表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/47

第11食目:海の野菜のスープ

「あ!ミルティア。珍しいね、一人かい?」

オーディルビスのお姫様、タチアナさんが話しかけてくれる。


「おはようございます!タチアナさん!待ちきれなくて一人で来ちゃいました!」

「にゃははは!そうだよね!わたしもそうだよ!楽しみな食事があってね」

「食事ですか!ご一緒してよろしいでしょうか!?」

「もちろん!君は好き嫌いはないかい?」

「わたしは、どんな物でも、まずは食べられないかと、かじりつくタイプです」


「いいね!いいね!結構好みが分かれる料理なんだけど、君なら話が合いそうだ」


タチアナさんは面白そうに笑うと、屋台に着く。

それは

「???なんですか?これは?初めて見ました」

緑色のデカい……なんだこれ?葉っぱ?


「海に野菜があるのって知ってる?」

「すみません、全然知らなかったです!」

「これは海で育った野菜さ。オーディルビスではよく食べられたんだけど。聖女候補になってからは魚が食べられないからさ、これが唯一の故郷の味ってね」


海の野菜のスープ。

「なるほど、取りあえず食べます」

「どうぞ。好きになってくれるとうれしいな」


初めて嗅ぐ匂い。海の匂いというやつかな。

一口飲むと

「おおう!これは!塩が効いていますね!」

海の野菜を口にすると

「む!新しい食感です!柔らかいけど、噛みきるのに時間がかかります。味が染みているから、それでも美味しいままですね!」

「あははは!凄いね!グルメだなぁ」

「タチアナさん!これ美味しいです!」

「ありがとう。嬉しいよ」


にこにこしながらタチアナさんは笑う。

二人で談笑しながら、スープを飲んでいた。



バザーの続き

「ミル、貴女こういうのは早いのね」

ルピアが呆れながら来る。


「ルピア、私はもう二軒の屋台と、二つの買い物が済んでます」

「……早いなぁ」


「ルピアはなにを買うのですか?」

「ああ、服も見たいけれど、必要なのは髪留めとかの小物ね。傷んできたのよ」

「あ!いいですね!付き合います!」

「ええ。行きますか」


髪留めのお店の人は妖艶なお姉さんだった。

「さあ、お手にとってお確かめください」

どれも凄い高そうだけど、ルピアは迷わず手にとり確かめる。


「金の髪飾りって、上納品(貴族への特別な贈り物)以外でも売っているのですね」

「お目が高いですわ。通常、金の髪飾りは市場に出回るものではありません。これは帝国からの出回り品なのです」


やっぱりこういう細工系で素敵なのは海の向こうの帝国のなのかぁ。

カリスナダさんも言ってたね。

うちの大陸は色々満たされすぎて、あんまり工夫がないって。


「お値段でどれぐらいするのですか?」

「はい。本来出回る品ではありませんから、どうしても高額です。金貨五枚は頂きます」

たかっ。

買えないことは無いけどやめておこう。


「そうですね、金の細工にご興味があるならば、こちらは如何でしょうか?金の髪留めです。髪飾りのような目立つものではありませんが、逆にアクセントとしては最上級のものです。この品も帝国の物ですが、あまりの美しさに多めに仕入れてしまいまして」


その金の髪留めに引き込まれる。

凄い。オシャレ。


「おいくらですか?」

もう金貨入りの袋に手を突っ込んでいる。

「驚かれないでください。この出来ですが、大量に仕入れましたので、お手軽な値段でお渡し出来ます。金貨一枚……」

すっと、一枚出す。


「ふふふ、ありがとうございます。やはりお気に召しました?」

「最高すぎです。なんか魔法みたいに引き込まれました」


「ミル?なに買ったの?あんまり無駄使いは……」

その髪留めを見ると

「これください」

ルピア。速攻じゃないですか。


「ありがとうございます。留め具の色は選べるのです。お二人で色を変えられると良いかと」

「是非!私は青系で!」

「私は白系」ルピア


すると

「まあ!素敵な髪留めね!とてもオシャレだわ!」

マイセクローラさん。


「留め具を変えて差別化出来ます。加工費頂ければ、形状も変えられます。もっとも金細工は変えられませんが」

他の生徒と同じ品物は欲しくない。みたいなワガママにばっちり応えられる品揃え。凄い。


「あ!じゃあ私の形状変えて欲しいです。この留めの角度を……」ルピア

「ええ。その細工でしたら銀貨一枚で承ります」


「私はどうしようかしら。留め具色だけでいいかしらね?でも本当に素敵。これ何個用意しているの?」

「30仕入れましたが、ここには10です」

「金貨二枚ぐらい?」

「いえ、一枚です」

「まあ!じゃあ5つ欲しいわ。こんな素敵な髪留め、見たことないもの」

大人気。


マイセクローラさんの取り巻きが集まってきたので、私は離れる。



そろそろお昼ご飯の時間。

混む前に先に食べちゃおうと思い屋台を回るが


「やっばり果物が多いのですね」

半分以上が果物のジュースや、果物の詰め合わせだった。


「一つ銀貨一枚って、やっぱり高いよね~」

珍しい果物多いから仕方ないんでしょうが。


そんな中、果物以外を見ると

「おお。お菓子ですか」


お菓子。穀物を砂糖に漬けこんだ、保存ができるもの。

お子様に大人気。

わたしはお子様なのです。

さっそく頂きましょう。


「お菓子ください」

「はい。どうも。このみつに漬けて食べてください」

みつ?」

見ると


「これはキラービーのみつです。とても甘くて……」

おじさんの話は半分しか入って来なかった。


みつ!?蜜水みつすいとかのみつですか!?」

あまーい、あまーい、みつ


キラービーなどの、凶暴な昆虫が、花のみつを集めて、巣に保存しているもの。


この甘いみつ、当然のように価値がある。

なにしろ節制の制約にも引っかからない。

お花のみつを集めたものだからね。


ところがだ。みつは高い。

めったに捕れないからだ。

人に害を与えるキラービーは聖女様のお力で殆ど駆逐くちくされてしまった。

現存数が非常に少ない。


蜜水みつすいと呼ばれる、みつを垂らしたお水。

このお水一杯で銀貨一枚。


お水が銀貨一枚ですよ?貴族や大商人以外は飲めません。


そんなみつが!直接漬けて食べられる!


「凄い太っ腹ですね!わたしみつを直接漬けて食べるなんて豪快ごうかいな食べ方初めてみました!」


「実はね、うちもここだけだよ。いや、ここの学園は金払いが良いからね。色んな食事が提案できる」


お金万歳。

さっそくみつに漬けて食べると

「あ!甘い~!甘い!!!」

甘さが口いっぱいに広がる。

純粋な甘さ。

凄いなぁみつ


キラービーさん、頑張って生き残ってみつをこれからも集めてください。



そんなこんなでバザーは楽しく過ごした。

戦利品沢山。

屋台は結局7品食べ歩いた。

お腹いっぱいです。


にこにこして帰ると、おばあちゃんと、カリスナダさんがいた。


「おばあちゃん!お小遣いのおかげでめっちゃ楽しかったです!!!」

「それは良かった」

頭を撫でられる。


カリスナダさんが、凄い不安そうな顔をしている。

なんだろう?


「ルピア、ミル、よく聞きなさい。この前の話が現実化した。転移で明日くる。アラニア公国の狂公の娘、エウロバが」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