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クロステラ ― 俺のパソコンと異世界が繋がっている 作者:白黒源氏

エピソードゼロ

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偽ハイエルフVS人型ロボット兵器

 そんなフレデ○VSジェイソ○みたいに言われても……

 目の前の奇妙な機械族(?)は、どうやら戦車ではなくパワードスーツという存在らしい。



『いやぁ、履帯痕だったから戦車かと思っちゃってたよ。……まさかのガンタ○クだったとは』

「感心してないで早く助けましょうよ」



 そういうとゼンタロウが体を操作し始めた。やっと真面目に戦うつもりらしい。


 足に力が普段以上に入り、二人のエルフに向かって一直線に駆けだした。

 二人のエルフと大きな機械族との間に割り込むと同時に、魔撃で氷の厚い壁を作りだした。突然現れた氷壁に鋼の巨体が突き進もうとする。……が、一部の氷は砕いたものの、股の部分に引っ掛かり、勢いが殺されてその場で止まった。



『Hey、そこのナイスロボット! STOPしな!(……スノー、ちょっとカッコイイポーズして)』



 なんだろう、その変な言葉遣い……。あと小声の変な指示はやめてほしい。



『なんだ? お前プレーヤーか?』


 それに反応する相手の精霊も何なのだ。彼らのコミュニケーションは本当によくわからない。


 しかも相手の機械族……ロボットと呼ぼう。ロボットの胴体、ガラスの板の部分が上に開かれて、中からドワーフが現れた。もっさりとした茶髭が特徴的で、ゴーグルと鉄ヘルムを装備している。




「なんじゃあ!? 急に邪魔しおって!」



 開口一番の怒鳴り声だった。機械族から聞こえてくる鼓動に全く負けていない声量だった。


 何か引っ掛かる態度だったが、とりあえず背後で呆然と私を見つめているエルフ二人に視線を向けて、手で逃げろと仕草をしておく。彼等はなにがなんだかといった様子だったが、状況を理解した後は早かった。


 二人のエルフは二度と振り返ることなく、その場を去っていった。話が早くて助かる。



『あーあ、逃げちゃった。どうしてくれるのさ』

「折角の狩りが台無しだぞ」

『そうだぞー。責任とれよー』



 目の前のドワーフと精霊はどうやら意見が一致しているらしく、以前のような可哀想な精霊付きのドワーフとは全く違う印象を受けた。


 なんだか、目の前のドワーフと精霊の態度に、ある種の気持ち悪さを感じるのは気の所為だろう。


『オイオイ、ユキノ聞いたか? ヤツ等ハンティングだってよ。エルフ相手にハンティングだなんて、こりゃあとんでもねえカニバリストだぜ。もしかしてオタク、人肉を食わせてドワーフ育ててます?』


『はぁ? 狩りって言っただけでどうしてカニバリズムになるんだよ。飛躍しすぎじゃね?』


『だってそうだろ? 狩りは獲った動物を食べる為に行なうもんだ。……無意味に殺し回ってるだけならただの殺戮だろう?』



 相変わらずゼンタロウはケラケラ笑っていた。何故そんな風に笑ってるのか不愉快になって来るのだが、今は相手方のドワーフと精霊に聞きたいことがあった。



「……あの、さっきのエルフ達は何をしたんですか?」


「ああん? 何って、何の話だ?」


「先ほどの彼等を必要以上に追い回していたのは、貴方達を怒らせる様な何かをしたからではないんですか? でなければ、なにが理由でそこまで執拗に……」


「そんなもん、面白いからに決まっとるだろうが」


「……はい?」


「聞こえなかったのか? 逃げ回る森猿共を殺すのが楽しいって言ってやったんだよ。強いて理由を挙げるんなら、生きてるから殺してるってだけの話だ」



 なにを言っているんだ、この髭。

 さっぱり意味がわからなかった。人を追いかけて殺すことが、楽しいなどと聞こえた気がしたのだが、何かの間違いだろうか……。



「精霊ゼタ、彼はなんと言ったのですか?」

『お前が理解する必要なんてないよ。彼は人の言葉が喋れないんだ』

「なるほど。そういう病気の方なんですね」



 そういう事にしておこう。でないと、怒りであのドワーフの存在そのものを否定したくなりそうだ。


 あの髭とは絶対に分かり合えない気がする。


 すると相手のドワーフか、もしくは精霊が舌打ちをしたのだろうか。もしくはどちらもだろう。

 とにかくドワーフが私を気に入らない眼で私を睨みつけて罵ってきた。



「バカにしやがって。なあオイ。コイツ等もさっさとやっちまおうぜ」

『そうだ。エルフプレイヤーごときが調子に乗るなよ。ちょっと自分のエルフが育ってるからって調子に乗ってんだよな。力量差ってヤツを思い知らせてやるぜ!』



 開かれていたガラスの壁が閉じて、当然、機械族の足が縦に伸びた。

 膝を曲げた状態だった足の形が、今は人の直立に近い姿勢に変わり、立ち上がったのだ。



『変形! そんなのもあるのか……。頭のおミソが足りてないけど、趣味は最高かよ。良い物見せてもらったから、こっちも良い事教えてやるよ』


『テメーみたいな口の悪いクソとはもうしゃべらねえよ!』


『これ、動画投稿するんで、言動には気を付けてくださいね!』


『ハァ!? ふざけんなッ!!』



 なんだか凄く怒らせたみたいだけれど、大丈夫だろうか。……まあ、大丈夫だろう。私にはきっと関係のない事だ。……そうだと思いたい。


 相手が完全に自由になる前に、ルナイラの弓を手で取り、銀の矢を一本引き絞る。素早い動作重視のクイックショットだ。相手のドワーフ目掛けて翔けた銀矢は、ガラスを突き破る事はなく、ヒビを入れただけではじかれてしまった。


