクローラかな?」

「ビネハリスさんは?」

「わたしはありえないよ」苦笑いする。


「なにか困ったら言いなさい。どうせ私に失う物なんてないから」

ビネハリスさんはそう言って離れた。



「るぴあー」

「はいはい」

お昼にルピアと別室で会う。


「ルピアがいないとですね、絡まれやすいのです」

「ヤファとか?」

「3人に絡まれました」

「まあ、私のこと知りたいだろうからね……」

苦笑いをするルピア。


「まあ、それはともかくお昼ごはん……」

机を見ると


「ミルク!?いえ、学園にミルクは出ない!となるとお豆のミルクですか!?」

「正解だよ。ミル」

カリスナダさんがいた。


「これからお昼は毎日私の手料理だから」

「天国ですか!?」

「もう後宮の主って発表しちゃったから、囲って問題ないだろーしね。ミルはそのオマケ扱いでも誰も疑わないよ。念の為、他の有力候補3人も同じ料理なんだけどさ」


「なるほどー。で、今日はなんですか?」

「お豆のミルクと、お豆と穀物の砂糖煮」

「いつもの豆地獄ではありますが、全然雰囲気が違いますね!美味しそうな匂いもします!」

「素材なんて使い方だからね」

=========================================



ミルが出て行った教室では騒ぎが起こっていた。

マイセクローラ、ヤファ、ビネハリスの三人だけ昼食のメニューが違う。

「あ、あの、これは」

困惑したように言うマイセクローラ。


「皆と同じ豆です。調理をしているだけです」

教師が答える。


「この三人だけ、特別というのは」

「説明はできません。これが答えになるのでは?」

教師の言葉に黙るマイセクローラ。


「まあ、せっかくだから頂こうよ。美味しそうだし」

ビネハリスは不思議そうに豆のミルクを見ると

「これも豆なの?まあ、飲んでみるけど……」

おそるおそる口につけると、そのまま一気に飲み干す。

「うまいし!」」

ビネハリスはびっくりしたまま言う。


「あれ?じゃあ、これも?」

穀物と豆の砂糖煮を食べるが

「お、おいしい。あまい」


甘い、という言葉に反応して、他二人も食べる。

「す、すごい。この料理」

「こんなにおいしい豆料理、食べたことがありません……」

周りは羨ましそうに三人の食事を見ていた。

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― 新着の感想 ―
[一言] え、みんなと同じテーブルで違う料理か……いや、接触を許してる時点で特別扱いは見えてるから問題ないのか。 色々あるだろうけど、とりあえず昼飯が美味くなってよかったねw しかし、意図が読めぬ…
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