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ドワーフ搭乗専用大型ロボット兵器、略してドボット

 教会でスコアの確認をした後、ユキノとして精霊騎士団の円卓の間へと向かった。



 ちなみに今回の会議は全員出席ではない。


 今回、円卓の席に座るのはスノー、アリッサ、アゲイル、奏、メロンソーダ、アモン、オルレ庵……以上7名だ。ちなみにプレイヤーだと、アモンの相方であるダンテさんが不在である。相変わらずあの人はブラック勤めらしい。



 ルピアとティンに関しては他の戦闘系プレイヤーと違って、既にエルタニアを出て、次の作戦活動に移行しているらしい。俗に言う、裏工作部隊だ。



 いつも通り、アリッサが最後に円卓の間に現れて、一番奥の王席に座ってから、ラックさんが挨拶をする。



『さて、まずはお礼を言おうかな。みんなのお陰で順調にココまで作戦が実行できて、ホッとしているよ。ありがとう。……まあ一部、予定外な事もあったけど、概ねの支障はないだろう。だから、以前の作戦をこのまま進めようと思う。


 それで、今回は各々の成果報告を聞きたいんだけど、まずは抵抗軍としてゼタ君の話を聞きたいかな』


「はい。とりあえず相手がマヌケだって事がよくわかりました」



 今回、抵抗軍を立ち上げて防衛戦を何度かして思ったのだが、ドワーフプレイヤーの連中は搭乗型ロボットの強みに浮かれているのか、全く対策ができていなかった。


 具体的にはスノーの氷属性の魔法に対策を講じる事がなかったり、個人で出撃して連携をする気配がなかったり、あとは計画性がない作戦ばかりを行なってきたり……。悪い点を上げるとキリが無いな。とにかく、個人戦に特化しすぎて戦略的な技術が欠如していた。


 正直、戦いなれてくるとプレイヤー同士の対戦というよりは、ちょっと厄介な魔物くらいの強さでしかない。


 そういった事をオブラートに包みつつ、皆に説明するとラックさんは鼻で笑ってからありがとうと言ってくれた。



『やっぱりそうだろうと思ってたよ。ダンケルクへ視察に行った時、彼等は現代兵器に対する戦略の理解が少なかったからね。多分、アクションゲームは慣れてるんだろうけど、シミュレーション戦略ゲームとか、あんまりやって来なかったんじゃないかな?』


 まあ、確かにそんな感じだった。彼等には(リーダー)が居ないんだ。各々が好きに動いていて統率ができていない。だから全体的に押せ押せでしか動かないし、行動がワンパターン。横での情報交換が疎かなのも見え見えだった。


 ただ、ドワーフの大型ロボットが決して弱いという訳ではない。あれはやはり厄介だ。耐久力もあるし、接近戦は不利だし、状況が悪ければこちらが負ける未来だって当然ありえる。



 ……どうでもいいが、なんかいつまでも大型ロボットって言うのも面倒だし、何か愛称でもつけたいな。

 ドワーフが乗ってるロボットだから、省略して『ドボット』とかどうだろう。よし、今度からこれを使ってみよう。はやく使う機会、来ないかなぁ。



『次、メロンソーダ……は、寝てるね……。ころぽんさん』

『ご、ごめんなさい……。私から説明させていただきます。魔法による防衛線についてですよね?』

『はい、お願いします』


 相変わらずだな。でも俺は応援するよ。むしろ枕と毛布を用意して暖かくなれるようにカイロだってオマケしちゃいたいくらいだ。この時期は寒いからね。


 寒いといえばこの世界……というよりかはエルタニア地方に限った話なのだが、季節が3期しかないらしい。それぞれ、朝期、昼期、晩期と呼ぶのだが、まあ春、秋、冬が繰り返されるといえば話が早いだろうか。

 夏はないし、冬は冷えるだけで雪は降らない。天候に関してはかなり落ち着いているようだ。ただ、晩期になると作物の収穫が不可能となり、豊穣の神やその眷属達が休眠する……という設定らしい。



 だから見た目ではわからないが、冬のような期間は存在するのだとか。


 で、今はその晩期に入りかけている時期なのだそうだ。



『まず、エルタニア全方位に対策を講じるのは時間がかかるので、ダンケルク方面にのみ働く飛来物感知レーダーを配備しました。魔法陣は巨大で移動困難なので、今は魔法学院のソーダの第二研究室に設置してあります。使っている魔力は微々たる物らしいので、センサー自体は常に稼動しています。


