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先生、教えてください!

 九月も終わり、早いものでもう十月である。


 アリッサ達はドワーフの国“ダンケルク”へ行き、色々と見て回って、話し合いをしていると聞いている。


 なんでこれ程までに時間が掛かっているのかと思うかもしれないが、会談の場を設けるのにアッチもコッチも考える事もやる事も多かったらしい。一時期、精霊専用の地下牢を作ってた時みたいな状態かもしれない。


 割とのんびりしていたように見えたのだけど、当人達は大忙しだったらしい。



 そんな中、俺は同じチーム内のプレイヤーの一人、リト(Re:To)さんに会っていた。場所はいつもの“ぴよぴよ亭”である。



 自分で作った動画を評価してもらうためだ。



 そして――


『……コメントに困るね、うん』


 ――結局こんなコメントだった。



「なんで皆そんな風に言うんですか……」

『いや、うん。初投稿の奴もそうだったけど、言動が酷いのが多いよね』

「ダメですか?」

『ううん。毒舌トークは人を選ぶしねぇ。それに、映画ネタは見ていて面白いけど、ネタがわからないのとか多いし……』

「ショボーン」


 さらに、あれがダメとかコレはこうした方がいいとか、ダメ出しを一杯貰っちゃった。


 集約するとパロネタは控えろという事だった。正直、それが一番辛い……。



『でもまあ、例の活動に関しては効果がちゃんとあるんじゃないかな。最近、徐々にだけど違反プレイヤーも減ってきたし』


「“エルタニア警備部24時”はリトさんのアイデアじゃないですか……」



 自分の実況動画は現在、他人に迷惑をかけるプレイヤーを取締る内容の動画にしている。

 悪いことする奴はスノーが逮捕しちゃうゾ、という具合だ。八月とやっている事があまり変わらないけど、こっちの動画は何故か知らないけど妙に人気がある。


 まあ、実況動画……というかナレーション入れやすいからだろう。元々が某24時の番組をマネしちゃってるだけだし。

 構成もそんな感じだし、なによりお手本があると作りやすい。



 本来、違反者を取り締まるのは運営側仕事だと思うんだけど、このゲームにはそれがないからなぁ。


 それに、俺は本当はそういうのがやりたい訳じゃあないんだ。もっと、こう……ありのままの俺を受け入れてほしいんだよ。別にスノーの活躍だけ編集した動画を上げても全く嬉しくないんだよぉ。


 それなのに地元チームの人達にも「思ってた動画と違う」「GBの動画上げるのかと思ってた」「ゴメン、このゲームは知らないんだ」と言われて、それっきりだ。皆冷たいよ。



 ハァ、つら過ぎ、つらたん。……言い換えて、辛過つららたん。……うん、なんだか名前がカワイイぞ、今度から辛い時は使ってみよう。



『ゼタ君の実況動画の効果でエルタニアに限り、民度の低下も落ち着いた。この貢献は他の誰も真似できないよ』


「……真似したくないの間違いでは?」


 そのお陰で、スノーの能力は八月とそれほど変わらない。ちょっとレベルが上がっていたり、武装で短刀を一本新たに作っただけだ。


 その新たな武器というのも、純然たる武器とも呼べない暗器のようなものだった。


 作った暗器は、手甲に仕込む細身の直剣である。……完全に某暗殺者のゲームの武器だ。


 オルレ君に頼んだ素材が、誰かさんのインスピレーションとやらで、こんな事になってしまった。今後の主兵装の一つとなるべき武器が、ただのネタ武器になってしまった。いや、装備しますけどね?


 ちなみに黒い角はウサギのモンスターで有名なアルミラージの角らしい。刺突性能が高く、厚さ1cmの鉄板でも容易く貫くのだとか。

 それに黒色なのは呪詛が込められているからとかで、恐らくはもともと異名持ちネームドの個体だったのだろうと推測された。


 呪いの効果は実際に使ってみないとわからないらしい。まあ、暗器を使う機会が今のところ無いので、しばらくはおざなりになりそうだった。




 スノーと奏が夕飯を済ませている間、リトさんと何が最近の流行だとか、動画作りはどうすべきとか、そんな話を続けていた。しばらくして話す内容も徐々に行き詰まってくると、携帯にメッセージが届いた。


「……お、ラックさんからだ」


 精霊騎士団グループから会議の打ち合わせ日を確認する日程が送られてきた。どうやらもう帰ってくるらしい。


 ついでにアリッサ達が見ている情報をスクショして画像添付してグループに貼り付けてくれていた。


 そこには近代都市化が進んだドワーフの都市の姿が映っていたり、以前戦った大型ロボットの改良機や、大型の銃やランチャー、さらには建造途中の巨大な船のような形のモノまであった。


 なんでか巨大なモノばかりを作っていた。……ロマン、かなぁ。


 とりあえず、アリッサ達は順調に情報収集は進んでいるようだ。



「相変わらずドワーフはズルいなぁ」

『そうなのですか?』

「そうなんだよ。本来、ドワーフって連中は銃が使えない種族なんだよ。それをロボットに乗る事で克服しちゃったんだよ……」



 サモルドにおけるドワーフとは、武器製造での主役でありながらも戦闘面でも引けを取らない、まるで戦闘民族並みに優れた種族でもあるのだ。



 その理屈はドワーフの効率にある。


 ドワーフに限り、戦闘以外でも経験値やスコアが貰える項目がある。それが鍛冶だ。


 鍛冶を行うと経験値が手に入る。その時に鍛えた武器を自分で装備すれば、そのまま自キャラの戦力に直結する。


 戦力が高くなるとダンジョンにも挑みやすくなる。ダンジョンで素材を手に入れる。手に入れた素材で武器を作る。また新たなダンジョンへ行く。その後はループだ。

 この繰り返しがテンプレとされており、これこそが初心者にオススメされる最大の理由である。


 そして何より、復帰が早いのだ。

 新しく始めるプレイヤーにとっても、死んでやり直しをするプレイヤーにとっても。



 だからドワーフは人気もあるし、上位陣にも入りやすい。



 そんなドワーフでも苦手なものがある……いや、あった。


 それは『種族特性で飛び道具が使えない』という点だった。本来は銃も弓も使えなかった。一応、魔法は使えるけれど、他の種族と比べると中級止まりでそれほど強くもない。


 運営としては、本来はそれで多種多様な種族でもバランスが取れるはずだったのだろう。


 だが、ドワーフが大型ロボットに搭乗できることにより、バランスは脆く崩れ去った。


 操縦スキルという物があらたに発現された以後、ドワーフ族のエース級プレイヤー達はロボットを製造したり、あるいは乗り込んで戦闘に出撃しているらしい。ドワーフまでSFの世界観に入っちまった。もはやあっちも別ゲーである。



 現在、ネットスレでの強キャラ(種族部門)ランキングでは以下の通りだ。



 SS:ドワーフ

  S:人間・オートマタ

  A:獣人・半魔人

  B:-

  C:-

 ~越えられない壁~

  E:エルフ



 俺は悲しいよ。主にエルフに対する扱いがさ。


 まあ、しょうがない。運営の取り決めたバランスが悪い。それでもスノーは強いし、異名持ちの魔物にも十分戦えている。……ドワーフとオートマタの戦闘手段がおかしいだけなのだ。



「とりあえず俺は日程いつでもいいですよっと。ユキノも問題ないか?」

『はい。大丈夫です』


 さて、いったいどんな事が話し合われていたのか……会議の日が楽しみである。


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