『なんだと!?』


 なにかワザとらしい口調でゼンタロウが驚いていた。するとまた小声で(スノーも驚いて!)と言ってきた。


「あの、何をたくらんでいるのか知りませんが、真面目にしていただけませんか?」

『なにをいっているんだい! あんなのどーやって戦えばいいんだー』



 そんな問答をしていると、相手の右腕に取り付けられた三本の筒の先が私に向き、回転を始めていた。


 ゼンタロウは無言で闇魔法のインジビブルを使用し、一瞬だけ影を実体化させ、自分は右へと移動した。

 相手の筒から耳をつんざく連続した爆音が鳴り響き、私の影を無残に撃ちぬいた。



『ち! 相手は幻影魔法使うのか……』



 ちょっと違う。


 今のは実体のある影だ。ゼンタロウは身代わり影分身の術とも言っていた。

 もともとは姿を一瞬消す闇属性の魔法だったインジビブルを、サルタルから教えてもらった影法師という技と組み合わせて作り直したのだ。


 影が実体化して姿を現している間、既に自分の姿は消えている。……ふうに見えるらしい。



『さあ、戦闘が始まってしまいましたがご紹介させていただきましょう。実況はワタクシ、ゼタがお送りさせていただきます。解説のゼタです。よろしくお願いします。ついでに今日のゲストはゼタさんが来てくださいました。よろしくお願いします』


『なに勝手に一人劇場始めてんだよ!?』


 全くだ、こればかりは相手に同意せざるを得ない。



『さあ、今回の相手はエルフを殺して回る残虐非道のプレイヤー。腕に機関銃、バズーカを装備した鋼鉄の巨人。森の中にいるから、まるでアバ○ーみたいだと思うかもしれないが、パイロットはスティー○ンラング氏ではなく、なんと浮浪者みたいな髭汚いズングリ小人。全く酷い脚本だ。今すぐ、パイロットをナチュラルシルバーのナイスガイに戻しなさい』


「うるせえ! なんなんだコイツ!?」

『しょうがねえ、弾ばら撒いて見つけろ!』



 私もいい加減、この喧しいテンションのゼンタロウには黙って欲しいのだが、なにかを狙っているのだろうか。少しの間、様子を見ている事にした。


 一度私の居場所を見失ったドワーフ達は、あろう事か私の居場所とは全く違う方向に筒先を向けて、銃弾を雨あられのごとくばら撒いた。



「ゼタ! チャンスです!」


 ココで大きな一撃を入れられると思ったのだが、ゼンタロウは中級魔法のアイスコメットを使った。果たしてそんな避けられやすい技でいいのかと疑問に思ったが、既に巨大な氷塊が上空に作られ、自重によって目標へと落ちていった。



『上だ!』

「舐めるなよ!」



 相手の銃撃が氷塊に向けられ、同時に左腕の側に持っていた大筒の方から一際大きな弾丸が飛び出した。速度はそれほどではなかったが、それが氷塊に突き刺さった瞬間に爆裂して氷塊が打ち砕かれた。


 それを唖然として見つめてしまっている間、相手が次の行動をとった。

 右手の回転する三筒の先が今度こそ私に向かっていた。


「そこだあ!」

「ッ! ――ぜ、ゼタ!」

『な、なんだってー。氷魔法最強のアイスコメットが打ち砕かれてしまったー』


 全然、緊張感の湧かない焦り方でゼンタロウがすぐさま回避行動を――いや、相手の懐にもぐりこむ様に突進していた。相変わらず無茶な事をさせると思いながらも、弾丸は私の真横をすり抜けた。恐ろしいと思うが、ゼンタロウは前に進む事で相手の弱点を突いたのだ。あの巨体で遅い取り回し。


 あの微妙な稼動区域しかない関節では、ちょっとした移動で相手の射線は追いつけないのだ。

 しかも、距離が近くなればなるほど、角度調整速度が要求される。



 するとゼンタロウが再び小声で(銀嶺のシルフローブの効果がなければ絶対やらないけどね)とそういえばそうだったと思う様な理由を明かしてくれた。


 私に飛び道具による攻撃は無意味に等しい。どの程度まで効果が適応されるのかはしらないが、恐らく目の前の敵の弾丸くらいなら問題はなさそうだった。



 再び銀矢を一本用意しつつ、滑り込むように相手の巨体の股を潜り抜けた。背中に回りこむことで、これ以上ない明らかにチャンスを手にしていた。今度は確実に魔弓術の大技なり、強力な魔撃の一撃で倒せるだろう。


 と思っていたのに、なぜか再びクイックショットだった。

 矢は左腕部に向かって命中するが、鋼鉄に弾かれる音と共に地面に落ちてしまった。


『なんてことだー、これじゃあ全く勝ち目がないぞー』

「……あの、さっきからずっと、なぜ真面目に戦わないんですか?」

『え? だって良い勝負しないと、視聴者もガッカリするだろ?』

『なめてんのかテメエ!』



 はい、ゼンタロウは間違いなく相手を舐め腐ってます。しかもいつも以上に。


 頭が痛い。なんでこんな茶番をさせられているのか、誰か教えて欲しいです。



『いや、うん。まあ。あれだ。お前等、既に2回は死んでたしなぁ……』


 嘘ではない。真面目に戦おうという気があれば、既に二度はアレを破壊している自信がある。


 やれる時にやった方がいいハズなのだが、どうしてかゼンタロウは最後の一手を掛けない。



『難しいなぁ。戦ってる相手を生け捕りにするのって……』



 ……そういえばそうだった。

善太郎君、キミの動画は間違いなく炎上するよ?

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