 それとミサイル迎撃システムですが、先に謝っておきます。すみません……作ってくれませんでした』


「え……作ってくれませんでしたって……」



 それ、大丈夫なのだろうか。



『一応、何かが飛んできたらソーダが責任を持って処理するそうなので、まあ、そこは多分、大丈夫かと……?』


『……作れなかったじゃなくて、作ってくれなかったというのが、またなんともメロンちゃんらしいね』


 天才肌独特の自己完結理論が発動しちゃってる感じがするなぁ。まあ、どうにかすると本人が言ってくれたらしいし、信用しておけばいいか。きっと僕等のドラえ○ん様なら何とかしてくれるさ。


『ただ、その代わりと言ってはなんですが、面白いモノを作ってくれたので、後でそれを見ていただければと思います』



 ほう、それは気になるな。まあ、それは後のお楽しみらしいので、そのうち拝見させてもらおう。




『じゃあ最後、武器開発のオルレ庵くん。敵のロボットを無力化できる武器とかできた?』


『え……と。その、まず何処から説明したものか……』

『あー。私からも説明するわ。ブラックさんの言ってた雷属性が弱点とかいう話なんだけど、ちょっと事情が違うみたいでさ』


『というと?』


『あの大型ロボット、燃料は魔力みたいなの。しかもその魔力は空気中から取り込んでる』


『え……なにそれ。初耳なんだけど』


『これはユキノとゼタくんが鹵獲した大型ロボットを解体しててわかった事なの。だから知らなくても仕方がないし、嘘偽りのない事実よ』


『あと、すみません。注釈を……。厳密には魔力が元となっているだけで、魔力から更に別のエネルギーに変換されているみたいです。その辺は鑑定眼で名前だけは判明しているんですが“ファイⅢ”なんていう、聞いた事がない物質が生成されているようです』


 なんだ? そのファイⅢ……って。よくわからない単語というか、造語が出てきたな。



『流石、鑑定眼持ちだね。ちなみにそのファイⅢというのは、具体的にはどんな性質なんだい?』


『す、すみません。僕の鑑定眼でもそこまでは、よくわかりませんでした……』


 肝心の部分がわからないのか。ちょっと残念だな。


『たぶんレベル不足なんだと思うわ。それはともかく、中の部品を解体してわかったのは、空気中の魔力を吸い込む“吸引装置”、魔力をファイⅢに変換する“ジェネレーター”、ジェネレーターで作られたファイⅢを貯蓄する“バッテリー”、他にFC(火器管理)装置だとか四肢操作盤とか色々あったけど、とりあえず弱点と呼べるのは魔力を燃料にしているって点だけだったわ』


『と、いうと?』


『毒ガスを作りました』


 ……うぉい……。条約違反しちゃったかな。いや、こっちの世界でそれがあるのかは知らないけどさ。流石にまずくないか……?


『魔力変換時に異常を起こす毒ガスを作りました。魔素自体が変質して、周囲の細胞と結合して石化する仕様です。これがジェネレーター内で変質すると異常現象が起きて不良動作が発生します。毒ガスは見えない気体なので、相手は気付くことなく吸引して行く事でしょう。完璧な作戦です』


『……それ、人体に影響は?』


『もちのろんよ! 呼吸器官や肺が石化して天国コース間違いなし! コレさえあれば戦争なんて楽勝で勝てるわよ!』


『却下! 却下! そんな味方まで被害でそうな兵器は絶対ダメ! というか方法がマッドすぎるよ! もっと他にないの!?』


『錬金術師はコレが基本戦術なのに……他なんてないですよ』


 オルレ庵くん、毒戦術が基本だったんだ……。ちょっと怖いな。

 というか、どうなるんだ……。先行きが不安になる事案が二つもあるんだけど……。



「えっと、ラックさん。とりあえず、どうしますか?」

『ちょっと、武器に関しては僕がテコ入れしながら整えるよ。二人とも、途中報告で自信満々だったから大丈夫だと過信しちゃってた……』


 そりゃあまあ、完璧な作戦だったんだろうな。ただし、二人の中だけだけど。




『とりあえず、今後の戦闘配置場所についても説明していくよ。まずゼタ君は引き続きシターニア大森林で――』




 とまあ、出鼻を挫かれつつも、戦争準備は一応、整っていった。


 しばらくすると、俺たちはまたシターニアへと戻って行く事になる。心残りがあるとすれば、ドボットを広める機会が全然なかった事かな。残念だ。



 ちなみにメロンソーダが作ったモノとはドボット専用の地雷だった。

 これもこれでどうなんだ?

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